朝食抜きは骨に悪い 骨密度アップに効く食事
更年期前から知っておきたい女性特有の骨の弱体化対策。骨粗しょう症の予防には、若い頃からの骨貯金が最重要。「骨対策」を3回に分けて紹介する。2回目は「骨に効く食事」を解説する。
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骨は閉経以降、急カーブで減少する。骨貯金が足りない人はもちろん、貯金が十分な人も将来に備え、今から骨を強化する生活を始めよう。まずは食事から──。骨の材料が足りないと骨量も増やせない。
骨をビルに例えると、コンクリートに相当するのがカルシウム。「骨粗しょう症予防のためには1日800mgはとりたいが、50代以下の女性は500mgにも満たない状況。牛乳などの乳製品はカルシウムの吸収率も高いので、特にお薦め」と、山王メディカルセンター女性医療センターの太田博明センター長は解説する。
カルシウムの吸収を促進して尿中への排出を減らすのが、ビタミンD。積極的にとりたい栄養素だが、不足が指摘されている。一番の供給源は魚なので、魚をあまり食べない人はまず足りていない。日光を浴びると皮膚でも作られるが、UVカットをするとそれも期待できない。「確実に補うにはビタミンDのサプリメント(1日800~1000I. U.)を活用することを薦める」と伊奈病院整形外科の石橋英明部長。
たんぱく質も欠かせない。骨の鉄筋に相当するのが、コラーゲンを主体とするたんぱく質だ。不足すると建物の骨組みがガタつき、強度が落ちる。骨の質が低下するわけだ。肉や魚、大豆製品などをしっかりとろう。
納豆は骨にとっても優等生。たんぱく質だけでなく、カルシウムが骨に沈着するのを助けるビタミンKも豊富に含む。納豆をよく食べる地域ほど、大腿骨頸部骨折が少ないという報告も。またビタミンB6、B12などのビタミンB群には、骨のコラーゲンの劣化を防ぐ作用もある。
個別の栄養素も重要だが、やはり基本は"しっかり食べる"こと。過度なダイエットは栄養素不足と体重減少というダブルリスクを招く。「朝食もしっかりとりたい。朝食抜きの人は骨密度が低いという報告もある」と太田センター長は話している。
自分の"骨貯金"の残高を知っている?
まだ骨密度検査を受けたことがない人はぜひ測定を。40歳からは自治体による5年ごとの節目検診もある。「骨粗しょう症のリスク要因が多い人は、最初から整形外科で診てもらってもいい」と石橋部長。
骨密度検査は、かかとの骨を測る超音波法、X線で手の甲を測るMD法、X線で腕や腰、脚の付け根などを測定するデキサ法がある。「骨粗しょう症の診断ができるのはX線を使う測定法。特にデキサ法は治療効果も判定できる」(石橋部長)。検査結果は20~44歳の健康な女性の骨密度を100%として比較する「YAM(若年成人平均)値」などで表される。
伊奈病院整形外科(埼玉県伊奈町)部長。東京大学医学部卒業。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、関節外科。NPO法人高齢者運動器疾患研究所代表理事も務める。著書は『骨粗鬆症の最新治療』(主婦の友社)など
山王メディカルセンター(東京都港区)女性医療センター長。国際医療福祉大学教授。慶應義塾大学医学部卒業。東京女子医科大学産婦人科主任教授などを経て、2010年から現職。ウェルエイジングのための女性医療を実践。著書は『骨は若返る!』(さくら舎)など
(ライター 佐田節子、構成:日経ヘルス 太田留奈)
[日経ヘルス2017年3月号の記事を再構成]
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