マネー研究所

使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

「iDeCo、知らない」8割超 投資知識の不足も鮮明 QUICK資産運用研究所が調査

2017/2/7

 QUICK資産運用研究所が約5000人を対象に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」によると、今年1月からほぼ全ての現役世代が加入できるようになった個人型確定拠出年金(DC)「iDeCo(イデコ)」について「知らなかった」と答えた人が全体の8割超を占めた。調査は昨年12月中旬にインターネットを通じて全国の20代から60代の個人を対象に実施した。

■制度拡充、認知度低く

 「2017年1月から個人型DCの加入範囲が拡大されることを知っているか」との質問に対し、「知らなかった」の回答が全体の81.5%にのぼった。「知っていた」は18.5%にとどまり、制度拡充がほとんど知られていない実態が明らかになった。職業別にみると、新たに加入対象となった公務員は「知らなかった」が64.4%、専業主婦(夫)は85.0%だった。

 年代別では20代で「知らなかった」が9割近くを占めた。老後の資金づくりに向けた「資産形成層」とされる30~40代でも約8割が「知らなかった」と答えた(グラフA)。

 iDeCoは個人が自分で毎月掛け金を出し、運用商品も自ら選ぶ制度。掛け金が所得控除され、税金が還付されるなどの節税効果がある。これまで自営業者や企業年金のない会社員などしか加入できなかったが、今年から企業年金のある会社員、公務員、主婦(夫)なども入れるようになった。

 「個人型DCに加入する資格があるとしたら加入したいと思いますか」との質問には、「加入したい」との答えが全体の約1割にとどまった。

■投信選びにハードル

 iDeCoは自分で選んだ投資信託など金融商品の運用成果で老後に受け取れる年金の額が変わるとあって品定めが重要だが、「投信選び」に頭を悩ませているのは投資初心者に限らない。投信の購入で困っていることを聞いたところ、投資経験者も含めて「投信を選ぶのが難しい」との答えが最も多かった。

 次に多かったのが「自分に適した投信がわからない」。6000本を超す投信の中から自分に合ったものを見つけるのは至難の業だ。さらに「分配金など損得の判断が難しい」といった投信特有の複雑な仕組みも悩みの種。「信頼できる情報がない」などの不満もくすぶる。

 また、今回の調査では、多くの人が資産形成・資産運用に取り組むのをためらっている実態が鮮明になった。投資にまつわる負のイメージが足かせになっており、誤解や知識不足に基づく面も大きい。

■「資産運用、必要ない」が7割に

 老後や安定した生活を送るために資産を増やしたいと考える人は全体の半数以上に達した。それにもかかわらず、株式や投資信託といった相対的に高い収益が期待できる一方で元本割れなどのリスクがある金融商品を保有・運用したことがあるのは29.9%にとどまり、株式や投資信託などを活用した資産形成への取り組みはなお少数派にとどまっている。

 投資未経験者のうち、資産形成や資産運用に「必要性を感じない」と答えた人は7割近くにのぼった。

 未経験の理由で多かったのは「損をしそうだから」「元本割れのリスクがある取引は一切行いたくないから」だった。「手元に資金がないから」や「商品に関する知識がないから」の理由も目立ち、まとまったお金がたまったり、勉強したりしてからでないと始められないという思い込みが強いことがうかがえる。

 「資産形成・資産運用」に対するイメージを聞いたところ、投資経験がない人ほど「損をする」「怖い」「だまされそう」といった負のイメージを持っていることも分かった(グラフB)。

■金融知識、投資経験と相関

 属性別でみると、性別では女性よりも男性のほうが投資経験の比率が高い。年代別では年齢が高くなるほど投資経験者の比率は増え、60代では42.2%にのぼる。20代では17.7%にとどまった。

 年収別では年収が高いほど投資経験の比率が高かった。年収1000万円以上で半数以上だったのに対して、500万円未満は3割以下にとどまった。

 投資経験の有無は金融知識レベルとも相関が高い。今回の調査では金融に関する9つの問題を解いてもらったが、正解が7~9個と多かった人は投資経験者が8割を超えたのに対し、正解ゼロの人は1割以下だった。

 資産形成・資産運用を始めたきっかけや情報収集のやり方なども、年代、性別、年収などによってまちまちなことが調査結果で分かった。ターゲット層ごとにアプローチを変え、より実践的な投資教育に力を入れていく必要がありそうだ。

 このほかにも信頼できる情報提供、長期の資産形成・資産運用に適した金融商品の普及、税制優遇の利用促進など、金融当局も含め業界全体で取り組むべき課題は多い。個人が「安心の老後」「安定した生活」のために投資で資産を増やすには、それなりのリスクを負わなければならない。リスクを軽減する方法はあるし、少額からでも始められる。誰もが気負わず、少しずつ、ゆっくり気長に資産形成・資産運用に取り組もうと思えるような環境づくりにさらなる工夫が欠かせない。

(QUICK資産運用研究所 西田玲子、中田裕子)

▼アンケート調査概要
実施時期:2016年12月15日(木)~19日(月)
調査対象:全国の20~60代の個人
国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を割り付け
回答者数:5104人(男性50.1%、女性49.9%)
調査方法:インターネット調査

マネー研究所新着記事