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米倉涼子、上戸彩――。女性を中心に国内最大規模の所属タレントを抱える大手芸能事務所、オスカープロモーション(東京・港)。中国や韓国などアジア市場の開拓にも意欲的だが、芸能界にはタレントのトラブルなど、予期しえぬリスク要因も少なくない。どのようにマネジメントしているのか。オスカーの鈴木誠司副社長に、タレント育成・管理法や海外戦略などについて聞いた。

家族のフォローこそ重要

――タレントの育成、マネジメントでは、様々なトラブルを防ぐために、どのように工夫していますか。

「うちは全寮制で四六時中、夜昼問わずタレントを管理しているわけではありません。家族にフォローしてもらっているのです。オスカーでは、地方の人と契約するなら、ご家族もすべて東京に連れてきて面倒をみます。寮もいいのですが、若い子、特に中高生は家に帰ってだんらんできれば、ストレスがたまらない」

「家族もケアして、タレントを育成するなんて、そんな事務所はほかにはないと思います。我々としても、家族との信頼関係があれば、『最近うちの娘の帰りが遅いのです』とか『外泊が増えています』と教えてくれます。今でも、米倉や上戸のお母さんたちと頻繁に食事をしますよ」

その国の4コマ漫画でクスッと笑えないと

――近年、海外への進出も増えています。戦略を教えてください。

「オスカーはもともとモデル事務所ということもあり、特に中国や韓国などのモデル事務所と提携し、アジアの人材の発掘、育成に力を入れています。モデルは語学の壁の影響が少ない。しゃべらなくてもいいからです。それに、いろいろ海外で審査員もしましたが、肌の色が違っても、美人は美人で変わらないのですよ」

オスカープロモーションの鈴木誠司副社長

オスカープロモーションの鈴木誠司副社長

「『オスカー』というくらいなので、オスカーを取れるような俳優を育てる気持ちで設立した事務所です。しかし、言葉の壁は大きい。ハリウッドにいくならネーティブレベルのスキルが必要になります」

「2012年、米倉がブロードウェイミュージカル『シカゴ』で主演しました。台本の英語を覚えるのも大変ですが、海外で活動するには、語学力だけでなく、その国の4コマ漫画を読んでくすっと笑えるくらいの文化を学ぶ必要があります。女優の笛木優子が韓国、俳優の矢野浩二が中国で活動していますが、彼らは何年も現地で過ごし、言葉も習慣も学んで、やっと現地の人に認めてもらえるようになりました」

「3人に1人がオスカー」目標

――所属タレントの数「1万人」という目標を掲げています。

「今、事務所は海外を含めて7500人、下は0歳、上は80歳すぎまでのタレントが所属しています。数字のマジックですが、芸能界は歌手やタレントを含めてだいたい3万人で構成されているといわれています。1万人のタレントがいれば、3人に1人がオスカーの人間、という計算になります」

「交流サイト(SNS)の活用も重要です。昔はタレントが自分の生活やプライベートを見せるなど考えられませんでしたが、今ではある程度見せていくのも大切になりました。特にモデルは、写真共有サイト『インスタグラム』をやっていないと絶対にダメです。ドラマに出たら雑誌の表紙を飾り、一斉にインタビューを受けて、という我々がやってきた方程式が崩れてきているので、正直戸惑いもあります。しかし、やり方次第では日本だけではなく世界を相手に発信できる時代にもなった、とチャンスも感じています」

(松本千恵 代慶達也)

前回掲載「『この子は芸能界変える』 オスカーのスター発掘法 」では、一流のスターを磨き、育てるスキルや、それを支える鈴木副社長のキャリアについて聞きました。

「キャリアコラム」は随時掲載です。

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