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多様化進むコンビニ恵方巻 7種類の具材の意味は?

2017/2/1

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 節分にその年の恵方に向かって太巻きを食べる「恵方巻」。京都府で生まれ、子どもの頃から節分には親子で黙々と恵方巻を食べてきた25歳の筆者にとっては当たり前の習慣だが、年上の知人に聞くと、関東地方で恵方巻を食べるようになったのはそれほど昔の話ではないという。

 恵方巻を食べる習慣はもともと大阪で生まれたといわれている。それが全国に広がったのはコンビニエンスストアが取り上げたことが大きいようだ。2005年1月26日付の日本経済新聞朝刊にも「コンビニが1990年代後半に販売開始して以来、急速に売り上げを伸ばし、全国的に知名度も上がった」と書いてあった。

 実際、コンビニが恵方巻を扱い始めたのは2000年前後。今回、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン3社に確認したところ、恵方巻の全国展開を始めたのは、セブンイレブンが1998年、ローソンとファミリーマートが2003年からだという。

 地域を限定すると、セブンイレブンは1989年に広島の一部の店舗で取り組みを開始している。どの店かも気になったが、残念ながら「店舗名は特定できていない」(セブン&アイ・ホールディングス広報担当の山根長康さん)そうだ。「関西出身のオーナーさんが広島で始めたと聞いています」

 仕事に追われて気がついたら節分当日になっていた、という忙しいビジネスパーソンにとって、頼りになるのはやはりコンビニだろう。節分を前に、ことしはどんな恵方巻をラインアップしているのか、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン3社に確認してみた。ただし節分当日にどの恵方巻を販売するのかは店舗によって異なるそうなので、注意してほしい。

■「肉」「サラダ」「ぜいたく」などバリエーション豊か

 2017年の恵方巻について3社に確認したところ、セブンイレブンとファミリーマートは5種類、ローソンは6種類の恵方巻を用意していた。「節分に恵方巻を食べるというイベントが定着してきたこともあり、すべての世代が楽しめるようにスタンダードの恵方巻以外にも品ぞろえの幅を広げています」(山根さん)

 ラインアップをみていると、バリエーションに共通点が見えてきた。各社とも、オーソドックスな恵方巻のほかに「肉」「サラダ」といった路線を用意しているのだ。

 たとえば「肉」路線。セブンイレブンは「牛すき巻 牛蒡(ごぼう)しぐれ仕立て」、ファミリーマートは「国産牛炭火焼肉恵方巻」、ローソンが「熟成ロースとんかつ巻」と、肉を強調した恵方巻を用意している。牛すき、焼肉、とんかつと肉へのアプローチがそれぞれ異なるのも興味深い。

セブンイレブン「牛すき巻 牛蒡しぐれ仕立て」(390円、税込み、以下同)
ファミリーマート「国産牛炭火焼肉恵方巻」(540円)
ローソン「熟成ロースとんかつ巻」(500円)

 健康路線ともいえる「サラダ」を商品名にうたう恵方巻も各社用意している。ファミリーマートの「サラダ恵方巻」は他の恵方巻より直径が小さい中巻タイプ。「女性やお子さんにもお召し上がりいただきやすいサイズ感です」(ファミリーマート総合企画部広報室 津瀬暁子さん)

セブンイレブン「海老とツナのサラダ巻」(390円)
ファミリーマート「サラダ恵方巻」(350円)
ローソン「サラダ恵方巻」(390円)

 高級路線も共通のバリエーション。「贅沢恵方巻」(セブンイレブン)、「ファミマプレミアム海鮮恵方巻」(ファミリーマート)、「極上海鮮恵方巻」(ローソン)と、具材にいくらやサーモンなどの魚介類を取り入れているのが特徴といえるかもしれない。

セブンイレブン「贅沢恵方巻」(598円)
ファミリーマート「ファミマプレミアム海鮮恵方巻」(700円)
ローソン「極上海鮮恵方巻」(980円)

 実際、具材にこだわるのは、今年のトレンドのようだ。「百貨店や専門店が恵方巻を扱うようになったこともあり、より素材にこだわった恵方巻をラインアップに加えています」(セブンイレブン山根さん)。ファミリーマートは具材の比率をあげた。「具材をたっぷりにして、より満足していただける仕立てにしました」(ファミリーマート津瀬さん)。ごはんより具を楽しみたいという人にもうれしい進化かもしれない。具以外へのこだわりもみられる。ファミリーマートは2017年の恵方巻で本わさびを100%使用。一方、ローソンはのりにこだわりを見せる。「数年前から京都府音羽山清水寺で厄除開運の御祈祷(きとう)をされたのりを使用しています」(ローソンコミュニケーション本部広報室 竹元裕貴さん)

■スタンダードタイプの具は縁起を担ぐ7種類

 関西出身の筆者にとって印象に残ったのが、スタンダード恵方巻の具材だった。種類ではなく具材の数。セブンイレブンの「福を呼ぶ 七品目の恵方巻」という商品名が示すように7種類なのだ。祖母から「7ていう数字は縁起がいいから、恵方巻の具材も7種類なんよ」と言われ続けた関西人にとって、このこだわりは譲れない。だがさらに確認してみると、セブンイレブンは関西(と中国、四国地域)では具材に高野豆腐を加えた「福を呼ぶ八品目の恵方巻」を販売しているという。確かに八も末広がりで縁起の良い数字ではある。

セブンイレブン「福を呼ぶ 七品目の恵方巻」(420円)。具材は厚焼き玉子、かんぴょう煮、シイタケ煮、おぼろ、穴子、キュウリ、レンコンの7種類。長さ8.5センチの「ミニ」(298円)もある
ファミリーマート「恵方巻」(420円)。具材は玉子焼、かんぴょう煮、シイタケ煮、おぼろ、穴子、キュウリ、高野豆腐の7種類
ローソン「恵方巻」(390円)写真入る。玉子焼、かんぴょう、シイタケ煮、おぼろ、焼き穴子、きゅうり、高野豆腐

 具材をみると、製造工程に違いはあるだろうが、ファミリーマートとローソンの具材は共通だった。一方、セブン‐イレブンは「高野豆腐」ではなく「れんこん」を使用しているが、関西などで販売しているセブン-イレブンの「福を呼ぶ八品目の恵方巻」では高野豆腐も加わる。巻き寿司には高野豆腐を入れるという関西地域の嗜好に合わせたものだという。

 サイズはどうだろう。コンビニ各社は恵方巻の「重量」を発表していないが、「全長」と「幅」は発表している。セブンは全長約13センチ、幅約4.5センチ。ファミリーマートは全長約14センチ、幅約4.7センチ。ローソンは全長約13センチ、幅は約5センチ。最も長いのがファミリーマート、最も太いのがローソンということになる。

◇ ◇ ◇

 関東出身の知人に「関西の人は豆まきをするの?」と聞かれて驚いたことがあるが、もちろん豆まきもする。筆者の家庭では、夕食に親子で恵方巻を黙々と食べ、その後に豆まきをするというのが節分の過ごし方だった。黙々と食べるのは、福を逃がさないためらしい。「しゃべると福が逃げるし、黙って食べなあかんで」と毎年のように母に言われたものだ。今年の恵方は北北西。恵方巻を楽しむんやったら、この方向間違えんと、福を逃さんよう黙って食べなあかんで! おしゃべりな関西人でも黙るんやから! ほらそこ、しゃべんな!

(ライター いのうえゆきひろ)

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