不動産・住宅ローン

REIT投資の勘所

16年末の価格上昇は続くか 17年のREIT市場を占う

日経マネー

2017/2/3

日経マネー

 トランプ・ラリーに乗り遅れたかに見えたREIT価格だが、2016年12月下旬には大幅上昇を演じることになった。東証REIT指数は1850ポイントを超え、年間騰落率も6%を超えた。この勢いは17年も続くのか。上昇の背景から分析してみよう。

 16年12月のREIT反発には(1)国債利回りの変動幅が限定的になったこと(2)為替相場が円高懸念の強い地合いになったこと──の2点が寄与したとみている。

 16年9月、日銀は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を打ち出し、「10年物国債(10年債)利回りの目標水準を0%程度」とした。市場は日銀がどれくらい金利の振れ幅を許容するかを見極め切れず、利回りは乱高下する。

 その後、マイナス0.1%までは許容範囲という認識が広がり、実際、10年債はマイナス0.1%程度での取引が続いた。しかし、上限ははっきりしないままで、国債への積極的な投資が難しい状況に変化はなかった。

 ところが11月の米大統領選挙を契機に利回りが上昇を始めると、日銀は国債の無制限買い入れという形で待ったをかける。結果、市場は「現状、日銀の許容範囲はプラス0.1~マイナス0.1%」との結論に至ったようだ。

 当面、この狭い幅に利回りが押し込められるなら、投資家は国債を買っても売却益は狙えず、長期保有には利回りが低過ぎる。国債投資の比重が高い地方の金融機関は、国債投資の代わりにREIT投資を拡大したと推測する。

■ここからの上値は限定的

注:投資口価格は2017年1月5日時点

 一方、11月以降、急速に進んだ円安は、その速度がREIT価格を押し上げたとみている。緩やかな円安なら機関投資家も継続的に海外投資を拡大しやすい。しかし、1カ月で10円以上も円安が進むと、いつ円高に戻るかもしれない、という懸念も生じ、輸出関連株や海外の投資先には手を出しにくい。

 また、国内産業の保護策を強く打ち出すトランプ米大統領が容認する為替水準が明らかになっていない点も気になる。

 結果、出遅れ感が生じていたREITをはじめとする内需関連が有望投資先になったと考えられる。狭いレンジの国債利回りと円安懸念の為替という2つの追い風は、当面、REIT価格を下支えすると考えている。

 ただし、17年のREIT価格は、東証REIT指数で1700~1850ポイントのレンジで推移することになりそうだ。2つの要因は17年末まで続きそうもないことに加え、欧州で予定される大型選挙の結果がREIT価格を揺さぶる局面もあろう。

 日銀の金融緩和による大幅な価格上昇も期待できない現状では、東証REIT指数が1850ポイントを超える水準からのREIT投資は慎重な姿勢が求められる。

関大介(せき・だいすけ)
 不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年3月号の記事を再構成]

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