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使わなきゃ損! 個人型DC iDeCo

iDeCo積立金は節約で捻出 月1万円目指そう iDeCoをマネーハック(4)

2017/1/23

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 マネーハック、今月のテーマは個人型確定拠出年金(愛称iDeCo)です。2017年1月から、現役世代の誰もが加入できるようになりましたが、その利用のコツを考えています。今週のテーマはiDeCoは「運用より節約に注目」です。

■iDeCo活用の「本丸」はまず始めること

 確定拠出年金というと、「貯蓄から投資」といったキーワードの代名詞のように考えている人が多いと思います。「自己責任で増やしたお金があなたの老後の財産となる」というイメージがあるからでしょう。

 確かに資産運用の巧拙は老後の財産の受取額を大きく変えます。毎月1.2万円を積み立てたと仮定したとき、22歳から60歳までの間には524万円が元本として蓄積します(口座管理手数料を月500円と仮定)。

 運用に失敗してマイナスの結果に終わればこれを下回りますが、年1%の利回りが確保できれば638万円、利回り年2.5%なら874万円、年4%なら1228万円に増えていきます(それぞれ運用手数料を踏まえた実質利回り)。

 同じ積立額であっても運用結果の違いで受取額には大きな差が生じることになります。しかし、iDeCo活用の最重要課題は「運用」ではないといわれたらどうでしょうか。

 これがマネーハックの「逆転の発想」です。そもそもどんな有利な運用条件があろうとも、あなたが毎月の積立額を捻出し、iDeCoとして積み立てなければ意味がありません。「加入」手続きをすること、そして「積み立て」することが肝心で、iDeCoを始めることこそが「本丸」なのです。それは運用以前の重要な問題です。

■iDeCo活用の鍵は「節約」にあり

 iDeCoのお話をしていると、「今毎月3万円積み立てしているので、iDeCoに月1.2万円は移して、残り1.8万円だけ定期預金で積み立てていけばいいんですよね」というような声が聞かれます。これは税制優遇の点では「○」ですが、将来の生活資金形成の観点では「×」です。

 今やっている積み立ては、子どもの学費準備であったり、住宅購入資金準備であったり、何かの目的があるはずです。そこから月1.2万円積立額を減らしてしまえば、老後が豊かになった分、将来子どもの学費などの不足が生じるだけです。

 今加入している個人年金保険などを解約してiDeCoの掛け金に回すというのもあまりお勧めできません。保険を中途解約して元本割れになっては今までの積み立てはマイナスになってしまいますし、今からiDeCoでゼロから積み立てた分しか将来には残せないからです。

 つまり、「今ためているお金はそのままに、iDeCoにも追加で拠出するお金を確保する」という意識が必要になってきます。それには節約が必要ということです。

 iDeCoに関する本が書店にたくさん置かれていますが、税制優遇や運用テクに紙幅を割いてはいても、節約についてページを割いている本はあまり見受けられません。

 「運用より節約」は、iDeCo活用のマネーハックといえそうです。

■月1万円メドに削ってみる

 あなたの家計の収入が今年の1月から増えたのなら、それをiDeCo掛け金とすればいいでしょう。そうすれば生活は変えずに老後の貯金に回せます。しかし多くの人は、月収は変わらないと思いますので、節約をしてiDeCoの積立金を確保するしかありません。

 方法は2つです。1つは「固定費」の削減、もう1つは「日常生活費」の削減です。

 まず、銀行預金通帳、クレジットカードの明細書をくまなくチェックし「固定費」の削減をします。利用頻度が低くなっているサービスは解約や利用停止手続きをします。例えば、自動課金されているスマートフォン(スマホ)のサービスで、もう利用していないものなどはすぐやめてしまいましょう。

 重複しているサービスも1つに絞るといいでしょう。例えば、スマホやタブレットで視聴する映像サービスと、ケーブルテレビや衛星放送のサービスがダブっている場合などが挙げられます。

 より安いサービス業者があるなら変更してみます。家族全員の契約をまとめて格安スマホにしたらそれだけでiDeCo掛け金が月1万円捻出できるかもしれません。新電力の業者への変更やインターネットプロバイダーの変更なども、1000円単位で節約につながるかもしれません。

 次に日常生活費の見直しをします。毎日100円の節約は月3000円に相当しますから、固定費の削減で足りなかった分を、毎日100~200円の節約で頑張って確保してみましょう。当たり前に買っていた商品を割安の商品に変えてみたり、不要な買い物を減らしたり、安値での購入をもっと真剣に考えてみるのです。

 1日1品の買い控えをしたり、定価ではなくドラッグストアの特売品を確実にゲットしたりすることで、「同じモノを買いつつ、財布にお金が残る」のが理想型です。月1万円をメドにぜひ頑張って削ってみてください。

■家計をコンパクトにして老後の豊かさに回す

 ふつう、節約をするのは家計が赤字になっている場合などに、収支のバランスをとるために行います。節約をしても、ようやく借金せずにすむというのは「つらい節約」です。

 しかし、iDeCo向けの節約は「家計をさらにコンパクトにすることで、老後のための積み立て原資を確保する」のです。節約するほど老後が豊かになるということです。これは「楽しい節約」といえます。

 ある金融機関のiDeCoのチラシには「自分の老後に仕送りする」という表現を用いていましたが、まさにその通りです。

 節約したお金を別のところで消費せず、老後の資産形成に回すことで、毎日の生活にはあまり影響を及ぼさず、確実に老後を豊かにしていくことができるわけです。

 iDeCoでリスク資産運用をまったく行わず、定期預金100%であったとしても、所得税や住民税の軽減分で十分運用の効果(年15%~20%くらいになることも)は表れます。そもそも元本が積み上がること自体が老後に大きな財産となります。

 「老後のことなんて考える余裕ないから、iDeCoとか興味ないね」という人ほど「節約して、iDeCo掛け金を確保」という発想をしてみてはいかがでしょうか。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはITスキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、消費生活アドバイザー。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。所属は日本年金学会、東京スリバチ学会。近著に『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』(明日香出版社)『誰でもできる 確定拠出年金投資術』(ポプラ新書)などがある。趣味はマンガ読みとまちあるき(看板建築マニアでもある)。Twitterアカウントは@yam_syun。ホームページはhttp://financialwisdom.jp

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