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「自然が財産」中米コスタリカ 希少動物に次々出合う

ライター 西村絵

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NIKKEI STYLE

コスタリカ共和国といってもピンとくる人は少ないかもしれない。中米に位置し、面積は四国と九州を合わせた程度、人口500万人弱の小さな国だ。だが、国土は熱帯雨林のジャングル、活火山を含む山岳地帯、常春の高原地帯、カリブ海と太平洋に面した熱帯のビーチと変化に富む。そこに全世界の動植物種の約5%、鳥やちょう類に限ると約10%が生息すると言われ、まさに「生物多様性の濃縮地域」なのだ。そんな多種多様な動植物が人々の生活のすぐそばで見られるのがコスタリカの魅力。秘境とは一味違う自然を育むコスタリカの一端を体験してみた。

ニカラグア国境近くに水鳥の楽園

コスタリカの空の玄関口、ファン・サンタマリア国際空港へ到着したのは、年末も押し迫る12月28日午後2時過ぎだった。日差しは強いもののそれほど暑くもなく、心地よい。今回の旅行ツアーを組んでもらったさくらツーリスト(サンホセ・下村昌也代表)が手配してくれた出迎えの車に乗り込んだ。

目的地は、コスタリカでも有数の活火山、アレナル火山のふもとの街、ラ・フォルトゥーナ。都会的な街並みからあっという間にバナナや畑の間に簡素な民家が立ち並ぶ郊外に出た。簡単に舗装されただけの対面1車線の1本道。信号はほとんどなく、両脇に広がるパイナップルやさとうきびのプランテーションの間に、中古車の販売店らしき建物が点在しており、「TOYOTA」、「SUZUKI」などの看板が並んでいた。「日本車は大人気」(下村代表)らしい。

翌朝、わずかに雲に隠れたアレナル火山を眺めながら、ニカラグアとの国境に近いカーニョ・ネグロ野生保護区に向かった。水鳥の楽園として知られ、フリオ川(リオ・フリオ)がマングローブなどが生い茂る熱帯雨林を分けるようにゆったりと流れる。フリオ川をボートで下りながらの動物観察が目玉の1つだ。

キリストに似ているトカゲ、見えないコウモリ

 「見て、ジーザスクリス(グリーンバシリスク)」。ボートに乗ってまもなく、ガイドのマイケルさんが双眼鏡を片手に指差した。見ると体長50センチはあると思われるあざやかな緑色をしたトカゲが水辺に突き出した木の枝の上にじっとしていた。周囲の葉の緑に混ざり素人では見つけにくい。マイケルさんは「水面を後ろ脚で走ることもある。その姿が水面を歩いたというイエス・キリストに似ているから、地元ではこう呼ぶ」と教えてくれた。国民の8割はカトリックというお国柄が出ているのかもしれない。

マイケルさんが「あそこにコウモリ。木の枝に5~6匹並んでいる」と、別の木を指差して言った。でも見えない。カメラの望遠レンズで覗いてみると、確かに茶色っぽいテニスボール大の生き物が枝に一列にしがみついていた。「ロングノーズバット、並んで天敵から身を守っている」(マイケルさん)らしい。小さな顔を同じ方向に向けて整列している姿は遠くからみると枝か蛇のようにも見える。賢いカモフラージュだ。

日本人老夫婦が通う39度の温泉

帰り道、アレナル火山のふもとにあるタバコン温泉に立ち寄った。火山のふもとから湧き上がる温泉が渓流となったものを利用した天然温泉施設。加温もせずにお湯の温度は39度程度とちょうど良い。偶然、出会ったサン・ホセ在住の日本人老夫婦は、「日本の温泉みたいで通ってきている」と話していた。

夜、タクシーでラ・フォルトゥーナのダウンタウンに繰り出した。バーでコスタリカを代表するビール「インペリアル」を飲む。さっぱりとした味わいで、飲みやすい。お値段は1本2ドル(米)程度だった。

バナナをくわえたオオハシ発見

「見て、オオハシ」。カリブ海側のサラピキと呼ばれる低地の熱帯雨林地帯に移動し、着いたロッジ「セルバ・ベルデ」で昼食をとっていると、案内人グースさんが手招きした。食堂の目の前に設置されたエサ台の上に黄色と茶色の大きなくちばしを持ったオオハシがバナナをくわえていた。黄色の胸と黒い背中も光沢があり、まるで作り物のように美しい。

いきなりお目当てのオオハシに出合えてびっくりしたが、このロッジは、サラピキ川に面した密林の中にあるのが特徴。広大な敷地内にトレイルがあって、たくさんの動植物を間近で観察できるほか、レンジャーに同行してもらえば、サラピキ川の対岸にある熱帯雨林の原生林に入ることもできる。

2種類のナマケモノ

さっそくレンジャーのロナルドさんに案内してもらった。「ルック、ナマケモノ」。ナマケモノという日本語を使いながらロナルドさんが指差したのは、食堂近くの小道沿いの20メートル以上ありそうな木の枝の上。望遠鏡で見ると、茶色っぽい毛糸の塊のような物体が枝の上に乗っている。素人目にはなんだかわからない。コスタリカに2種類いるナマケモノのうち、指が2本のフタユビナマケモノらしい。こんなに人が往来するすぐそばにいるとは驚いた。

1メートル強のイグアナ

 施錠された吊り橋をロナルドさんの後についておそるおそる渡っていると、サラピキ川に突き出した木の枝の上に、オレンジ色のグリーンイグアナが陣取っているのが見えた。体長1メートル強だろうか。名前の通り、幼体は緑色だが、オスは繁殖期になると鮮やかに色が変わり、メスを引きつけるのだという。後頭部から背中にはたてがみ状のうろこがあり、あごの下には垂れ下がった皮膚。いかつい顔をしているが草食でおとなしいそうだ。地元では食べることもあるそうで、「味は鶏肉に近い」(ロナルドさん)。

原生林の中に入ると、薄暗く、湿気に包まれた。地面はぬかるみも多く、足元は悪い。樹齢100年、200年近い巨木も多く、それらの上に木に寄生している植物も目立つ。頭上には巨大な木の樹冠が覆い被さるように広がっており、生物多様性の宝庫と言われる理由がわかるような気がした。

大晦日にカエルの大合唱

原生林の中では2種類のカエルに出会った。赤い顔に青い手足、まるでジーパンを履いているように見えるためブルージーンと呼ばれるイチゴ矢毒カエルと、緑と黒の迷彩服を着ているようなブラック・グリーン矢毒カエルだ。両者とも体長数センチほどだが、文字通り先住民が吹き矢の矢尻にこの毒を塗って、サルを仕留めていたらしい。近くで見ようとちょっと手を伸ばすと「絶対に触ってはいけない」と注意された。理由は「カエルが火傷するから」。「カエルの体温はとても低いため、人間に触られるとまるで火傷したように感じるはず」(ロナルドさん)。生態保全意識が徹底していると感心した。

この日は12月31日の大みそか。部屋に戻ると、カエルの大合唱が聞こえてきた。そして2017年元旦は夜明け前から、ホエザルの群れがのどの奥から絞り出すような太い大音響の鳴く声で目が覚めた。

次々サルの群れ

乾期とはいえ、雨や曇りが多かったサラピキ。最終滞在地として向かった太平洋に面したマヌエル・アントニオ国立公園の青い海と空はとてもまぶしかった。

「プラビダ」。地元のネイチャーガイドのソシオさんが出迎えてくれた。スペイン語で直訳すると「純粋な生活」。だが、コスタリカでは日常のあいさつや、感謝を述べるとき、良いことがあったとき、相手をいたわるときなど、とにかく何にでも使うそうだ。サラピキからの5時間の道中、渋滞に巻き込まれ、予定よりも遅れて到着したわたしたちだったが、ソシオさんの「プラビダ」と笑顔に救われた。

ソシオさんの案内で、海水浴もできるという海岸までの2キロメートルほどの小道を歩いた。整備された小道で、海水浴に向かう地元の人の往来も多い。驚いたのは、道のすぐわきの木々の間でたくさんの動物たちを見たことだ。特にサルは、10~20頭の群れで暮らすホエザル、ノドジロオマキザル、リスザルなどが頻繁に行き来していた。これまで見ることができなかったミユビナマケモノの顔もスローモーションの手足を動かす様子も観察できた。人と野生動物がすぐ近くで共存している姿はちょっと不思議な気がした。

「自然が財産」エコが産業

ソシオさんが「コスタリカは小さな国だけど、国民は自然が財産だとわかっている」と話していたのが印象的だ。

実際、コスタリカは国土の4分の1を国立公園や生物保護区に指定。エコツーリズムを産業の柱にし、環境保護国家としてまい進中だ。人々は陽気で、真面目で親切。小さな国土に大きな山脈と海岸沿いの平地が並存している地形も日本に似ている。日本からは飛行機を乗り継いで20~30時間と決して近くはない国だが、一度行くと親しみを感じる人は多いにちがいない。

(在ワシントンD.C.西村絵)

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