不動産・住宅ローン

不動産リポート

新築住宅、内覧会ではここをチェック 不動産コンサルタント 長嶋修

2017/1/18

PIXTA

 一戸建て、マンションともに、年度末が差し迫るとどうしても雑な工事が増加するのが通例だ。子供の春休みに合わせて引っ越したいといった購入者側の希望と、会社の決算上の都合からどうしても年度末までに引き渡したいといった業者側の理由とがあいまって、完成・引渡しされる物件が2月から3月に集中し、工期が逼迫するためだ。

 引き渡し前には現場で「完成内覧会」があるのが一般的だ。内覧会は「契約者による最終確認」といった意味合いが含まれており、「建物を確認した旨の書類」に署名することになる。引き渡し後には無償補修の「アフターサービス」があるが、補修までに時間がかかったり、入居後に責任の所在が曖昧になったりしてもめることも多いので、引き渡し前の内覧会では、建物の仕上がりをしっかりとチェックしておきたいところだ。

写真1 排気ダクトが排気口に接続されていない

 さくら事務所のホームインスペクション(住宅診断)の実例から、ありがちな事例をいくつかご紹介しよう。 写真1はとあるパワービルダー(低価格の建売住宅を大量供給する事業者)の新築一戸建て。工事を急いだのか、ユニットバスの排気ダクトが壁の排気口に接続されていない。たんなるうっかりミスと思われるが、このまま生活を始めたら屋根裏には湿気がたまり、カビやシロアリの温床となるだろう。やがては木材の腐食につながり建物を傷める。

 写真2は新築一戸建ての床下。押し入れの下部にあるべき断熱材が入っていない。

 写真3は新築マンションの天井裏。断熱材が電気配線によってぐちゃぐちゃに巻き込まれてしまっている。

 

写真2 床下に断熱材が入っていない
写真3 断熱材が電気配線に巻き込まれている

写真2、3とも、このままでは当然、想定した省エネ性能は発揮できないだろう。一戸建て、マンションともに、床下や天井裏には点検口がついていることが多い。点検口は必ず開けて、工事の状態を確認してみよう。

写真4 管の周囲に隙間ができている

 写真4は新築一戸建ての外壁。給湯器の配管を通すために壁に穴を開けているが、こうした箇所はゴム状のコーキング剤で丁寧に塞いでおく必要がある。隙間があれば、そこから雨水が建物内部に侵入する。

 これはユニットバスやキッチンの排気管はもちろん、サッシまわりも同様で、建物に穴を開けた部分の雨漏り防止はこうしたコーキング剤に依存している。こうした材料の寿命は7~10年程度で、昨今では耐久性の高い材料も出ている。入居後も定期的な点検は必要だが、いずれにせよ、入居前にしっかりと補修してもらおう。

 内覧会で確認できた不具合は、原則引き渡し前、つまり残金を支払う前までに補修してもらうのがセオリーだ。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)、『不動産投資 成功の実践法則50』(ソーテック社)など、著書多数。

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