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これでいいのか!? お正月

立川談笑

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NIKKEI STYLE

私と、私の弟子二人。談笑一門で毎週したため続けるこの連載では、共通のテーマでエッセーを順番で書きなぐっています。我々の商売である落語の前振りとしての雑談(マクラ)のようなものをぶつけ合うから「マクラ投げ」。本年もどうぞよろしくお付き合いください。

年始でもあり、気が向いたのでここまでの連載を振り返ってみます。どうやら、執筆を担当する各人の傾向が明確になってきました。評価をしますよ。

まず笑二(しょうじ。私の2番目の弟子。沖縄初の落語家)。自らの実体験を掘り起こして話を進める傾向です。ワハハと面白い実体験ばかりで、良い。しかも、ネタ収集のため奇行や無茶に走りがちな「若手お笑い芸人」的なエピソード作りにまい進しないのがエライ! むしろ、通常であれば見過ごしてしまいそうなポイントをすくい上げてて、ぐいっと広げる着眼点と構成力が楽しい。

そして笑二の次、いつも2番手として笑二の後に共通テーマに挑む吉笑(きっしょう。一番弟子。京都府出身)は、ファンタジーに持ち込む傾向です。ちょっとした比喩、誇張、例え話(メタファー)をきっかけにそれを少しずつ、なおかつ大幅にエスカレートさせて、読み手を普段の現実世界から破天荒な謎世界に迷い込ませて楽しませる。この手法は、彼の作る新作落語に通じています。面白い。

誰もが思いつかなかった着想をつかむのは総合格闘技での関節技を彷彿(ほうふつ)とさせます。「うっそ! 膝関節を狙うと見せかけたのはフェイクで、実は首関節を狙ってたか! さらに肩関節までも! えー、腰まで極(き)めるのか!」みたいな。……って、ちっともわかりませんよね。私も自分で何を言ってるのか、さっぱり分かりません。わはは。少なくとも、笑二よりも多い字数をかけてたっぷり言及することによって一番弟子としての彼のプライドを満足させようという配慮があります。

さて、こうなると私、談笑の傾向にも触れざるをえませんね。正直に評価してみます。自覚としては、古い記録や最新のデータに基づいた話をしたがるのです。ひとことでいうと「常識をくつがえしたい」。いや、これだと誤解を生みかねません。革命家みたいだもの。「常識を疑ってかかる姿勢」。うん、この程度ですね。大げさな例にたとえると、「地球って丸かったんだ!」「人間って平等だと考えていいんだ!」みたいな、そういうことを言うのが理想です。まずはアウトサイダーな視点を設定して、そこから常識を見直して何か言ってみたいと思っています。

さて、この一連で何が言いたかったかというと、私も含めて弟子たちもそろそろみんなパターン化しているぞ、ということです。

「ああ、また例の、このパターンね」

って浅く見られたら残念じゃないか。お弟子さんたちよ。だから、少しずつでもいいから別パターンを試していこう。落語も一緒さ。特に我々立川流は、他所(よそ)よりも高座が限られる分、この世界で売れようと思えばどうしたって自分で手を挙げる独演会が増える。そして、たったひとりで2時間以上もお客様を存分に楽しませるには、落語の演目や演出のバリエーションの広さが大切になるんだ。

他所の大きな団体だったら、寄席があってチームプレーの一員として専業特化できるところだろうけど。ウチ=立川流ではそれじゃあ食っていけない。工夫に工夫を重ねて、お客様を楽しませるエンターテインメントとしての落語を様々なパターンで用意しておくべきだと、師匠としては思うぞ。

以上、業務連絡おわり!……って長いな!w。

ようやく最初のテーマ「年賀状」の話題に入ります。そろそろこのページも終盤です。すみません。話は、年賀状。聞けば、弟子たちは年賀状を出さないんだそうです。「仕事関係で問題はないのか?」と私はとても心配になりますが、彼らの世代ではそんなものなのでしょう。

驚くデータがあります。お年玉付き年賀はがきの販売枚数は、このわずか数年で3割も減ったとありました。わお! そこから私が想像するに、今の時点で年賀状を本気でやりとりしているのは40~50歳台。もちろんそれ以上も含むけど枚数はどんどん減っていく。

そういう私自身は、真正面から年賀状を出す姿勢です。いっぱい出すし、当然いっぱい来ます。出すのはざっと300枚。一方的に挨拶をするのもあれば、逆に一方的に挨拶されれるだけのもあるから、年賀状をいただくのもだいたいそんなくらいです。

そんな中、近年では印刷だけで直筆コメントすらない年賀状は、かえって寒々しく感じるようになりました。「年賀状だけやりとりする程度の付き合い」という表現がありましたが、その空虚感に、今どきはさらに拍車がかかっている気がしてなりません。

そんな年賀状の付き合いに比べれば、ツイッターやフェースブック、インスタグラムなどで孫の写真をアップしている知人に「いいね」ボタンをポチッとするだけでもずいぶんつながっている感じはするものです。たとえ何年も顔を合わせていないとしても。

「年賀状」という私たちの習俗もひょっとしたらあと20年もしたら消えてなくなるのかもしれません。見渡してみれば、今年も去年にましてお正月の晴れ着をめっきり見かけなくなりました。少しずつ私たちと私たちの心は変貌しています。お正月らしい雰囲気も年々その味わいを薄れさせているようです。さみしい話でごめんなさい。原因には少子化もあるのかなあ。羽子板、凧揚げ、福笑い、かるた取り。お正月の風物詩としてはどうなのかしら。

パッと見た街のにぎわいとしては、もはや明らかにお正月よりもクリスマスの方が断然盛り上がってると感じませんか。なんなら新興勢力のハロウィーンにも負けそうなありさまです。ついでですが年末の「紅白歌合戦の視聴率が低迷」なんて話題を耳にしますが、この年越し=お正月の劣化とは無縁ではないと私は考えています。

これからどうなっちゃうんだろう。いまさらながら、年賀状の「状」の字にこもった思いが大好きなのです。「招待状」「案内状」「果たし状」。居住まいを正して思いをこめた手紙を「状」と呼ぶように思えませんか。そんな「状」と「情」が重なりながら廃れゆくさまを目の当たりにするようで、心がざわざわするのです。

今年が皆様にとってますますよい1年になりますよう、心からお祈りしております。

本年もどうぞよろしくお願いします。

☆        ☆        ☆

次回のテーマは、「バレンタインデー」。弟子たちよ、晴れがましくて切なかったあの日の思い出を披露してくれたまえ。頼むぜ。まず、笑二!

(次回1月22日は立川笑二さんの予定です)

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>吉笑(二ツ目)、笑二(同)、笑坊(前座)の弟子らとともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は1月26日の予定。独演会は2月23日、3月18日、4月5日の予定。

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