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フィンランドでくつろぐ 「森の民」の休日 東京大学准教授 五十嵐 圭日子

2017/1/16

 美しい自然や民話の舞台として知られる北欧。そこで暮らす人々の生活はどんなものだろう。東京大学准教授で、北欧最大の研究機関、フィンランド技術研究センター(VTT)で客員教授も務める五十嵐圭日子(きよひこ)氏に、北欧の魅力や、「人生を謳歌する」人々の暮らしぶりを紹介していただく。1回目は「森の民」と呼ばれるフィンランド人の週末の過ごし方から。

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■ヨーロッパの玄関

 「フィンランド」という国に皆さんはどのようなイメージをお持ちだろうか?

 2016年の初めから、仕事で年に数カ月ほどフィンランドで暮らすようになった筆者が、渡航前に持っていたイメージはサンタクロースとムーミン。その他にもリナックスやノキアなどのIT(情報技術)関連企業が有名であるし、洋服や食器に興味のある方ならマリメッコやイッタラといったデザイン関連企業が、その独特な世界観で多くの日本人を魅了していることはご存じかもしれない。

 ヨーロッパへ行くことがあれば、機内アナウンスで「現在、フィンランド上空を飛行中で、あと○○分後に飛行機は降下を開始します」と流れるのを聞くことだろう。実は日本からヨーロッパへ(北回りで)行く時は必ずフィンランドを通ることになるため、フィンランドは「ヨーロッパの玄関」なのである。

 このように、そこそこ有名なプロダクツがあって、ヨーロッパへ行く時は必ず遭遇する守衛さんのような国であるフィンランドであるが、そこに住む人たちがどのような生活をしているのかは、ほとんど知られていないのではないだろうか?

■「森の民」フィンランド人

ヘルシンキにあるウスペンスキー教会はロシア正教の教会。ロシア統治時代の名残とも言える

 フィンランドは、スウェーデンとロシアの引っ張り合いに巻き込まれてきた歴史を持つ。その名残は今でも国のあちこちに見られ、例えばロシア正教の教会(ウスペンスキー教会)は首都であるヘルシンキに今でも残っているし、道路標識やスーパーマーケットの食品には必ずフィンランド語とスウェーデン語が並んで記されている。ちなみにフィンランド語では、アルファベットの並びからそれが何なのかを推測することがほぼ不可能なので、私の場合はより英語に近いスウェーデン語の表記から推測して生活している。

 そのような引っ張り合いの歴史の中で育まれたフィンランド人の性格は「シャイで無口」と言われているが、そこは「日本人」という十把ひとからげのパーソナリティーが存在しないのと同様、必ずしもそのような人達ばかりではない。もしフィンランド人に共通のパーソナリティーを見いだそうとするなら「森の民」であることくらいであろうか。

 しかし、国土の面積に占める森林の割合は日本とほぼ同じ7割なので、日本人も「森の民」と呼ばれてもおかしくないはずである。なぜ特にフィンランド人だけが「森の民」なのだろうか? フィンランドで暮らすにようになって、このような数字には表れてこないフィンランド人と日本人の違いを感じている。フィンランド人は「森に住んでいる民」というより「森によって生かされている民」なのである。

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