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シェアリングエコノミーの拡大や人工知能(AI)の普及をはじめ、既存産業の枠を超えた大きな変化が起こっている。東京五輪を控える2020年を見据え、激変する環境の中で伸びる企業の条件は何か、働く私たちは何を考えるべきか、5人のトップコンサルタントに聞いた。

最終回はアクセンチュア執行役員の立花良範氏。デジタル化が進む時代だからこそ、それらを使いこなす「ひと」を主役に。最新のテクノロジートレンドとその事例を聞いた。

◇   ◇   ◇

人工知能、プラットフォーム 様々なテクノロジートレンド

デジタル化が進むこれからの時代において、企業は単に多くのテクノロジーを取り入れたり、人間の仕事を機械で代替したりするだけでは、成功を収めることが難しくなります。あらゆるビジネスが人工知能やロボットなどでデジタル化される時代だからこそ、それらを使いこなす従業員やエコシステムのパートナー、消費者といった「ひと」に新しいスキルを与えることが重要になってきています。

先進的な企業は、機械を新しい働き手として位置づけ、「ひと」と機械の協働によるインテリジェント・オートメーションを進めています。「ひと」は高付加価値を生む業務に注力できるため、生産性の向上が期待できます。たとえば塩野義製薬では、新薬開発におけるコスト減と時間短縮のために、人工知能を活用した臨床試験解析のセミオートメーション化に着手しています。

また、プラットフォームを軸にしたビジネスモデルも押さえるべきトレンドの一つです。典型的な例は、米アマゾンや米アップルでしょう。消費者が欲するものを提供してそのハートをつかむ一方で、自分たちのプラットフォームに集うビジネスパートナーという「ひと」のニーズもつかむことで、広範なエコシステムを構築しているのです。

テクノロジーを利用することで、IT(情報技術)企業でなくても様々な企業が、従来に比べて容易にプラットフォームを構築できます。とはいえ、必ずしもプラットフォームのリーダーになる必要はありません。たとえば、ソニーはゲーム機のプラットフォームにおけるリーダーの1社といえますが、スマートフォン分野においてはリーダーとしてではなく、内蔵されるカメラのイメージセンサーの提供者として、大きなシェアを獲得しました。つまり、そのエコシステムの参加者として成功しているわけです。

企業のリーダーは、顧客の求める成果を実現するために必要なプラットフォームを定義し、一つひとつのプラットフォームにどう関わるかを適宜判断していくことが求められます。

成果を端的に問われるデジタル時代、必要な事は

また、ビジネスのデジタル化により「商品やサービスの提供」から「成果の提供」へと経済が変化してきています。たとえばタイヤメーカーの仏ミシュランは、タイヤにセンサーを埋め込み、利用状況を収集・分析することで走行距離に応じて課金するリースサービスを開発・提供しています。これにより、顧客は交換や整備を気にせずタイヤを使用できます。顧客が欲しいのはタイヤという商品ではなく、移動という成果であることに焦点を当てた、顧客本位のビジネスモデルといえます。

デジタル時代において、企業は従来型ビジネスを展開するだけでは、あっという間に新興企業に市場を奪われてしまう恐れがあります。こうした時代だからこそ、企業は「ひと」を主役にした仕組みづくりに注力してテクノロジーを最大活用し、顧客の求める成果を理解してスピーディーに多くの価値を生み出していくことが重要だと思います。

立花良範(たちばな・よしのり)
アクセンチュア 執行役員 デジタル コンサルティング本部 統括本部長
これまで様々な業界・企業におけるITビジョン、中期計画策定やエンタープライズアーキテクチャー・デザインを手がける。2015年よりデジタル コンサルティング本部統括として、デジタルマーケティング、アナリティクス、モバイル、IoTといったテーマで数多くのクライアントのビジネス・イノベーションを支援している。
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