Macに3つの秀逸機能 iOS連係で便利になった
「iPhoneやMacにはもう進化の余地があまりないのでは?」と言われる昨今だが、2016年もアップルから発表された多くの製品に新機能が搭載された。
そこで2016年にリリースされたアップル製品や新OSのなかから、今後も普遍的に使われるだろう便利機能を3つピックアップして解説しよう。
【1】iPhone・iPad・Macで使える「ユニバーサルクリップボード」
コピー・アンド・ペースト、いわゆる「コピペ」は、今やパソコン・スマートフォン(スマホ)を問わず当たり前に使われる、なくてはならない機能だ。2016年のiPhone・iPad・Macに搭載された「ユニバーサルクリップボード」では、端末を超えてコピペできるようになった。
ユニバーサルクリップボードはテキスト、画像、動画など、通常のコピペが対応しているほとんどのものが対象になる。iPhoneのアプリ内のテキストや画像を、MacやiPadで使いたいと思ったときは、これまでは「メモ」アプリなどを経由してやりとりしなければならなかった。しかしこの「ユニバーサルクリップボード」を使用することで、例えばiPhoneでコピーしたものをMacやiPadでペーストするだけで済むようになり、圧倒的に楽になった。
コピペする端末同士は、同じApple IDでiCloudにサインインしていて、BluetoothとWi-Fiをオンにしておく必要がある。コピーしてからペーストまでの時間は2分以内という制限があるものの、今までと同じ操作でできるのだからすごい。筆者の中ではすでに当たり前の機能になっている。
例えば、Macで文章を書いているときに、iPhoneで表示したウェブページのスクリーンショットを撮りたいことがある。その際、Mac上の文章のURLをコピーし、iPhoneのSafariでペーストすれば、簡単にそのウェブページを開ける。
また、アプリのプロダクトIDやシリアルナンバー、ログインパスワードといった重要な情報を管理するパスワード管理アプリを使っている際にも便利なことがある。iPhone版、Mac版の両方を持っていなくても、一方からもう一方へコピペで安全に入力できる。その他にも、さまざまなところで利用できるはずだ。
なお、iCloudへのサインインは端末の認証に使用するだけで、データはクラウドを経由せず、端末同士で直接通信する。安全な上に、端末それぞれがネットワークに接続していなくてもよい。
【2】MacのロックをApple Watchで自動解除
2つ目は「Apple WatchでMacのロックを解除できるようにする」という機能だ。Apple Watchを腕につけていると、Macのロック画面でパスワードを入力しなくても解除してくれる。パスワードを入れるのは起動直後の1回だけで、ログアウトしない限りはパスワードの入力操作は不要になる。
これならば、Macにかなり複雑なパスワードを設定しておいても不便なことはない。また、Macから2メートルほど離れるとロックは解除できなくなる。
一方、Macのロックを解除するApple Watchは、腕につけてありそれ自身のロックが解除されている必要がある。Apple WatchのロックはiPhoneのTouch IDで解除できるようにしておけば、さらに便利だ。
Macはモデルによって対応の可否が異なるが、基本的に2013年以降の機種で最新の「macOS Sierra」がインストールされていれば使用できる。一方Apple Watchは第1世代でもこの機能に対応している。Apple Watchを持っているなら、使わない手はない機能だ。
【3】SiriがMacにも対応
iPhoneやiPadでおなじみの音声アシスタント「Siri」が、Macにも対応した。呼びかけることでSiriを起動させる「Hey Siri」機能はないのだが、メニューバー右端のSiriアイコンをクリックするか、あらかじめ設定したキーボードショートカット(option+スペースキーを押し続けるなど)で呼び出せる。パソコンでの使い勝手としては悪くない。
操作の仕方や話しかけ方のコツはこれまでのSiriと同じだが、他のアプリを使いながら、画面の片隅で実行できるところが面白い。例えば、ワープロで文章を作りながら、知りたいことをSiriに検索してもらえるので作業が中断しない。本当に「アシスタント」がそばにいるような使い心地だ。またSiriが応えた結果に対して、さらに継続した指示もできる。
iPhoneやiPadでは、Siriに面白い回答をしてもらうといったネタ的な使い方が多かったが、Macに対応してようやく実用的になったと個人的には思う。
(ライター 伊藤朝輝)
[日経トレンディネット 2016年12月20日付の記事を再構成]
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