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鈴木ともみの気になるハナシ

17年の女子は自律力~真田丸きり・長澤まさみに学ぶ

 

2017/1/11

 経済キャスターの鈴木ともみです。今年は酉(とり)年。 相場格言には「申酉騒ぐ」の言い伝えがありますが、申(さる)年の昨年は、国内外共に政治・経済、社会、エンタメ(芸能界)に至るまで、本当に騒がしい一年となりました。

 そうしたなか、今年はせめて自分の周囲くらいは世間に翻弄されることなく、自身の軸を定めて着実に前進していきたい!と、心新たにするのが年初の常……。では、「自身の軸を定めキャリアを築いていく」ためにはどのようなスキルや能力が必要になってくるのでしょうか。

 年明け早々に、ラジオ番組でもお世話になっているキャリアコンサルタントの先生にその質問を投げかけたところ、「今の時代には『自律力』が重要」との答えが返ってきました。「自律力」……最近ではキャリアの世界でも、この「自律」がキーワードになってきています。

 デジタル大辞泉によれば、「自律」の意味は「他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること」とありました。一方、対義語の「他律」を調べてみると「他の領域に支配されること」とあります。

 「自律」した人、すなわち他からの支配を受けず、自身の規範を基に行動する人……そんな人物はいるのだろうか?と思い巡らせたところ、はたと思い当たる人物がいました。 その人物とは、NHK大河ドラマ「真田丸」に登場したヒロインの「きり」。乱世の戦国時代に生きながらも、他からの支配に屈することなく、自身の信念と規範の基に強く生き抜いた女性です。

■信念を貫く凜としたきりの姿勢

 長澤まさみさんが演じた「きり」については、ドラマの前半では主人公の真田信繁(幸村)に対する強気な態度や、清純派ヒロインにはあり得ないウザさに賛否がありましたが、後半にかけては、信念を貫く凛(りん)とした姿から一気にその評価が上昇しました。 信繁が「豊臣軍に加勢するか、九度山での生活を続けるか」の選択を迫られる場面での信繁を奮起させる諭し方や、正妻から信繁への忠誠心を問われた場面での「もはや菩薩(ぼさつ)の域ですよ」と答える懐の深さなどは、同性でも見ほれてしまうほどの心意気が感じられ、女性視聴者のハートを一気につかんだようです。私の周囲でも『三歩下がり過ぎず、出過ぎずの姿がかっこいい』との声が上がっていました。

 この「きり」の評価に比例して、「女優・長澤まさみ」への女性票も増えたように感じます。

 長澤さんは12歳の時に第5回「東宝シンデレラ」でグランプリを獲得、その後は映画『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004年)や『タッチ』(2005年)などで清楚(せいそ)で可憐(かれん)なヒロインを好演、10代で清純派女優としての地位を確立しました。

 10代の頃は、圧倒的に男性からの人気が高く、各メディアが実施する「恋人にしたい有名人ランキング」アンケートでは、常に上位にランクインしていました。

■演技力を磨き、独自の存在へ

 転機を迎えたのは24歳の時。「脱・清純派女優」のきっかけとなる映画作品『モテキ』で大人の色香も漂う小悪魔的なヒロインを能動的に演じ、数々の賞を受賞、女優としての新たなる一面を開花させました。

 その後は、ヒロインだけでなく脇役を演じることも増え、演技力と存在感を示しながら着実に独自のキャリアを築き上げています。

 長澤さんの場合は、異性からの評価に支配されることなく、役者らしい選択と行動を能動的に重ねてきたからこそ、共感票ともいえる女性票も獲得できたのでしょう。

 実は「自律力」に関してはドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』の主人公『みくり・新垣結衣』にも『きり・長澤まさみ』と似たものを感じていました。

 『逃げ恥』では、雇用関係を結ぶ形で偽装結婚した男女の恋模様が描かれていましたが、もともとは自身の社会的存在意義を確認したいというみくりの自己主張から始まった物語でもありました。

 また、料理、洗濯、掃除などを完璧にこなす姿に女子力の高さが垣間見えたものの、ドラマの佳境で、みくりは『本当は家事など好きではなく、プロの職務として全うしただけ』と、女子の気質に欠けた本音を暴露しています。

■逃げ恥・みくりとも共通点

 2人のキャラクター「真田丸・きり」と「逃げ恥・みくり」の共通点を探ってみると、2人とも最初は「ウザい」「小賢(こざか)しい」などと男性から煙たがられていた点が挙げられます。

 にもかかわらず、信繁に「ウザい」と言い放たれていたきりも、最後には愛情と感謝のキスをされ、元恋人から「小賢しい」と罵倒されたみくりも、最後には夫婦を超えた絆で結ばれた相手と心を通わせ合います。

 自身の軸を持った自律力が個性として認められ、結局は男性にも魅力として伝わっていくのです。

 こうして2016年後半の話題をさらった女性2人の人気急上昇の背景と共通項をひもといてみると、すでに女性を取り巻くキーワードが「女子力」から「自律力」へシフトしているのではないか……という仮説すら感じられます。

 2017年はこの仮説について、じっくり検証していきたいと思っております(笑)。

鈴木ともみ(すずき・ともみ)
 経済キャスター、ファイナンシャル・プランナー。日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。TV、ラジオ、各種シンポジウムへの出演の他、雑誌やWeb(ニュースサイト)にてコラムを連載。主な著書に『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。株式市況番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重TV・ストックボイス)キャスターとしても活動中。

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