ソーシャルギフト急加速 100円コーヒーで手軽に感謝
SNSやメールで、ちょっとした贈り物を友人や家族に送信できる「ソーシャルギフトサービス」の利用が急加速している。業界トップを走るのはベンチャー企業のギフティで、同名サービスの2016年10月末の会員数は約60万人。15年から倍増した。
歳暮などのフォーマルなギフト市場が縮小する一方で、ギフティが捉えたのは、日常のコミュニケーションの延長線上にある「重くないギフト」市場。友人への誕生日メッセージや妻への日頃の感謝を文字だけで送るより、身近な商品を添えたほうが気持ちが伝わるというわけだ。
ギフト対象商品は、スターバックス コーヒーやファミリーマートの500円券、ローソンの100円コーヒーの他、一蘭のラーメン引換券といった変わり種もそろう。贈る側はギフティで商品を選んで購入し、URLなどを相手に送信。受け取る側は取得した電子チケットをスマホで提示するなどし、実店舗で贈られた商品と交換する。「利用者の7割ほどがLINEで送信。相手の住所がわからなくても送れるので、好きなネットアイドルに商品をプレゼントする人もいる」(ギフティの太田睦社長)
ギフト商品のなかには1度に6枚まで送れるものもあり、「夫婦でコーヒー飲んで」などと小粋な心遣いも演出できる。また、プレゼントした商品と同じ物を、贈った側が受け取れるキャンペーンなども行われ、得する要素があることも魅力だ。
一方、商品を掲載する飲食店や小売店にとっては、ギフトを受け取った人が来店し、ついで買いを狙えるのがメリット。「従来のクーポンの利用率は良くて5%程度だが、知り合いから贈られるギフティ経由では来店のモチベーションが高く、7~8割が引き換える」(太田氏)という。加えて、商品を贈る人はなじみのファンでも、受け取る側は新規の客という可能性もあり、企業の参加意欲は非常に高い。よりカジュアルなギフト習慣が、日本でも一気に定着しそうだ。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2017年1月号の記事を再構成]
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