2017年の格安SIM 使い方別のお勧めサービス6選
大手携帯電話会社よりも通信料金が安く、利用者が着々と増えている「格安SIM」。格安SIMを提供する各社からは、バリエーションに富んだ料金プランが登場している。
だが、数多く提供されている格安SIMとその料金プランのなかから、自分の使い方にぴったりのプランを選ぶのは大変だ。
そこで、本記事では格安SIM選びで注目すべき3つのポイントをピックアップした。各ポイントを詳しく解説するとともに、2017年におすすめの格安SIMを6つ紹介する。
【ポイント1】「通話定額」オプションはあるか
最初のポイントは、格安SIMが提供する通話料割引オプションについてだ。
大手携帯電話会社では、何分話しても通話料が掛からない通話定額プランが一般的だ。例えば、NTTドコモの場合、通話定額プランとデータ容量が月2GBまでのパケットパックを組み合わせると、月額料金は6500円となる。
一方、格安SIMの通話料は、30秒当たり20円の従量制が一般的だ。格安SIMで標準的な月3GBまで月額1600円のプランとNTTドコモの通話定額プランを比較すると、毎月約2時間(1日当たり約4分)以上電話をかける場合、ドコモより格安SIMのほうが料金が高くなる。
この問題を解決するため、最近では、各通話の最初の数分間が無料になる割引オプションを提供する格安SIMが増えている。一定の月額料金はかかるが、電話をかける頻度が多い場合、オプションを付けておくと通話料金が得になる。
また、専用アプリから電話をかけるだけで通話料が半額になるサービスを提供する格安SIMも多い。格安SIMを契約するときは、こうした通話料割引オプションが提供されているかを必ずチェックしておこう。
【ポイント2】SNSで使う通信容量は無料になるか?
2つ目のポイントは、特定のアプリやサービスによるデータ通信を無料化する「カウントフリー」と呼ばれる機能の提供状況だ。
例えば、2016年9月にサービスを開始したLINEモバイルの「コミュニケーションフリープラン」では、LINE、Twitter、Facebook、Instagramの通信が無料となっており、通信容量を消費しない(LINE LIVEなど一部の通信は無料対象外)。
上記のアプリを使っても通信容量が減らなければ、結果として他のアプリなどで使える通信容量が増える。そのため、対象のアプリをよく使う人ほど節約効果が高まる。
ちなみに、筆者がiPhone 7 PlusでTwitterを使ったところ、1時間当たり60M~70MBの通信容量を消費した。1日1時間使えば1カ月で2GB前後消費する計算だが、Twitterがカウントフリーの格安SIMなら、この通信量を節約できる。
どのアプリでどれくらいデータ通信を使っているかは、iPhoneなら設定アプリの「モバイルデータ通信」、Androidなら設定アプリの「データ使用量」など(機種によって表記が異なる)から確認できる。無料対象アプリの通信量が多ければ、こうしたカウントフリーを提供する格安SIMを契約するのがいい。
【ポイント3】大容量や使い放題のプランはあるか?
3つ目のポイントは、通信容量が多い大容量プランや、データ通信が使い放題のプランを契約できるかどうかだ。
ここ最近、毎月一定額を支払うことで作品が見放題・聴き放題になる動画や音楽の配信サービスが登場している。動画配信では「Amazonプライムビデオ」「Hulu」「dTV」、音楽配信では「Apple Music」「LINE MUSIC」「Spotify」が代表的だ。これらの配信サービスでは作品をダウンロードしながら再生する「ストリーミング」という配信方式が採用されており、視聴する時間が長くなるほど通信容量の消費も増える。
また、光回線やADSL回線など固定回線の代わりに、格安SIMを使ってインターネットに接続するユーザーも増えている。一時的な用途だけでなく、主な通信手段として固定回線を置き換えて使う場合、毎月の通信量はスマホで使う場合よりもずっと多くなる。
こうした大容量通信へのニーズに応える形で、データ通信を月20GB以上使えるような大容量プランや、毎月データ通信が使い放題になるプランを提供する格安SIMが増えている。
通信容量に上限があって月額料金が高い大容量プランよりも、通信容量が無制限で月額料金が安い使い放題プランのほうがお得に思えるが、両者は通信速度に違いがある。
大容量プランを提供する「イオンモバイル」「FREETEL SIM」と、使い放題プランを提供する「DTI SIM」「U-mobile PREMIUM」の通信速度を測ったところ、下り通信速度の平均はイオンモバイルが16.58Mbps、FREETEL SIMが20.72Mbps、DTI SIMが13.94Mbps、U-mobile PREMIUMが17.65Mbpsだった(iPhone 7 Plusにインストールした「RBB SPEED TEST」で5回ずつ測定した結果。長野県佐久市にて11月24日9時台に実施)。
U-mobile PREMIUMはイオンモバイルを超える平均速度を発揮したものの、タイミングによっては10Mbpsを切ることもあった。全体として見ると、使い放題プランの速度は大容量プランよりもやや遅い。
大容量プランを選べる格安SIMは、引っ越しや出張などで一時的に通信容量が必要なときだけプランを変更して、あとから元のプランに戻せる。一方、動画・音楽配信サービスをよく利用したり、日頃から固定回線を置き換えて使ったりするなら、割安な使い放題プランを選ぶのがいい。
以上3つのポイントを踏まえて、おすすめの格安SIMを6つ紹介していこう。
【おすすめ1】通話料をお得にする「楽天モバイル」
格安SIMの通話料金を減らしたい人には、楽天の「楽天モバイル」がおすすめだ。
楽天モバイルでは、データ容量が月3.1GB、月5GB、月10GB、月20GB、月30GBというように上限がある5つのプランに加え、最大通信速度が200kbpsの低速ながら、容量制限のない使い放題プランを提供している。
音声通話SIMでは、各通話最初の5分間が無料になるオプション「楽天でんわ5分かけ放題 by 楽天モバイル」(月額850円)を追加できる。5分を超えた通話料も通常の半額で、30秒当たり10円だ。月3.1GBのプランに追加した場合の月額料金は、2450円。低速使い放題プランなら、月額2100円だ。
1回の通話が5分以内で終わる人なら毎月21分30秒以上であれば、5分かけ放題オプションを付けたほうがお得。格安SIMから電話をかける機会が多い人や、1回の通話時間が長い人におすすめだ。
【おすすめ2】家族で使うならIIJ
家族間の通話料金を減らしたい人には、IIJの「IIJmioモバイルサービス」がおすすめだ。
IIJmioモバイルサービスは、NTTドコモのネットワークを使う「タイプD」と、auのネットワークを使う「タイプA」に分かれている。下り最大通信速度はタイプDが375Mbps、タイプAが370Mbpsとなる。
データ容量はどちらのタイプも月3GBまで、月6GBまで、月10GBまでの3つのプランから選べる。一般的な月3GBのプランにおける月額料金は、音声通話SIMが1600円、データ通信SIMが900円と標準的だ。なお、タイプAのデータ通信SIMは標準でSMSが利用できる(タイプDでは月額140円のオプション扱い)。
タイプDとタイプAの音声通話SIMでは、通話料割引サービスの「みおふぉんダイアル」が利用できる。通話料は30秒当たり10円だが、契約者IDが同じ音声通話SIMどうしでは、これよりも安い30秒当たり8円になる。
みおふぉんダイアルには、各通話最初の数分間が無料になるオプションも2種類用意されている。月額料金は最初の3分間(契約者IDが同じなら10分間)が無料になる「誰とでも3分&家族と10分」が600円、最初の5分間(契約者IDが同じなら30分間)が無料になる「誰とでも5分&家族と30分」が830円だ。
またIIJmioでは、月3GB/月6GBのプランでは2枚まで、月10GBのプランでは10枚まで(音声通話SIMは5枚まで)のSIM間で通信容量をシェアできるため、家族で使えばトータルの通信料金を割安にできる。家族で格安SIMを契約するのにおすすめだ。
【おすすめ3】SNSがタダで使える「LINEモバイル」
SNSの通信料金を節約したい人には、LINEの「LINEモバイル」がおすすめだ。
LINEモバイルではデータ容量が月1GBまで、月3GBまで、月5GBまで、月7GBまで、月10GBまでの5つの料金プランを提供する。一般的な月3GBまでの月額料金は、音声通話SIMが1690円、データ通信SIMが1110円で、格安SIMとしてはやや割高だ。
ただ、ポイント2でも触れたように、LINEモバイルではLINE、Twitter、Facebook、Instagramの通信が無料だ(月1GBまでのプランではLINEのみ。LINE LIVEなど一部の通信は無料対象外)。これらのアプリが通信容量を消費しないぶん、他のアプリで使える通信容量が増えたり、より少ないデータ容量のプランに引き下げたりできる。
例えば、他社で月5GBまでのプランを契約している人が、Twitterだけで毎月2GBの通信容量を消費している場合、LINEモバイルなら月3GBまでのプランで足りることになる。LINEやSNSによるコミュニケーションが欠かせない人におすすめだ。
なお、LINEモバイルでは格安SIMで唯一LINEの年齢認証を実行できるほか、SMSやFacebookアカウントによる認証をせずにLINEのユーザー登録が可能だ。また、データ容量が月3GBまで以上のデータ通信SIMには、SMS機能が標準で付属する。
【おすすめ4】YouTubeの通信量が無料になるBIGLOBE
外出先でもYouTubeや音楽配信サービスを楽しみたい人には、BIGLOBEの「BIGLOBE SIM」がおすすめだ。
BIGLOBE SIMでは、データ容量が月1GBまで(音声通話SIMのみ)、月3GBまで、月6GBまで、月12GBまでの4つのプランを提供する。一般的な月3GBまでの月額料金は、音声通話SIMが1600円、データ通信SIMが900円と標準的だ。
このうち、月6GBまでと月12GBまでの料金プランでは、「YouTube」「Google Play Music」「Apple Music」「AbemaTV」がカウントフリーになる「エンタメフリー・オプション」を追加できる。オプションの月額料金は音声通話SIMが480円、データ通信SIMが980円だ。
筆者がiPhone 7 Plusのモバイルデータ通信を用いてYouTubeの動画を再生したところ、1分当たりの通信量は約18MBだった。月6GBまでのプランを契約していても、YouTubeの動画を約5時間半視聴すれば通信容量を使い切ってしまう。
だが、エンタメフリー・オプションを契約すれば、YouTubeを何時間視聴しても通信容量は消費しない。無料の動画配信サービスを楽しむ人におすすめだ。
【おすすめ5】大容量プランを選べるFREETEL
月20GB以上の大容量プランを契約したい人には、プラスワン・マーケティングの「FREETEL SIM 定額プラン」がおすすめだ。
FREETEL SIM 定額プランでは、データ容量が月1GBまで、月3GBまで、月5GBまで、月8GBまで、月10GBまで、月15GBまで、月20GBまで、月30GBまで、月40GBまで、月50GBまでの10種類のプランを提供する。
一般的な月3GBまでの月額料金は、音声通話SIMが1600円、データ通信SIMが900円と標準的な価格だ。大容量プランの月額料金は、月20GBまでの音声通話SIMが5570円、データ通信SIMが4870円。月50GBまでの音声通話SIMが1万2500円、データ通信SIMが1万1800円となっている。
大容量プランの月額料金は、後に紹介する使い放題プランよりも高く、音声通話SIMは月40GBまでのプラン以降は1万円を超えてしまう。ただ、引っ越しで一時的に固定回線が使えない場合など、ライフスタイルの変化に合わせて通信容量が大幅に増えても、料金プランの変更だけで対応できる。
また、これまでのFREETEL SIMは、昼12時台や夜18時台など、通信速度が遅くなりがちな時間帯でも比較的速度を得られやすい格安SIMだった。快適な通信環境で動画や音楽の配信サービスを楽しみたい人や、外出先でいつでもスムーズにファイルをダウンロードしたい人にもおすすめだ。
【おすすめ6】通信速く使い放題の「U-mobile PREMIUM」
使い放題プランでも安定した通信環境を求める人には、U-NEXTの「U-mobile PREMIUM」がおすすめだ。
U-mobile PREMIUMは、U-NEXTとIIJの技術提携により実現した格安SIMだ。料金プランは使い放題の1種類のみで、月額料金は音声通話SIMが2980円、データ通信SIMが2480円となっている。
使い放題プランは、光回線やADSL回線などの固定回線代わりに使われることもあって通信量が多く、通信容量に上限があるプランに比べて速度も遅くなりがちだ。
だが、IIJの技術を取り入れたU-mobile PREMIUMは、使い放題プランとしては優れた通信速度を発揮する。ポイント3で触れたように、DTI SIMの使い放題プランと平日朝9時台の下り平均速度を比べると、DTI SIMが13.94Mbpsだったのに対し、U-mobile PREMIUMは17.65Mbpsと速かった。
また、格安SIMのなかには最初から通信速度の上限が3Mbps程度に抑えられている使い放題プランもあるが、U-mobile PREMIUMにはこうした制約もない。通信容量を気にせず、できるだけ安定した通信速度を得られる使い放題プランとして、U-mobile PREMIUMはおすすめだ。
(ライター 松村武宏)
[日経トレンディネット 2016年12月16日付の記事を再構成]
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