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地震保険に上乗せ補償 自宅再建可能な額に

 

2017/1/10

2016年4月に発生した熊本地震では地震保険の保険金支払件数が23万件を超えた

 戸建てを新築して地震保険に入りましたが、万が一の場合、建て替え資金の最大50%しか補償されません。住宅ローンを二重に抱えることがないよう補償を上乗せできないでしょうか。

 損害保険会社の火災保険では地震や噴火、津波などによる損害は補償されない。こうした自然災害リスクは巨大で、民間では補償責任を負いきれない可能性があるからだ。これらを補償する地震保険は国が最終的なリスクを引き受ける仕組みで運営されており、火災保険の保険金額の最大50%が補償される。

 もっとも、最大50%では自宅の建て替えには不十分で、自己資金がなければ二重ローンを抱えかねない。新たにローンを借りにくい高齢者などは自宅再建が難しくなるかもしれない。そこで、いくつかの損保会社が地震保険の補償を上乗せする契約を扱っている。

 損害保険ジャパン日本興亜は2015年10月から火災保険に「地震危険等上乗せ特約」を付けられるようにした。地震保険と同額の保険金が出るため、合わせれば建て替え資金の100%をまかなえる。「昨年4月の熊本地震を契機に関心が高まり、現在は月300件前後の新規契約がある」(リテール商品業務部)

 地震保険と同額の保険金が出る上乗せ特約は、東京海上日動火災保険の「トータルアシスト超保険」にもある。ただし、これは火災保険だけでなく、自動車保険、生命保険などと組み合わせて契約する生損保一体型の保険だ。

 SBIリスタ少額短期保険の地震補償保険「リスタ」は地震保険と仕組みがやや異なるが、自治体発行の「り災証明書」に基づいて保険金が出る。補償額の上限は世帯人数によって決まり、5人以上なら900万円。地震保険に加入せず、リスタ単独で契約できる。

 地震保険の仕組みが一部変更されたことも覚えておきたい。昨年まで損害の程度は「全損」「半損」「一部損」の3区分で認定され、それぞれ保険金額の100%、50%、5%の保険金が出ていた。この1月からは半損が「大半損」「小半損」に細分化され、それぞれ同60%、同30%の保険金が支払われる。

 同時に地震保険料は全国平均で5.1%上がった。東京都の木造の一戸建ての場合、地震保険1000万円の保険料は年3万2700円。損保ジャパンでは、これとセットで加入する火災保険2000万円の保険料が3万1440円、さらに地震危険等上乗せ特約を付けると6万4580円かかるため、保険料は合計12万8720円に膨らむ。

 民間の上乗せ補償の保険料は地震保険に比べて割高だ。加入を検討するなら、万が一の際に建て替え資金の50%を超える補償が必要かどうか見極めたい。地震によって発生した火災の損害だけを補償する特約なら保険料を抑えられるが、地震の揺れや津波、土砂崩れ、地盤の液状化による損害は補償されない。

[2017年1月4日付日本経済新聞朝刊]

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