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他人の年収、知るべからず 格差社会の人付き合い

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日経ウーマンオンライン

ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国の次期大統領になった背景には、「経済格差」があると言われています。

2008年リーマン・ショックから2014年の間に、アメリカ国内の富裕層は所得水準が上昇しましたが、一方で、中間層や低所得者層の所得水準は平均的に低下しました。「なぜ、私たちの生活はよくならないのだ」と不満を持った層が、トランプ氏に票を入れたと分析されています。トランプ次期大統領誕生をきっかけに、経済格差という言葉がさらに聞かれるようになりました。「大格差時代だなぁ」と感じる人は少なくないかもしれません。

でも、トランプ次期大統領を誕生させた背景はこれだけではないと、私は考えています。

世界レベルでは経済格差はむしろ縮小

実は、世界レベルでは経済格差はむしろ縮小しています。例えば、中国やインドといった新興国は、急激な経済成長を遂げています。国際通貨基金(IMF)のデータで、国ごとの物価の違いを調整した一人当たりの経済力(GDP)を見ると、中国は2000年から16年間で5.3倍に増えています。中国とアメリカのそれを比べると、2000年に「1対12.5」だった倍率が、2016年には「1対3.7(!)」まで縮小しているのです。

経済のグローバル化に伴って、新興国では所得水準が大幅に上がっていますが、アメリカ、ヨーロッパなどではそれほどの勢いはありません。

「"発展途上国"でしかなかった国々がどんどん豊かになっているのに、なぜ私たちの生活は豊かになっていないんだ!」と考える先進国の層が増えてきているのではないかと私は考えています。

そんな背景もあってか、アメリカをはじめ、ヨーロッパの各国では内向き論調にあるようです。「新興国を儲けさせるのでなく、自国をもっと豊かにしようぜ!」と……。

比較するとさらに格差を感じる?

この世界の事象から見えてくるのは、豊かさや幸福度を比較すると不満や格差を生じやすいのではないかということです。

幸福度についての経済学の研究を見てみると、非常に興味深い仮説が掲げられています。

・「全ての人の所得を上昇させると、誰の幸福度も上昇しない?」
・「自分の所得が上昇しても、他人の所得の方がさらに上昇していると、それによって自分の幸福度は低下してしまう?」

"Another Avenue for Anatomy of Income Comparisons: Evidence from Hypothetical Choice Experiments"
Yamada, K and M. Sato/Journal of Economic Behavior and Organization 89, 35-57, 2013

つまり、他者の所得と比較することで生じる感情が、自分の幸福度を引き下げているかもしれないのです。上記の論文では、このようなことを示しています。

この研究では、日本人をターゲットにして、他人の所得と自分の所得の上がり方について被験者に質問を行っています。これによると、他者の平均所得水準が上昇するのに伴って生じる感情の影響によって、自分の所得が上昇していても、その幸福度のプラスの効果が約46%打ち消されたそうです。

確かに、例えば、自分の所得が10%上昇しても、職場の仲間のほとんどが20%も上昇していたら複雑な気持ちになりませんか。比較から生まれるネガティブな感情パワーで世界が動いているぐらいですから、むやみに、自分の年収やお金の事情について人に話したり、相手の年収を調べたりするのは避けたほうがよさそうです。

一方で、この論文を書かれた山田克宣博士は、このような報告もしています。

旧ソ連のような経済成長著しい新興国では、ライバルや他者の給料が自分よりも上がっているのをみると、もうすぐ自分も上がるかも!と考えて幸福度が増すとか……。ミクロな私たちの生活に当てはめて考えてみると、ベンチャー企業や起業したばかりで勢いのある組織や仲間うちでお金の話をすると、比較することが向上心を沸かせるドライバーになるという見方もできます。

ただ冷静に考えると、自分のお金事情について話したり、相手のお金事情について調べたりすると、思いがけず、自分自身の幸福度まで下がってしまう可能性も。幸せに暮らすためには、むやみに「話す&知るべからず」です。

崔真淑(さい・ますみ)
マクロエコノミスト。Good News and Companies代表。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。化粧品会社エイボン・プロダクツ社外取締役。1983年生まれ。神戸大学経済学部、一橋大学大学院(ICS)卒業。大和証券SMBC金融証券研究所(現:大和証券)では株式アナリストとして活動し、最年少女性アナリストとして株式解説者に抜てきされる。2012年に独立。経済学を軸にニュース・資本市場解説をメディアや大学等で行う。若年層の経済・金融リテラシー向上をミッションに掲げる。

[nikkei WOMAN Online 2016年12月28日付記事を再構成]

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