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公式チケット再販で高額転売対抗 定価譲渡じわり浸透

2017/1/18 日経産業新聞

 大阪府の法律事務所に勤める松山浩史弁護士(仮名、46)は宝塚歌劇の大ファンだ。時間を見つけては妻と劇場に足しげく通うが、チケットはもっぱらネットの転売サイトで購入している。

 「数カ月先の仕事の繁忙なんて読めない。2週間前なら何とかなるかなと思って転売サイトでチケットを買うが、それでも行けなくなることがよくある」

 音楽団体などがチケットの転売に反対を表明していることについては怒りを覚えるという。「キャンセル不可、料金の払い戻しは原則応じないという仕組みを押しつけているくせに、利用者の取引の自由を制限しようというのは都合が良すぎるのではないか」

 こうした利用者の不満を真っ向から受け止めようとする動きが広がっている。ヤフーとエイベックス・ライヴ・クリエイティヴは2016年5月、共同出資会社パスレボ(東京・港)を設立した。ネットと音楽の大手がタッグを組んだのは、音楽ライブのチケットを主催者の公認で譲渡できるサービスを本格展開するのが狙いだ。

興行側が根絶したいのは、あくまでチケットを買い占めて高値でさばき荒稼ぎを狙う行為だ

 チケット販売サイト「ヤフー!チケット」に新機能を追加して公式再販を実現した。人気アーティスト「AAA」の元日ライブが第1弾だ。チケット購入後、体調不良などで参加できなくなっても、ヤフチケで開幕直前の昨年12月31日正午まで譲渡できるようにした。まずは定価譲渡に絞ったが「今後は柔軟な価格設定のほか、再販収益を興行主に還元する仕組みなども検討したい」(建山雄旗取締役)。

 興行側が根絶したいのは、あくまでチケットを買い占めて高値でさばき荒稼ぎを狙う行為だ。公式で譲り合う場を用意すれば、転売サイトでの出品、購入に大義はなくなる。「転売は禁止したいが、高額を払ってまで参加するファンを入場口で門前払いにするのは心苦しい」というジレンマを抱える興行主は多い。公式再販の導入で「転売チケットの入場不可」の規定が生きるわけだ。

 ただ、公式再販を正式な仕組みとして機能させるには、非公式の転売チケットを取り締まる必要がある。ヤフーとエイベックス・ライヴ・クリエイティヴによる取り締まりデビュー戦となったのは16年9月に開催された「ウルトラジャパン」。東京・お台場に3日間で約3万人を集めた巨大イベントで、大音響のダンスミュージックが鳴り響く傍ら、転売チケットの持ち主を次々にあぶり出した。

 入場口のスタッフがスマートフォン(スマホ)でチケットのバーコードを読み取る。転売チケットを見つけるとアラームが作動し、入場を水際で防ぐ。1日あたり1万人の観客をさばけるスピードがあり、特殊な技能や装置が不要な簡易さが売りだ。転売業者らの対策の恐れもあるため詳細な仕組みは非開示だが「偽造・転売チケットをほぼ百%見抜けた」(パスレボの建山取締役)という。

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