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おやつの作法 「深夜のドカ食い」より「夕方の甘味」

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2017/1/11

同じ糖質量なら、砂糖がたっぷりの菓子よりも、おにぎりや焼き芋のほうが太りにくく、生活習慣病になりにくい(c)PaylessImages-123rf

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 仕事で疲れたときに食べる甘いものはしみじみおいしい。また、おやつタイムが職場のコミュニケーションを円滑にしている場合もあるだろう。しかし、痩せたい人や生活習慣病が気になる人の場合、おやつを食べることには罪悪感が伴うことも……。今回は、おやつと上手につき合うテクニックを紹介しよう。

■おやつはマックス200kcalが目安

 日本は古くは朝夕2食で、昼食を加えて1日3食になったのは、江戸時代からだといわれている。「おやつ」は八つ時(やつどき、午後2時前後)に食べる間食のことだったが、後に、他の時間に食べる間食のことも含めておやつというようになったという。

 さて、1日3食の現代人に、おやつは必要なのだろうか?

 「3食しっかり食べて、その上でおやつを食べれば、エネルギーオーバーしやすくなります。しかし、朝食抜きの人や夕食を食べる時間が遅い人の場合、食事と食事の間に空腹感が強くなり過ぎて、次の食事の際、食べ過ぎてしまいがち。結果的に、血糖値を急激に上げ、中性脂肪を増やしてしまうことにつながり、肥満や生活習慣病を招くことがあります」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)

 空腹時にドカ食い、早食いをすると血糖値が急上昇する。すると、血糖(血液中のブドウ糖)をエネルギーに代えるためにインスリンが多く分泌される。インスリンはブドウ糖をエネルギーとして利用するために働いたり、肝臓や筋肉でグリコーゲンに合成する役割を果たすが、血液中のブドウ糖が多すぎると、余ったブドウ糖は最終的に中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられる。このため、ドカ食いなどで血糖値の急上昇を繰り返すと、肥満や生活習慣病になりやすくなるのだ。血糖値を乱高下させないためには、間食をうまく取り入れたほうがよいといえる。

 おやつというと想像するのが甘い菓子。いかにも体によくなさそうだが、実は、厚生労働省、農林水産省が作成した「食事バランスガイド」では菓子は特に禁止されていない。「楽しく適度に」として、1日200kcalを目安としている。200kcalの菓子とはおおよそ以下に相当する。

●どら焼き 1個(70g) 199kcal
●シュークリーム 1個(80g) 182kcal
●ミルクチョコレート 1/2枚強(35g) 195kcal

 ただし、菓子類は糖質や脂質が多い。食物繊維が含まれていれば、血糖値の急上昇を抑制したり、脂質の吸収を妨げて体外に排せつしやすくしてくれるが、菓子には食物繊維はあまり期待できない。つまり、太りやすい。菓子は“心の栄養”とはいえ、食べ過ぎないことが肝心だ。もっと言えば、体を気遣うなら、おやつはできるだけ“体の栄養”になるものが望ましい。

不足しがちな食物繊維がとれるナッツはおすすめ(c)イアンアレンデン-123rf

 「間食は3度の食事でとりきれないエネルギーや栄養素を補うために食べるもので、不足しがちなカルシウムや食物繊維がとれるものがおすすめです。カルシウムは牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品に、食物繊維は穀類、芋、果物、ナッツなどに多く含まれています。果物は若い世代では食べない人も多いですが、ビタミンCやファイトケミカル[注1]が豊富で、免疫力を高めて病気を予防したり、ストレスから身を守る働きがあります。果物は1日200gが目安です」(上西氏)

[注1]植物に含まれる化学物質のこと。抗酸化力があり、健康の維持増進に役立つと期待されている。

■菓子よりおにぎりのほうが太らない

 おにぎりや焼き芋のような糖質を、間食でとるのも一策だ。

 最近、糖質制限ダイエットが流行しているため、ごはんやパンなどの主食を抜いたり、量を減らしたりしている人が多い。しかし、「主食を変に制限することで、かえって太りやすくなっている人が多いように思います」(上西氏)

 主食を制限したら甘いものが無性に食べたくなった、という経験はないだろうか。「せっかくごはんを抜いたのに、食後に菓子をドカ食いしてしまった」というのは、糖質制限中によくある失敗談だ。

 「菓子に多く使われている砂糖のショ糖は、単糖が2つつながった2糖類なので、分解に時間がかかりません。そのため、食べると急激に血糖値を上げます。一方、穀類や芋のデンプンは、単糖が複数結合している多糖類なので分解に時間がかかります。また、デンプンには消化されずに小腸を通過し、食物繊維と同様の働きをするレジスタントスターチも含まれるため、血糖値の上昇が緩やかです」(上西氏)

 つまり、同じ糖質量なら、砂糖がたっぷりの菓子よりも、おにぎりや焼き芋のほうが太りにくく、生活習慣病になりにくいといえるのだ。「主食を控えて、お菓子をたくさん食べるのは本末転倒です。痩せたいのなら、ごはんは毎食適量を食べて、菓子類を控えるほうが有効です」(上西氏)

 では、「糖質が多い果物はどうなの?」と心配する人もいるかもしれない。しかし、果物に多く含まれている果糖やブドウ糖、ショ糖は、糖の結合数は少ないが、肥満や生活習慣病の原因にはならないとする報告が複数ある(「結局、果物は体にいいのか、悪いのか」参照)。食物繊維やビタミンがとれる点からも、菓子を食べるよりも健康的なことは確かだ。

 また、最近人気のナッツだが、ナッツは食物繊維のほかに、脂質やたんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む。つまり、非常に栄養価が高い。エネルギーが多いので食べ過ぎには注意が必要だが、おやつにおすすめの食品といえる。

■コンビニで入手可能な200kcal以内のおやつ

 おやつは職場で食べる人が多いだろう。そうであれば、手に入れやすく食べやすいものでないと現実的でない。そこで、コンビニやスーパーなどで入手できるもので、200kcal以内のおやつを考えてみた。

【おにぎり 1個】

 コンビニのおにぎり1個はだいたい200kcal。夕食が遅くなる日の夕方に1個食べると、夕食時のドカ食いを防げる。太りたくなければ夕食時の主食は控えめに。

【干し芋 小2枚+プロセスチーズ1個 合計182 kcal】

 さつまいもの甘さが凝縮している干し芋は自然なスイーツ。食物繊維が豊富だ。カルシウムやたんぱく質を含むプロセスチーズを組み合わせると栄養価がアップ。

【りんご 小1個+アーモンド12粒 合計195kcal】

紅玉サイズのりんごは約200g。これだけでもおなかにたまるが、ナッツの脂質が一緒にとった糖の吸収をゆっくりにして腹もちをよくする。ナッツは食塩不使用のものがベター。

【ドリンクヨーグルト(プレーン)+プルーン(乾燥)3粒 合計190kcal】

 ヨーグルトにはカルシウムやたんぱく質が含まれるが食物繊維は0。そこで、食物繊維が豊富なプルーンをプラス。ドライフルーツは高エネルギーなので食べ過ぎには注意。

 おなかがすく=血糖値が下がった状態だと、脳にもエネルギーが不足して集中力が低下しやすくなる(「カギは血糖値 脳のパフォーマンスを上げる食事術」参照)。空腹を我慢しながら仕事をすることは、仕事のパフォーマンス低下にもつながりかねない。おやつは種類を見極めて賢く食べよう。

※食品のエネルギーは「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を基に算出。おにぎり(梅)は「新 毎日の食事のカロリーガイドブック」(女子栄養大学出版部)より、ドリンクヨーグルト(プレーン)は「明治ブルガリアのむヨーグルトLB81プレーン」のエネルギー。

(ライター 村山真由美/イラスト Akiko Takagi)

■この人に聞きました

上西一弘(うえにし・かずひろ)さん
 女子栄養大学栄養生理学研究室教授。徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。「日本人の食事摂取基準2015年版」策定ワーキンググループメンバーを務める。

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