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浜松から彦根へ 17年大河「直虎」ゆかりの地を巡る

かみゆ歴史編集部 滝沢弘康

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NIKKEI STYLE

2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放送が1月8日から始まる。時代は武田信玄や織田信長らが活躍した戦国時代中期。次々と当主を失い存亡の危機にあった東海の名門・井伊家を、柴咲コウ演じる井伊直虎(次郎法師)が守り抜き、やがて彦根藩主となる井伊直政を気丈な武士へと育て導く物語だ。その舞台である遠江国、現在の静岡県浜松市にある井伊谷(いいのや)は、奥浜松湖に位置する風光明媚(めいび)な村落だ。井伊家の父祖伝来の地である井伊谷と、井伊直政が徳川家重臣として与えられた琵琶湖畔の彦根の2都市を訪ね、ゆかりの史跡と波瀾(はらん)万丈だった井伊家の物語をたどってみよう。

井伊谷散策は共保公出生の井戸から

浜松駅から北へ車で約40分程度。天竜浜名湖線を越えて稲荷山のある丘陵を下ると、眼下にのどかな田園風景が開ける。周囲を山に囲まれたこの地が、ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台となる井伊谷である。集落の中心を井伊谷川と神宮寺川の2本の川が流れ、今でも豊かな田畑が残っている。

井伊家の歴史は古く、平安時代後期には井伊谷を治めていたとされる。家祖である井伊共保は、井戸のかたわらに捨てられていた、または井戸の中から出生したという不思議な伝承を残す。浜名湖に近く、2本の川が流れる井伊谷は水に恵まれた土地であり、共保の出生は井伊家と水との深い結びつきを伝える伝説といえるだろう。以後、井伊家は代々、井伊谷を守護する領主として栄えた。

しかし戦国時代に入ると、隣国の今川家が強国となり、井伊家は今川家の軍門に下る。直虎の父である直盛は桶狭間の戦いで戦死し、直虎のいいなずけだった直親も陰謀で殺害され、家督を継ぐべき男たちが次々に死去してしまう。この井伊家存亡の危機に立ち上がったのが、柴咲コウ演じる井伊直虎であった。直虎は出家の身であったが、男性名を名乗って当主となり、直親の遺児であった虎松(のちの井伊直政)を引き取って養育した。そして、今川家や武田家などの大国から生家を守り抜いたのである。

井伊谷観光の中心地は、直虎が出家し、井伊家歴代当主を祭る龍潭寺(りょうたんじ)になる。この龍潭寺の南に広がる田園の一角に、共保公出生の井戸が残る。かつてはこの地に渭尹(いい)神社(渭尹八幡宮とも)があり、宮司が境内にあった井戸で赤ん坊の共保を発見したと伝わる。田園と山々を背景にした白壁の塀と門は、物語の世界に迷いこんだような不思議な空間だ。井伊谷散策は、やはり家祖の伝説を伝えるこの井戸から巡るのがよいだろう。

井伊谷観光のハイライトは井伊家の菩提寺・龍潭寺

龍潭寺は、この井戸から徒歩数分のところにある。開山は奈良時代の行基上人にさかのぼる古刹で、井伊家歴代の当主が帰依してきた。直虎が大叔父である南渓和尚の手引きにより出家して、次郎法師と名乗ったのもこの寺だ。ちなみに地元では、「直虎」ではなく親しみを込めて「次郎法師」と呼ばれるほうが多い。江戸時代初期の建立という山門をくぐると、ひっそりとした緑豊かな境内が広がる。本堂は伝説的な彫刻家・左甚五郎作のウグイス張りの廊下で知られ、本堂の裏手には井伊家歴代当主を祭る霊殿がある。国の名勝に指定されている庭園も見逃せない。江戸時代初期の作庭家・小堀遠州によって造られた池泉式庭園である。

龍潭寺には井伊家歴代当主の墓も残り、ドラマに登場する直虎・直親・直親夫人・虎松(直政)の墓碑が並んでいる。また、この墓地には直虎を支え続けた新野左馬助ら忠臣たちの墓も残る。見逃しがちなので注意しよう。墓地を北へ進むと井伊谷宮へと抜ける。井伊谷宮は井伊家ゆかりの宗良親王を祭っており、かたわらの井伊社とともに明治時代に建てられた。おみやげに、境内で販売されている直虎が描かれた絵馬や手鏡形のお守りはいかがだろうか。

直虎が城主を務めた井伊谷城へ

ドラマのタイトルに「おんな城主」とあるが、直虎が城主を務めたのが井伊谷城である。井伊谷城は龍潭寺の北側、比高30メートル程度の小高い丘上にある山城だ。「小高い丘」と書いたが、山頂に続く遊歩道はかなり急。15分程度のハイキングだが、歩き慣れたスニーカーなどで行くことをおすすめする。

体力不足の人にはかなりこたえるだろうが、山頂からは井伊谷エリアが一望でき、遠く浜松市街地まで望むことができる。直虎も見た光景だ。山上には、土を盛った土塁など、山城の遺構がかすかに残されている。城としての見どころは正直乏しいが、山頂からの眺望はがんばって登る価値があるだろう。

それでは直虎も毎日この山を登り下りして暮らしていたのかというと、そんなことはない。戦国時代中期までの城は、山頂にある城と山麓の居館を使い分け、合戦などのときだけ山城に籠もった。直虎ら当主が平時に暮らしていた居館は山麓にあったのだが、跡地は住宅地になっており、現在はわずかに説明看板が立つのみである。場所がわかりにくく、現地で探しても見つからない場合は、地図アプリなどで「引佐町第四区公民館」と検索するといいだろう。

井伊谷城の麓には、井伊家の氏神を祭る渭尹神社もある。かつては共保公出生の井戸の場所にあったが、龍潭寺建造のために、当地へ遷(うつ)されたという。渭尹神社を訪れたら、裏手の丘陵を登り天白磐座(てんぱくいわくら)遺跡も見たい。今度のハイキングは2、3分なのでご安心を。高さ7メートルを超える巨石がそびえるこの場所は、古墳時代の祈りの場だったとされ、古代人の宗教観をうかがうことができる貴重な遺構だ。空気がぴんと張り詰めた、井伊谷屈指のパワースポットである。

渭尹神社から徒歩数分で、直虎の位牌(いはい)が安置された妙雲寺に着く。かつては自耕庵と呼ばれていたが、直虎がこの寺に葬られたのち、その法名(妙雲院殿月船祐円大姉)を取って妙雲寺と改められた。拝観は休日に限られているが、直虎に親しみを持った人ならば、静かに手を合わせたい。

井伊直政が治めた要衝の地、彦根に足を伸ばす

浜松から東海道新幹線で米原へ。さらにJR琵琶湖線に乗り換えてひと駅で彦根に到着する。彦根は江戸時代、幕府筆頭家老の井伊家が藩主を務めた。この彦根藩井伊家の初代藩主が、直虎に養育された井伊直政(幼名を虎松)である。

直政は直虎の元いいなずけであり、井伊家の当主だった直親の嫡男。しかし、直親が謀殺されたときにはまだ幼少であったため、直虎がつなぎの当主となり、後見人として直政を養育した。直政は15歳で徳川家康の家臣になると、みるみる頭角をあらわし、やがて徳川四天王に数えられるようになった。天下分け目の関ケ原合戦では東軍の主力として勝利に貢献し、その恩賞として彦根を拝領して佐和山城主となった。佐和山城は西軍を率いた石田三成の居城であり、また彦根は豊臣家の影響が強い大阪や京都をにらむ土地である。徳川家に弓引く事態があったときには、直政の武力が頼まれたのだ。家康の信任の高さがうかがえるだろう。

この彦根の地には、もうひとつの龍潭寺がある。直政は彦根移封に際して、井伊家菩提寺である龍潭寺を佐和山城下に移築したのだ。ただし、井伊谷の龍潭寺も分寺として残され、両寺とも井伊家の庇護(ひご)を受けて存続する。彦根の龍潭寺も、方丈南庭など見事な庭園を誇っている。

直政が城主となった佐和山城は、この龍潭寺の裏手にあたる。山城ではあるが、かつては高石垣が連なり、立派な天守もそびえていたという。ただし、現在では遺構は一切失われている。佐和山城登城は、井伊谷城のように気軽にはすすめられない。本格的なトレッキングを必要とする上、せっかく登頂しても見どころに乏しいからだ。登山するのであればきちんと準備をして、できれば山城経験者といっしょに行きたい。

佐和山城から天守などの建造物や石垣が失われたのは、それらが彦根城に転用されたからだ。直政ははじめ佐和山城に入ったが、交通の便の悪い山城では城下町の発展に限界を感じ、琵琶湖畔の金亀山によりモダンな彦根城築城を計画した。ただし、直政は彦根城を見ることなく、関ケ原合戦の2年後の1602年、関ケ原で受けた戦傷が悪化したために死去した。直虎の遺志を受け継ぎ、井伊家を盛り立てることに尽くした42年の生涯であった。

彦根城に天守が建ったのは直政死去から4年後の1606年、すべての工事が終了したのがさらに16年後の1622年のこと。それほど、直政が計画した彦根城は大規模な城郭であった。国宝である天守が見どころなのはもちろんだが、彦根城で見てもらいたいのは防御力の高さである。例えば表門橋から山道を登ると、目の前には天秤櫓(てんびんやぐら)が現れ、目の前から砲撃されてしまう。さらに天秤櫓に架けられた橋は当時は可動式になっており、橋がなければ本丸にたどり着くことができない。どんな大軍に攻められても守り抜けるように設計された彦根城には、戦国時代をたくましく生きのびた直虎や直政の気概があふれているのである。

井伊家はこの彦根の地を約260年にわたって治め、幕末の大老・井伊直弼を出すなど徳川幕府を支え続けた。井伊谷に育まれ直虎が守り抜いた井伊家の精神は、彦根の地で花開き、今に伝えられているのである。

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