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共働きに追いつかぬ政策 水無田さん×池田さん対談

『男女 ギャップを斬る』スペシャル

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NIKKEI STYLE

女性活躍推進法の施行や初の女性都知事誕生など変化を象徴する出来事があった一方で、待機児童や長時間労働の問題も注目を集めた2016年。連載『男女ギャップを斬る』を執筆する水無田気流さんと池田心豪さんが、今年の出来事を振り返りつつ、女性活躍の現状と課題を語り合った。(本文敬称略)

――二人共通の注目トピックが待機児童問題。「保育園落ちた日本死ね」ブログは国会でも取り上げられました。

水無田「テレビでアナウンサーが『待機児童問題が深刻です』と言っても決して伝わらない庶民の心の叫びが共感を呼んだ。保育園の入園手続きは煩雑で仕事復帰へのプレッシャーも大きい。母親は精神的・時間的コストを一人で負っている。書いた人の気持ちは痛いほど分かる」

池田「3年前、杉並区の母親たちがデモをしたとき同様に待機児童の解消を求める叫びと受け止めたが、当初はここまで大ごとになると思っていなかった。その後に育休延長の議論が出たが、従来の対策の限界が見えてきた今年を象徴するブログだった」

――背景には、働き続ける女性の増加があります。

池田「2015年の出生動向基本調査によると第1子出産後も就業継続している女性が5割を超えた。正社員の育休取得・復職は増えており、非正規社員の取得が課題。3月に成立、来年1月施行となる改正育児・介護休業法で有期契約労働者の育休取得要件が緩和される意義は大きい」

「母に求める水準、高すぎる」水無田さん

水無田さんの2016年注目トピック
●「保育園落ちた日本死ね」ブログなど待機児童問題
●配偶者控除の廃止、また立ち消えに
電通の新入社員女性の「過労自殺」認定

「一方で、女性の生き方や働き方の多様化に政策が追いついていない現実もある。出産後職場復帰した女性は皆、『私は運が良かった』という。保育園にも、職場にも夫にも恵まれた人だけが『運良く』両立できているのが現状だ」

水無田「同感だ。しかも雇用が不安定で経済的に厳しい状況にあるほど託児に関して守られない傾向が強い。私も子どもが生まれたときは非常勤講師だったので、預け先探しに苦労した。専門学校の夜間講義の日は公営の一時保育に預け、午後9時に授業が終わると迎えに飛んで行き、寝ている息子を引き取りタクシーで帰る。託児コストで講義報酬の半分近くが消えた。両立のコストを女性だけが担っている。社会構造の問題だ」

「平日の子連れパパ、当たり前に」池田さん

池田さんの2016年注目トピック
●「保育園落ちた日本死ね」ブログなど待機児童問題
●有期契約労働者の育休取得要件の緩和などを定めた改正育児・介護休業法成立
●女性活躍推進法が施行

池田「選抜型の保育システムである以上、選ばれなかった人の不満は出るだろう。これを変えるには、きちんとした政策プランが必要だ。育休を2歳まで延長できるようにすることが決まったが、そんなに長く休めない人もいる。企業の負担のあり方、子育て中の人の社会的な地位や生活保障をどう考えるのか。子育て支援の全体像を描いたうえで議論を深める必要がある」

水無田「社会の変化や国民の生活実態を踏まえない政策が多すぎると思う。配偶者控除の廃止がまた立ち消えになったこともそう。20~30代の子育て世帯には女性も働かないと家計が成り立たないケースが少なくない。その現実を見ずに、従来型の家族賃金、専業主婦モデルで暮らす高年齢層の有権者だけを見たシルバーポリティクスだ」

池田「単に配偶者控除を廃止すると言えば反対が出るのは当然。目指す社会や家族の姿が政策から見えてこない」

――今春施行の女性活躍推進法も注目を集めました。

池田「企業は女性活躍の現状を公開しなくてはならなくなった。データが明らかになれば女性が活躍できる会社と、そうでない会社が鮮明になる。企業は人事労務管理の基礎的なところを問われる」

水無田「ただ、『見える化』の義務を負うのは大企業。就労者の7割は中小企業に勤めている。大企業の取り組みは見えるようになるが、それ以外は置き去り。『働きやすさ格差』の広がりが懸念される。女性の6割は非正規で、パートの人も多い。一部のキャリアウーマンにしかあてはまらない法律で自分には関係ない、と思っている人が多数派ではないか」

池田「総合職の正社員だけでなく、パートなどの非正規も射程に入れて多様な女性活躍に取り組むかどうかを企業は問われている。少数の女性を引き上げるだけでは他の社員の意欲が下がり人事管理をかえって複雑化させる。時間制約がある社員も活躍できるよう事業のあり方を含めて働き方を見直す必要がある」

水無田「女性活躍は女性だけの問題ではなく、日本の働き方や経済構造そのものの問題だ。電通の女性社員の過労自殺は、日本の働き方の問題を集約している。長時間業務をこなしながら女性らしさまで求められ、感情労働も担わなくてはならず、精神的にも時間的にも追い込まれていったのでは。本気で働き方を変えなくてはいけない」

池田「職場や個人の裁量を超えた事業構造の問題もあり、そこを変えずに残業を減らせといわれても限界がある。部下を早く帰して管理職が仕事を抱えるということも起きている。労働力を際限なく投入して成り立ってきた経済構造をどうするのか。来年はそこが問われると思う」

水無田「これからどんどん働き手が減る。女性を有償労働へ向けざるを得ないが、家事や育児など女性の無償労働は減らないどころか求められる水準は上がっている。無償労働負担をそのままに女性を労働市場に引っ張りだせば、過労リスクにさらされる」

池田「新しい役割を期待するなら、古い役割からの解放がないといけない。女性に労働参加を求めながら家庭責任を重くするのはおかしいし、男性に安定した仕事と収入を当然のように求めるという価値観も変わらないと。平日に父親が子どもを連れているのが当たり前になってほしい」

水無田「日本は母親に求められる役割が多く、水準も高すぎる。我が家は夫が使いこなせない育児グッズは全部やめた。共働きで男性が家事育児をすることを前提に高水準の家事育児をダウンシフトしていくことが必要だ」

(女性面編集長 佐藤珠希)

〔日本経済新聞朝刊2016年12月30日付〕

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