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17年の新興国株は回復へ ブラジル・インド株が強気

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2017/1/27

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ミン-ラン・タンさん。UBSウェルス・マネジメント グループマネージングディレクター

 2015年夏のチャイナ・ショックや資源価格の下落などで株安・通貨安が進んだ新興国。だが16年にはブラジル・ボベスパ指数や中国・上海総合指数、インド・SENSEX指数などの新興国株や、各国通貨の対ドルレートは16年初の水準から上昇している。17年の新興国の投資環境はどうみればいいのか。

 「ブラジル・インド・ロシア株は強気」。富裕層向けにグローバル投資の助言を行っているUBSウェルス・マネジメントのミン-ラン・タン氏は言う。見方の根底にあるのが、ディスインフレ(物価上昇率の低迷)の終焉によって「投資のセンチメントが緩やかなリスクオンに向かう」というものだ。

出所:UBSウェルス・マネジメント 資料(2016年11月末)

 「16年は中国や欧州の景気が想定以上の強さを見せたのはサプライズだった」というタン氏。世界景気の持ち直しで資源価格が上昇、また米国を代表に先進国の雇用は強く世界の賃金上昇率は16年の3.1%から17年は3.5%に上昇、物価が上がりやすい環境にあるという。

 17年は資源価格の上昇でブラジルやロシア経済はプラス成長に回復、さらに欧米先進国の景気回復による消費拡大や企業収益の拡大も、新興国経済にとっては追い風だ。米国の企業収益は「16年の1%成長から17年は8%に拡大する」と予想するタン氏は、米国株についても17年はオーバーウエートにする。

 債券の強気相場が終わることも株式投資には追い風。17年には欧州中央銀行(ECB)がテーパリング(量的緩和の縮小)に動き、米国と欧州連合(EU)では物価がインフレ目標に近づく。日本の物価上昇も進み日本銀行もテーパリングを意識するとタン氏はみる。こうした環境から、債券投資では「米国のインフレ連動債や足元で5~6%の利回りがあるシニアローンに妙味がある」(タン氏)。

出所:国際通貨基金(IMF)2016年10月世界経済見通し

 新興国投資で気になるのが、トランプラリーで見られたドル高の進行。タン氏は購買力平価などから見て、ドルは16年秋の米大統領選の前から既に過大評価されている状態という。つまりさらなるドル高は進みにくい環境にある。トランプ次期政権が投資を拡大すれば米国の財政・経常赤字の増加が懸念され、これもドル安の要因になる。

 17年は経済の回復が投資に追い風をもたらす。一方で、米国の政策と欧州政治の先行きが不透明で、マーケットの変動リスクは16年よりも高まる可能性もある。「一層の資産分散と迅速な対応がリスク回避の鍵」とタン氏は強調する。

(日経マネー 真弓重孝)

[日経マネー2017年2月号の記事を再構成]

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