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生保損保業界ウオッチ

17年から地震保険が改定 損害程度は4区分に細分化

日経マネー

2017/1/17

日経マネー

 契約はしたものの、細かな内容はよく知らない――。生命保険や損害保険の契約者の中には、こんな人も少なくないだろう。だが、保険は契約条項ひとつで受けられる補償が大きく変わる上、新たなサービスも続々と登場している。本コラムでは、生命保険と損害保険を交互に取り上げ、保険選びの上で知っておきたい知識を解説する。

 2017年1月、地震保険の制度が改定された。その主要項目の一つが地震保険料率の見直しだ。都道府県や住宅構造によって異なるが、多くの都道府県で保険料がアップする。上昇率が大きいのは埼玉県のマンション(+14.7%)、福島県の木造住宅(+14.6%)、徳島県・茨城県・高知県のマンション(+14.4%)などだ(詳しくは日本損害保険協会のサイトを参照)。

 とはいえ、アップ率が最大の埼玉県のマンションでも、保険金額500万円の新保険料は年7800円程度にすぎない。割引が適用される1981年以降築のマンションなら年7000円に、免震構造なら年3900円まで下がる。

 一方、南海トラフ地震による被害が懸念され、地震保険料がもともと高めだった愛知県や三重県、和歌山県は、マンションと木造いずれの保険料も10%超引き下げられる。特にマンションの場合、引き下げ率は15.3%と大きく、保険金額500万円の新保険料は年8550円(割引前)となる。

 分譲マンションが被災すると、多額の修繕費が必要になる。修繕費が不足して住民の追加負担が必要となれば、修繕に向けた合意形成のハードルは一気に上がる。その際、地震保険は修繕資金確保の有力な手段になる。分譲マンションでは専有部のみならず、共用部にも地震保険の備えは欠かせない。

 また今回の改定では、保険金を決定する「損害区分」も見直されるため、受け取れる保険金がこれまでと変わるケースが出てくる。

 損害の程度に応じて、従来は「全損(保険金額の100%)」「半損(同50%)」「一部損(同5%)」の3区分とされていた。改定後はこれが4区分になる。全損と一部損はそのままだが、全損に近い半損は「大半損(同60%)」として、受け取れる保険金が従来より10%分多くなる。一方で、一部損に近い半損は「小半損(同30%)」として保険金が20%分少なくなる()。

注: 建物の「主要構造部」とは建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第1条(用語の定義)第3号の構造耐力上主要な部分。表中の「損害の程度」は揺れによる被害の程度を指す。焼失や流失、浸水および液状化などの被害には別の基準がある

 ただし、4区分が適用されるのは17年1月以降に保険適用が開始される契約で、16年12月末までに開始される契約は従来通りの3区分となる。つまり、同じ地震で同水準の被害を受けた場合でも、個々の契約者が受け取れる保険金は保険開始時期(保険始期日)によって変わることになる。

 地震保険の契約を考えている人は、この点を覚えておこう。

清水香(しみず・かおり)
 生活設計塾クルー。学生時代から生損保代理店業務に携わり、2001年、独立系FPとしてフリーランスに転身。翌年、生活設計塾クルー取締役に就任。『地震保険はこうして決めなさい』(ダイヤモンド社)など著書多数。財務省「地震保険に関するプロジェクトチーム」委員。

[日経マネー2017年2月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年2月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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