不動産・住宅ローン

REIT投資の勘所

低迷するREIT価格 真因は金利上昇の影響にあらず

日経マネー

2017/1/6

PIXTA

日経マネー

 異次元金融緩和で息を吹き返したREIT(不動産投資信託)。旺盛な物件取得や新規上場など関連の話題も多い。これからの投資のチャンスはどこにあるのか、不動産証券化コンサルティングを手掛けるアイビー総研代表の関大介氏が解説する。

 トランプ・ラリーに沸く株式市場を横目にREIT価格はさえない展開が続いている。東証REIT指数は、米大統領選挙以降、下げ足を速め、2016年11月中旬には1715ポイントまで調整。英国のEU離脱が決まった6月下旬に付けた安値を割り込んだ。

 その後、16年11月末には1796ポイントまで回復したが、上昇率は約2%にとどまる。保有物件の大半が国内にあり、円安の恩恵が期待できないREITの値動きとしては仕方ない面もあるが、米大統領選以降12%以上も上昇した日経平均株価と比べると出遅れ感は強い。

 REIT価格は、16年2月の日銀によるマイナス金利導入で急騰、東証REIT指数は4月下旬に1970ポイントまで上昇した。ところが4月以降、英EU離脱や米大統領選の乱高下を別にすれば、11月までほぼ一貫して下落傾向が続いている。このようなREIT価格軟調の理由として、10年債利回り(以下、国債利回り)の上昇を挙げる声は多い。具体的には次の2つのような理屈だ。

■国債利回り上昇は無関係

注:投資口価格は2016年12月7日時点

 まず、国債利回りの上昇でREITの利払いが増え、分配金が減るのではないかという懸念。だが、この見方は当たっていない。

 REITの資金調達の平均期間は約5年半だ。単純化すれば、これから返済期限が到来するのは、5年半前、国債利回りが1%の頃に調達した資金ということになる。つまりREITの資金調達コストは、これからの借り換えでまだ下がる余地が大きいといえるのだ。

 2つ目は国債利回り上昇でREIT利回りも上昇(価格は下落)するという理屈だ。この見立ては国債とREITの利回り乖離幅(スプレッド)は一定幅で推移するという前提に立っているが、これも的を射てはいない。

 REIT価格の下落が始まったのは16年4月下旬からだ。一方の国債利回りは、16年2月のマイナス金利導入から7月下旬まで下げ続けている。もしスプレッドが一定で推移するなら、REIT価格の上昇(利回り低下)は4月下旬までではなく、7月まで続いていなくてはおかしいことになる。REIT価格軟調の理由を国債利回りの上昇に求めるのはやはり無理がありそうだ。

 REIT不振の理由は需給面にあると筆者はみている。16年10月のREITの投資部門別売買状況を見ると、証券会社の自己取引部門と日銀を除き、全ての主要投資家が売り越し。つまり、安定的な買い手が市場にいないのだ。

 ただ、明るい兆しもある。11月に入ってから円安が進んだこと、国債利回りの変動が限定的になったことは、金融機関のREIT投資拡大の要因となる。この辺のメカニズムは今後1カ月の状況変化を踏まえつつ、次回改めて説明しよう。

関大介(せき・だいすけ)
 不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2017年2月号の記事を再構成]

日経マネー 2017年2月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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