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ワクチンは打つべき? インフルエンザ対策6問6答

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
国立感染症研究所によれば、2016年12月5日~12月11日の全国の推計インフルエンザ患者数は約18万人。前週の推計14万人の約1.3倍に増加し、インフルエンザの流行が広がっている。「まだワクチンを接種していない」「子どもがインフルエンザにかかってしまった」など、ここにきて焦る人も少なくない。そんな人が今からできる予防法や、今年のインフルエンザの傾向、インフルエンザにかかってしまった時の対策までを、神奈川県警友会けいゆう病院(横浜市)小児科の菅谷憲夫先生に聞いた。

Q1 今年はどんなインフルエンザが流行するの?

「今年はインフルエンザの流行が、例年に比べて1カ月ほど早い」と話すのは、けいゆう病院小児科の菅谷憲夫先生だ。国立感染症研究所感染症疫学センターのまとめでも、既に40都道府県の定点医療機関からのインフルエンザ患者の入院報告があり、患者数は前週の約1.3倍の18万人となり、感染が広がっている。

人のインフルエンザには、A型とB型の2つのタイプがあり、A型にはH1N1型とH3N2型(香港型)の2種類がある(A型のH1N1型は、2009年に大流行した新型インフルエンザウイルスである)。B型にも、ビクトリア株と山形株の2つの系統がある。

では、今年はどのウイルスが流行するのか。菅谷先生は 「A香港型が中心となって流行すると思われますが、来春にはB型も流行する可能性があります」と言う。実際、国立感染症研究所感染症疫学センターがまとめたインフルエンザウイルスの検出状況を見ると、12月4日までの直近の5週間で、A香港型が最も多く、次いでA型のH1N1型、B型の順になっている。

Q2 インフルエンザワクチンって効くの?

既に流行が始まっているインフルエンザだが、どのように予防したらいいのだろうか。「やはり、予防にはインフルエンザワクチンの接種が大切です。感染が広がってからでは意味がないと考える人もいるようですが、間に合います」と菅谷先生は強調する。

インフルエンザワクチンは、WHO(世界保健機関)がその冬に流行するインフルエンザウイルスの種類を推定し、それに基づいて製造される。インフルエンザワクチンはA型のH1N1型、香港型、B型2系統の計4種類のインフルエンザの混合ワクチンになっており、下記で解説する通り、50%の予防効果があると考えられる。

「インフルエンザワクチンの効果は、症状の重症化を防ぐだけで、発症は防げないと思っている人も少なくないようですが、それは間違い。ワクチンの第一の効果は発病予防にあります。要するにインフルエンザにかからなくなるのです。それによって、周囲の人へ感染が広がる『集団感染』を防ぐ効果もあり、さらに重症化を防止する効果も期待できます」

ただし、ワクチンの効果は実感しにくい。

「インフルエンザが流行しても、成人では100人中10人程度しか発病しません。つまり、ワクチンを打たなくても90人はインフルエンザにはかからないのです。もしも、100人全員がワクチンを打つと、10人の発病者が5人に減ります。これが50%の効果で、インフルエンザにかからない人は、90人から95人に増えますが、この差は実感できません。ですから、医師も含めて多くの人々がワクチン効果に不信感を持ちやすいのです。しかし、1000万人に換算すれば、100万人の患者発生が50万人に減ればとても大きな効果であることがわかります」(菅谷先生)

このように、ワクチンはインフルエンザ対策の強い味方だが、実は今期は少し様子が違う、と菅谷先生は話す。というのは、今期流行しているA香港型は、昨シーズン主に流行したH1N1型などに比べて、ワクチンの効果が低いタイプのウイルスだからだ。実は、ウイルスの型によってワクチンの効果にはかなりの違いがあるのだという。

「A香港型ワクチンの効果は、健康な成人の場合30%程度。65歳以上の高齢者では20%と考えられています。一方で、H1N1型とB型に対するワクチンの効果は50~60%とみられるので、4種混合ワクチン全体としての効果はおおよそ50%程度ということになります[注1]」と菅谷先生。

なぜ、A香港型はワクチンの効きが悪いのか。それは、「ワクチンは鶏卵から作りますが、卵の中で香港型はなかなか増殖せず、ウイルスは変異を起こしてしまいます。つまり、実際に流行すると予測したA香港型ウイルスと異なった性質を持ったウイルスでワクチンを製造することになるのです。それでマッチした抗体を体の中で作れないために効きが悪くなるのです」(菅谷先生)

しかし、それでもワクチンを接種する意味は大きいという。「確かにA香港型に対する効果は低いのですが、小児では十分に有効です。慶應義塾大学医学部小児科研究グループが行った調査で(延べ約8500人の小児を対象)、ワクチンを接種した小児のA型ウイルスによる入院は、接種しない人に比べて50~70%減ることがわかっています[注2]。さらに、今シーズンもA香港型流行が収まった後に2月ごろからB型が増える可能性がありますが、ワクチンを接種していればB型に対する発病防止効果は30~50%あります[注3]」(菅谷先生)

Q3 インフルエンザかなと思ったらどうしたらいいの?

「インフルエンザに感染した場合、約1~2日の潜伏期間があります。インフルエンザになると、高熱が出て、倦怠(けんたい)感、関節痛、筋肉痛、頭痛などが現れます。このような全身の症状が最初に強く出ることが特徴です。その後に咳(せき)や鼻水といった呼吸器の症状が強まります」(菅谷先生)

ただし、インフルエンザの症状の特徴である高熱が目立たず、微熱だったりすることもあるそうなので注意が必要だ。

「インフルエンザに感染した際、最も重要なのが、できるだけ早く治療することです。2009年に新型インフルエンザH1N1型が流行した際、数万人の入院患者のデータを分析したところ、自覚症状が出てから48時間以内に、タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害薬治療を受けた患者では無治療の患者に比べて、死亡のリスクが65%少なかったことが報告されています[注4]。特に妊婦の場合、48時間以内の治療で死亡リスクが8割以上低下したという報告もあります。よくいわれている抗インフルエンザ薬(タミフル等)を飲んでも1日罹病(りびょう)期間が短くなるだけというのは間違いで、抗インフルエンザ薬には重症化や死亡を防止する効果が明らかにあるのです」と菅谷先生は言う。

熱が出た、体がだるいといった症状が出たら、速やかに医療機関を受診することが肝要だ。

Q4 タミフルって大丈夫?

インフルエンザ治療で使われる抗インフルエンザ薬のうち、内服薬であるタミフル(一般名はオセルタミビル)については、「未成年が服用して異常行動が現れた」とする報道があり、10歳以上の未成年者については原則として使用を差し控えるよう、添付文書に記載されている。このため、10代のインフルエンザ患者の治療には、リレンザかイナビルが用いられている。

だが菅谷先生は、「現在では、異常行動はインフルエンザ自体によるものと考えられています。実際、異常行動は、抗インフルエンザ薬を飲んでいない例でも多数報告されています。またタミフル以外の抗インフルエンザ薬、吸入のイナビルやリレンザの治療例でも報告されています」と話す。

「したがって、薬剤服用の有無にかかわらず、目つきが定まらなくなったり、おかしなことをぶつぶつ言ったり、話しかけても答えなくなったりしたら、気を付けましょう。インフルエンザが発病してから48時間は異常行動には注意が必要です。小さなお子さんではあまり心配はいりませんが、10代、特に中学生では、まれに飛び降り等の事故につながることがあるので、兆候が見られたら警戒してください」(菅谷先生)

Q5 高齢者はどうしたらいいの?

高齢者はもともと抵抗力が弱い人が多く、インフルエンザワクチンの効果も低い。さらに、一度発症すると重症になりやすいので、健康な成人とは違う対処が必要だ。

その一つが、肺炎球菌ワクチンの接種だ。「インフルエンザにかかると、その後に肺炎球菌による肺炎を起こしやすくなります。肺炎の発症や重症化を防ぐため、インフルエンザワクチンに加えて肺炎球菌ワクチンを未接種の人は接種してほしい」と菅谷先生。

一方、同居する人がインフルエンザに感染した場合、高齢者では、抗インフルエンザ薬の予防投与ができるケースもある。その対象となるのは、65歳以上の高齢者や、糖尿病や慢性心疾患、腎機能障害、慢性呼吸器疾患などの既往症があり、インフルエンザに感染した際に重症になるリスクが高い人だ。ただし、"予防"であるため、保険はきかず自由診療となる。

Q6 症状が治まったら出勤しても大丈夫?

インフルエンザを発症すると、数日は、高熱や倦怠感、関節痛などの全身症状が現れ、その後、咳や鼻水などの症状が1週間続いた後、症状が落ちついて治る。本人が動けないほどつらいのは、最初の高熱や倦怠感がある時期だ。

「抗インフルエンザ薬による治療を受ければ、発熱期間が短くなり、より早く症状は治まります。しかし、熱が下がったからといって、すぐに体内のウイルスがいなくなるわけではありません。発症後、数日間はウイルスを体外に出しており、周囲の人に感染させる恐れがあります。すぐに仕事に戻りたい思いはあるかもしれませんが、熱が下がってからも自宅で療養する必要があります。少なくとも、抗インフルエンザ薬を飲むか吸入している5日間は自宅療養が必要です。あるいは、解熱してから、その日を含めて3日間は静養していてください」と菅谷先生は注意を促す。

周囲の人のことも考え、休む、休ませることが大切だ。

(ライター 武田京子)

[注1]Belongia EA, Simpson MD, King JP, Sundaram ME, Kelley NS, Osterholm MT, et al. Variable influenza vaccine effectiveness by subtype: a systematic review and meta-analysis of test-negative design studies. The Lancet infectious diseases. 2016 Aug:16(8):942-51.
[注2]N Sugaya, et.al. Trivalent inactivated influenza vaccine effective against influenza A(H3N2) variant viruses in children during the 2014/15 season, Japan. Eurosurveillance 2016 Oct:21(42)2-14.
[注3]成人では50~60%で、これは[注1]と同じ。日本の小児は30%前後で、これはMasayoshi Shinjoh, et.al. Effectiveness of Trivalent Inactivated Influenza Vaccine in Children Estimated by a Test-Negative Case-Control Design Study Based on Influenza Rapid Diagnostic Test Results. PLOS ONE 2015より

[注4]Muthuri SG, Myles PR, Venkatesan S, Leonardi-Bee J, Nguyen-Van-Tam JS. Impact of Neuraminidase Inhibitor Treatment on Outcomes of Public Health Importance During the 2009-2010 Influenza A(H1N1) Pandemic: A Systematic Review and Meta-Analysis in Hospitalized Patients. The Journal of infectious diseases. 2013 Feb;207(4):553-63.

この人に聞きました

菅谷憲夫(すがや のりお)さん
 神奈川県警友会けいゆう病院小児科、感染制御、慶應義塾大学医学部客員教授。1972年慶應義塾大学医学部卒業。同大学小児科、日本鋼管病院小児科長を経て、2002年神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長。日本小児科学会専門医、日本感染症学会感染症専門医、日本感染症学会指導医、インフェクション・コントロール・ドクター(ICD)。WHO新型インフルエンザ薬物治療ガイドライン委員を務めた。

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