なぜ東急ハンズは米国にない?デザイン経営で勝つ方法
IDEO共同経営者 トム・ケリー氏
トム・ケリー氏
米アップルのパソコン「マッキントッシュ」の初代マウスに代表される製品デザインをはじめ、組織や経営のデザインまで手掛ける米デザインコンサルティング会社、IDEO(アイディオ、カリフォルニア州)。創造的にビジネスの課題を解決する「デザイン思考」で世界の注目を集めるが、新たに日本のベンチャー支援に乗り出し、国内ベンチャーキャピタル(VC)のジェニュインスタートアップス(東京・渋谷)と投資ファンド運営会社、D4V(東京・港)を設立した。スティーブ・ジョブズ氏のようにイノベーションを生み出す創造力を組織や個人から引き出し、世界的な成果を上げるにはどうすればよいのか。2016年12月に来日したIDEO共同経営者のトム・ケリー氏に聞いた。
必要なのは創造力に対する自信
――D4Vのベンチャー支援でIDEOが果たす役割は何ですか。
「日本は世界に評価される豊かな創造力があります。ただ、もったいないことに、組織や個人において、まだその自覚がないように感じます。経済など様々な分野で日本がさらに成長する上で最も重要なのは、自らの創造力に対する自信を持つことです」
「起業においても状況は同じです。会社を辞めて起業したいと考える若い人に、多くの親たちは『そんな危ないことはやめなさい』という。日本で起業するには資金調達というハードルの前に、会社を辞めるという高いハードルがあるのです」
「私たちは日本の創造力を解放する触媒となるため、5年前に日本支社 IDEO Tokyo(東京・港)を設立しました。さらに今後、D4Vを通じて自信を持って起業する人をサポートし、起業を取り巻くエコシステム全体を徐々に変えていきたいと考えています」