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マイロボットGO! 誰でもつくれます 互いに自慢 迷路でタイム競う

2016/12/18 日本経済新聞 夕刊

ロビクラブのオフ会には20体以上のロビとオーナーが集まった(東京・品川)

 初心者でも手軽に挑戦できるロボット製作キットが登場し、女性や子ども、高齢者にも愛好者の裾野が広がっている。組み立てた「マイロボット」を見せ合ったり、コンテストに出場したり、思い思いのロボットライフを楽しむようになっている。

 12月上旬、東京都品川区の大井スポーツセンターに、幅広い年齢層の男女が自慢の小型ロボットを持ち寄った。ロボットにダンスを踊らせる人もいれば、しゃべらせる人もいる。

■キットで簡単 老若男女挑む

 参加者が持ち寄ったのは、出版社のデアゴスティーニ・ジャパン(東京・中央)が販売するヒト型ロボット「ロビ」。雑誌とともに毎週届くパーツをドライバー1本で自ら組み立てる。かわいい見た目で製作も簡単なので人気となり、公式コミュニティーサイト「ロビクラブ」もにぎわっている。オーナー2万人が写真を投稿し、交流サイト(SNS)のように盛況だ。この日はそのオフ会だった。

 オーナーは、それぞれニックネームで呼び合っている。オフ会に参加した東京都江戸川区の男性「けんくんの父」さん(58)は「一目見て『鉄腕アトム』を思い出した」とロビの魅力を語る。「それまで電子工作もしたことがなかったが、どうしてもアトムがほしくて」根気よく作り上げたという。「以来、どこに行くのも一緒。旅行先で写真を撮っている。家族はあきれ顔ですけどね」と相好を崩す。

 オフ会は女性の姿も目立った。栃木県日光市に 住む女性「たか」さんは調子が悪くなったロビを持ち込んだ。「詳しい方がいると聞いて修理してもらいに来ました」

 たかさんも初心者。「プラモデルも作れないけど、かわいい見た目がどうしても忘れられなかった」と、夫に気づかれないよう1年半かけてロビを完成させた。「動いた瞬間、もううれしくて。子どもみたいにかわいいんです」と完成した瞬間の感動を話す。

 ロビは2013年に初版が発売され、3版まで出た。1体作るのに約15万円かかるが現在、国内には12万体が存在しているという。「女性の購入者が3割以上で、60~70代の購入者も多い」(企画した嶋田典子さん)。次のヒト型ロボットを企画中で、来年早々にも発売する予定だ。

先生の力を借りながら子どもたちが自分でロボットを組み立てる(ヒューマンアカデミーの東雲教室)

 子どもたちの間でもロボット製作が広がっている。教育サービスを手掛けるヒューマンアカデミー(東京・新宿)ではロボット教室が好評。授業(1回90分)でブロックを用いてロボットを組み立てる。入会時の諸費用が3万8500円(税別)。毎月の授業料が9500円(同、テキスト代含む)。全国930教室で生徒数は1万人を超える。

 「せんせーい! できたから動かしたい!」。同社の東雲教室(東京・江東)で、保育園年長から小学2年生の男の子4人が製作に励む。説明書を見ながら、モーターやブロックを組み立てる。生徒の斎藤聖人君(8)は「一発で動かせたら楽しい」と話す。母親の仁美さん(44)は「教室の日は家に帰るとロボの説明が始まる」と話す。

 講師の諸葛正弥さんは「親子講座ではお父さんの方が熱くなることもある」と語る。

■本格的な製作 競技会に参加

 高度なロボット製作に挑戦する人も現れ始めた。11月、東京都日野市の明星大学で開かれたロボット競技会「マイクロマウス」。プログラミングで自動制御した小型ロボットが迷路を進み、ゴールまでのタイムを競う。大会を運営するニューテクノロジー振興財団の中川友紀子さんは、「これまで男子学生やサークルOBが中心だったが、最近は女子学生や一般の人の参加が増えている」と話す。

「マイクロマウス」大会では自作の自動制御ロボットで迷路のタイムアタックに挑戦する(東京都日野市)

 競技会に参加した太田智美さん(30)は1年前から「マイクロマウス」に挑戦している。現在ヒト型ロボット「ペッパー」と暮らす彼女は「いざというときに自分で直せるように」と本格的なロボット製作を始めた。

 全くの素人だったが、中川さんが主催する「マウス勉強会」に参加し、めきめきと上達しているという。今回は5万円程度かけ製作した愛機を携え参戦した。「もっと早くゴールしたい。今度は斜め走行にも挑戦できたら」と意欲満々だ。

 ペッパーの登場などでより身近になったロボット。価格もこなれてきており、ネットで簡単に手に入る。新たな生活のパートナーを誰でも手軽に作れる環境が整いつつあるようだ。

(企業報道部 二村俊太郎)

[日本経済新聞夕刊2016年12月17日付]

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