クリスマスに差を付ける インスタ映え泡ワイン8選
SNS全盛時代。そのなかでも写真1枚で訴えるビジュアル重視のインスタグラムでは、おしゃれな写真がフォロワー数をのばすポイントになる。今回は、年末年始に飲みたいシャンパンやスパークリングワイン[注]特集、それもおしゃれでインスタ映えするアイテムを8つ紹介する。
[注]スパークリングワインは発泡性のあるワインの総称。中でもフランスのシャンパーニュ地方で作られたものだけがシャンパン(正確にはシャンパーニュ)と呼ばれる。
なお、スパークリングワインは、飲むグラスによって味わいも雰囲気も大きく変わる。「シャンパン用グラス選びはアントワネット気分で」の記事で試飲に使ったグラスの中から、これらのスパークリングワインに合うものも併せてお薦めする。
クリスマスに映える赤いボトル
クリスマスシーズンになると、インスタ画面に赤が映える。そこでおすすめが、ツァリーヌ「キュヴェ・プレミアム・ブリュット」。19世紀、シャンパンの主要輸出先だったロシアの皇帝(ツァー)に敬意を表して造られたシャンパンだ。うねりのある独特なボトルの形は、モスクワの赤の広場にある聖ワシリイ大聖堂の玉ねぎ状の屋根のようだ。大流行したゲーム「テトリス」のモデルにもなった建物なので、ゲームのなかで知っている人も多いかも。さわやかさと芳醇(ほうじゅん)さが共存する、表情豊かなこのシャンパンには、美しい泡も香りも味わいも存分に楽しめる、中間型のフルートグラスがおすすめだ。
このシャンパン、筆者も1本購入し、つい先日ホームパーティーで開けた。高級感のあるボトルのせいか「いいシャンパンを開けてくれてありがとう」と感謝され、にんまり。実は意外とお手ごろ価格なのだが。
輸入元:東亜商事 TEL03-3294-4075
希望小売価格:5000円(税抜き)
至福のティータイムにマッチするピエール・エルメお墨付きシャンパン
この時期の楽しみの一つがドイツの伝統菓子シュトーレン。生地にドライフルーツやナッツがぎっしり練り込まれ、表面は粉雪のように砂糖で覆われている。本場ドイツでは、1日ひと切れずつスライスして食べ、クリスマスを待ち望む習慣がある。
シュトーレンのような甘い焼き菓子に合わせたいのが、デュヴァル=ルロワの「レディ・ロゼ・セック」。パティシエ界の巨匠ピエール・エルメとのコラボ作品で、ピエール・エルメお墨付きのスイーツに合うシャンパンだ。やや甘口で、さわやかな酸味とリキュールのような深みのある味わいが至福のおやつタイムを演出してくれる。珍しいピンクのボトルもキュート。スイーツと甘口シャンパンを好んだマリー・アントワネット気分で飲むなら、クープグラスを選びたい。
輸入元:ヴィレッジ・セラーズ TEL0766-72-8680
希望小売価格:8500円(税抜き)
飲みごろ温度がボトルでわかるサプライズな8
パーティーで盛り上がるなら、「インフィニット・エイト」だろう。「8」は聖書で「復活」「再生」のシンボルとして特別な数字だ。ラベルの印は、数字の「8」と無限大「∞」の2つを組み合わせたもの。ここからがサプライズ。この無限大の部分の色が、ボトル温度によって変わるのだ。常温だと白だが、適温の8度以下(ここでも「8」)になると赤に変化する。飲み頃のサインだ。ハートボトルの限定品「インフィニット・ラブ・エディション」は、カップルにもおすすめ。
輸入元:ル・カヴォー TEL03-3233-3801
希望小売価格: オープン価格
1度は飲んでみたい超高級シャンパン
19世紀末のフランスは、モンマルトルのカフェに芸術家がたむろし、ムーランルージュなどキャバレー文化が栄えた「ベルエポック(古き良き時代)」として有名。その時代を象徴するシャンパンが、創業200年以上の歴史をもつペリエ・ジュエの「ベルエポック」だ。流麗な曲線で描かれたアネモネは、アール・ヌーヴォーの鬼才エミール・ガレのエッチング。白ぶどうのシャルドネ種100%の「ブラン・ド・ブラン」は、その最高峰。絹のように滑らかで恐ろしいほど複雑な味わいは、シャンパン好きなら1度は飲んでおきたい。
2016年に発売された限定ボトルは日本人アーティスト三嶋りつ惠さんの作品。エミール・ガレと日本人作家の時代を超えたコラボレーションにより、究極に贅沢なアート作品となった。ここまで手間暇かかった超高級シャンパンを飲むなら、シャンパン用グラスよりも、香りと味わいがしっかりわかるワイン用のグラスで飲みたい。
輸入元:ペルノ・リカール・ジャパン TEL03-5802-2671
希望小売価格:8万8000円(税抜き)
オートクチュールなシャンパン
19世紀末のパリが「ベルエポック」なのに対し、1920年代は「狂乱の時代」と呼ばれる。文化中心地はモンマルトルからモンパルナスに移り、ピカソ、藤田嗣治、サティ、ジャン・コクトーなどの名だたる芸術家が才能を発揮した奇跡の時代。そのまっただ中1921年に創設されたシャンパーニュ・コレ社の最高級シャンパンが、「エスプリ・クチュール」。「狂乱の時代」へのオマージュの意味を込めて造られたシャンパンだ。
その当時のモード界といえば、ココ・シャネルが台頭し、喪服にしか使われなかった黒がモード界の最先端になったころ。「エスプリ・クチュール」のイメージはまさしく黒だ。細いウエストからふわりと広がったドレスのようなボトルデザイン、ドレスのひだの如く、ボトルのまわりには縦筋が入っている。瓶口にかけられたひもは、ひとつひとつ職人の手作業によるもの。黒と白のみの配色に極限まで研ぎすまされた美を感じる、オートクチュールなシャンパンだ。
輸入元:株式会社Traders Market TEL03-5575-2207
希望小売価格 5万円(税抜き)
シャンパン以外のスパークリングワインからも3つ紹介しよう。
黄金で豪華絢爛スパークリング
19世紀末から20世紀初頭にかけては、パリだけでなくヨーロッパの各所で芸術が花開いた。オーストリアを代表する画家クリムトが活躍したのも、この時代。クリムトの作品のなかでも金箔を多く使用した時期は「金の時代」と呼ばれているが、代表作『接吻(せっぷん)』も黄金の装飾模様に彩られたうっとりするような作品である。
このラベルを使用したのが、オーストリア最古のシュルンベルガー社のスパークリングワイン。シャンパンではないが、瓶内で二次発酵を行うシャンパンと同じ製法で造っていて、品質もたしか。豪華絢爛(けんらん)なラベルは、年末年始にぴったりだ。200mlの小瓶もあるので、並べて写真を撮ってもかわいい。17年のお正月は、金箔入りの日本酒ではなく、金箔ラベルのワインで乾杯しては?
輸入元:セナー TEL03-5974-5610 info@senna.co.jp
希望小売り価格:5000円(税込み)
底が四角いピラミッド型、名前の響きもいいフランチャコルタ
イタリアでもっとも有名なスパークリングワインが「フランチャコルタ」である。
おいしいフランチャコルタはシャンパンと同じくらい高価だが、それだけの魅力がある。まず、舌の上で転がすように発音する「フランチャコルタ」という音の響きがいい。さらに、王道を狙うのではなく、ちょっと外しておいしいフランチャコルタを知っていると、通っぽい。重要なのは、おしゃれなボトル。「ミッレディ・フランチャコルタ・ブリュット」は底が四角いピラミッド型で、実物をみるとかなりしゃれている。「名前の由来は、1000日間(=ミッレディ)以上熟成させてるからなんだって」とうんちくもいれれば、完璧。長期熟成ならではの繊細な泡をめでるには、フルートグラスがおすすめだ。
輸入元:モトックス TEL0120-34-4101
希望小売価格: 5200円(税抜き)
おせちに合うのは日本ワイン
8番目というめでたい数字は、我が国のスパークリングワインに捧げたい。
最近人気の高い日本ワインだが、コストパフォーマンスとオシャレさと手に入りやすさを考えて筆者がイチオシするのが、滋賀県にあるヒトミワイナリーである。「田舎式にごりワイン」を看板に掲げており、ろ過はいっさい行わない。当然ワインは濁っており、ボトルの底には澱(おり)があるが、それがうまみのもとになるのだ。面白いのが、注ぎ口。通常のコルクではなく、特殊な金具が使用されており、飲みかけでも簡単に封ができるようになっている。瓶口にかけられた紙の封には、カリブー(となかい)の絵があり、シンプルながら季節感のあるおしゃれなデザイン。封をいったんはがしてしまうと写真がとりにくいので、開ける前に撮影しておきたい。食用のデラウェア種を使っているが特有の甘い香りは控えめでドライ。ビールみたいにすいすい飲めるので、気づけばボトルは空っぽに。「デラウェアのワインなんておいしいはずがない」と思っている人に、ぜひ飲んでほしい。個人的にはこたつの中で、おせちでもつまみながらコップで気楽に飲みたいワインだ。
販売元:ヒトミワイナリー TEL0748-27-1707
希望小売価格:1700円(税抜き)
以上、縁起を担いで「8」本のスパークリングワインを紹介したが、これから年末年始にかけてストックしておきたいスパークリングワイン。真冬のアイスがおいしいように、暖かい部屋で飲む冷えた泡は最高だ。好みの1本を見つけてインスタグラムにアップしてもらえたら幸いだ。
(ライター 水上彩)
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