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社員の婚活、企業が縁結び

人手不足で離職対策

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NIKKEI STYLE

婚活パーティーなど社員の結婚支援に力を入れる企業が増えている。ただ結婚は個人の価値観に関わるデリケートな問題。企業がどこまで関わるべきかという課題も抱えている。

工業地帯で連携

 「ランニングの趣味が一致しました。初デートは一緒に走りたいです」。出光興産住友化学三井化学など千葉県市原市に工場を構える大手8社が12月3日に開いた「婚活 in コンビナート」。意気投合した男女がこう宣言すると、歓声に包まれた。

参加者は男女それぞれ32人。男性は皆、8社の社員で女性は市原市広報などで募集した。ゲームや立食パーティーを楽しんだ後、気になる相手を申告し、この日は12組のカップルが成立した。

独身社員に出会いの場を――。同イベントは臨海工業地帯に立地する企業が手を組んで2015年1月に初開催し、今回が5回目だ。出光興産千葉製油所千葉工場の総務課の山中敏之課長は「職場は男性ばかりで、多くは会社の寮住まい。女性と接点がない」と話す。当初は女性が集まるか心配したが、毎回定員を4~5倍上回る応募があり、参加者は抽選で決める。「これまで70組のカップルができ、分かっているだけでも3組が結婚した。予想以上に男女ともにニーズがある」

生涯未婚率は1980年代以降、上昇している。国の調査によれば、男女ともに8~9割は「いずれ結婚するつもり」だが、交際相手がいない未婚者は男性の7割、女性で6割に上る。

女性は結婚して家庭に入る寿退社が当たり前だった時代と違い、今や職場の男女は仕事で共に戦う同志だ。同僚以上の関係に進むハードルは高くなった。職場恋愛が難しくなった分、企業は社員が結婚できるように別のアプローチを探し始めた。

企業が熱心になる背景には人手不足がある。結婚できることをアピールし、若手の採用を有利に進めるとともに人材の有効活用を図る狙いだ。部品メーカーのキャステム(広島県福山市)経営管理部の田村晃宏さんは「身を固めれば仕事にも打ち込むし、離職率も下がる」と説明する。今年4月に地元企業と一緒に結婚支援ネットワーク「B-with」を立ち上げ、各社の独身社員が参加する婚活イベントをすでに4回開いた。

発足時は製造業が中心だったが、医療機関や保育園が加わり、加盟企業・団体は約20に増えた。看護師や保育士は採用難で、せっかく人材を育てても他地域の男性と結婚し、転勤などで辞めるケースが多い。「相手が地元の男性なら退職リスクが減る」。女性比率が高い会社も熱心に参加する。

政府も企業の結婚支援に期待する。今年10月に内閣府が検討会を立ち上げ、職場での取り組みを促す方策を探る。結婚が増えれば出産も増え、少子化に歯止めがかかるとの好循環を思い描く。

セクハラの懸念も

 ただ、慎重な姿勢をみせる企業も多い。秋田県は2015年度に県内企業への働き掛けを強化した。社員の婚活を支援したい企業に「男前ブラッシュアップ講座」「女子力ブラッシュアップ講座」などの講師を派遣する。15年度は217社を個別訪問し、協力を訴えた。だが44%は講座開催に消極的な意向を示した。「社員のプライベートな部分には踏み込みづらい」といった理由からだ。

職場のハラスメント問題に詳しい労働政策研究・研修機構の副主任研究員、内藤忍さんは「本人が『誰か紹介してほしい』などと意思をはっきり示していない限り、パワハラやセクハラに当たる可能性がある」と指摘する。婚活の直接的な支援以外に企業にはすべきことがあるという。「出会いがないのは仕事が多忙で時間的にも精神的にも余裕がないのも一因。長時間労働の是正など企業だからできることに取り組んでは」と助言する。

「職場主催は苦行」社員に冷ややかな反応も

 「社員に幸せになってほしい」。結婚を応援する企業の思いは純粋だ。ただ当事者からは冷ややかな反応が目立つ。ツイッターでは「職場主催の婚活イベントという苦行」「会社からお見合いの話を持ってこられたので丁重に断った。心配はありがたいけど、余計なお世話」など否定的な声が圧倒的に多い。

なかには「婚活の話題になるたびに『どうなの?』と余計な詮索をされて、うんざり。『子どもほしいなら急がないと』とか良いことしているつもりの上司たち」とのつぶやきも。幸せの形は人それぞれであることを忘れてはいけない。調査はNTTコムオンラインの協力を得た。

講座とパーティーをセット提供

結婚支援サービス大手のツヴァイ(東京都中央区)は3月に企業向けに新サービスを始めた。異性との会話術などを伝授する出前講座と婚活パーティーをセットで提供する。企業側の参加人数・年齢構成に合わせて、同社に登録している独身者から婚活パーティー参加者を募る。これまでも社員が結婚紹介システムに登録・利用する際、料金を割り引く法人向けサービスを運営していた。ただ社員の未婚化に悩む企業から「もっと積極的に応援できる仕組みはないか」と問い合わせが増加し、要望に応えた。「これまでの開催実績は約10社。企業の関心は高く、来年はさらに増える見通しだ」と法人団体営業部の石井誠部長は話す。

国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によると、交際相手がいない未婚者は2015年に男性で7割、女性は6割と、このところ急増している。「以前は地域に世話役がいて適齢期になると相手を紹介していた。でもお見合いが廃れ、そんな世話役も今はいない。代わって企業が社員に出会いの場を作らないと、なかなか結婚できない」。建設業のマルマストリグ(愛媛県今治市)の河野行信専務は指摘する。問題意識を共有する地元企業10社で14年に婚活支援ネットワークを作った。これまで社員を対象にした婚活イベントを2回開き、男女約70人が参加し、10組のカップルが誕生した。

ただ社員のプライベートに会社がどこまで踏み込むべきなのか、今も悩む。「社員に幸せになってほしいが、『結婚=幸せ』でもない。イベント告知は社内でするが、独身社員が参加を強制と受け止めないように気を使う」。2回開いた婚活イベントのうち、1回はマルマストリグが幹事社となって開催準備から運営までを取りしきった。実はその回、同社からは誰も参加しなかった。河野さんは「結婚相手を探したい気持ちはあっても、プライベートな部分を勤務先に知られたくないのかもしれない」と推察する。

職場のハラスメント(嫌がらせ)問題に詳しい労働政策研究・研修機構の内藤忍副主任研究員は、社員向けの婚活支援に企業は慎重であるべきだと考えている。「業務上の必要がないのに結婚や交際などを話題にするのは『個の侵害』に当たる可能性がある。厚生労働省がまとめた報告書によると、『個の侵害』はパワハラの一類型。社員の私的なことに過度に踏み込むべきではない」。ハラスメントだと会社を訴えるリスクもあるし、当事者のやる気を奪い、離職や生産性低下につながるかもしれない。

社員のプライバシーに触れるのは職場の潤滑油のようなものであり、コミュニケーションの1つだと考える企業や人もいる。だが、内藤さんは、そんな見方を否定する。結婚するかしないか、するとしてもいつするかは個人の自由だ。まして昨今は性的指向や性自認に関連して「LGBT」と呼ばれる性的少数者への配慮も求められている。「結婚の話題は『マリッジ・ハラスメント』。会社・上司と社員の関係は思うほど対等ではない。結婚支援する側は社員の個を尊重し、強制するつもりがなくとも、言われる側は業務命令と同様に強いプレッシャーを感じる。本人から『ぜひ結婚したい』『誰か紹介してほしい』などと強い自己アピールがない限り、干渉は避けた方がいい」とアドバイスする。

(編集委員 石塚由紀夫)

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