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朝食に「バター入りコーヒー」 その真意を語ろう 『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』の著者に聞く(2)

日経Gooday

2016/12/19

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 全米ベストセラー『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事(原題:THE BULLETPROOF DIET=完全無欠ダイエット)』には、IT企業家のデイヴ・アスプリーさんが、15年間で30万ドルもの私財を投じ、世界中のダイエット法を自分のカラダで徹底的に検証した結果が集約されている。デイヴさん自身、50kgの減量、IQ20ポイントアップという結果を出した。そこで、来日したデイヴさんに、直接取材して話を聞いた。第2回となる今回は、世界中でブームとなった「バター入りのコーヒー」について語ってもらう。(第1回の記事はこちら

■コーヒーと正しい脂肪で驚きの飲み物に!

デイヴ・アスプリー(Dave Asprey) さん。『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』の著者。体重140kgからマイナス50kgの減量に成功。あらゆるダイエット法を自ら試し、その成果を著書にまとめた。

 シリコンバレーの起業家・デイヴ・アスプリーさんが自らの体で実証したシリコンバレー式の「完全無欠ダイエット」。その基本となるのが、朝に飲む「バター入りのコーヒー」。食事の炭水化物を抑えながら、朝食はバター入りのコーヒーにするのがシリコンバレー式ダイエット法の中核になっている。

  「コーヒーにバターを入れるなんて、油っぽくてギトギトして、ダイエットとは真逆なのでは?」と思われる方も少なくないだろう。かつて、ココナッツオイルなどをコーヒーに入れる飲み方がマスコミで取り上げられたこともあるが、油やバターをコーヒーに入れるという飲み方は、まだまだ多くの日本人にとってなじみがない。

 なぜ、バター入りコーヒーなのか。そこには、デイヴさんが重視している短期間の「断食」が関連している。 著書の中でデイヴさんは、「短期間の断食には代謝を上げたり、集中力を増すなどのメリットがある」と紹介している。とはいえ、例えば、朝食を抜いて昼過ぎまで食事をとらないとなると、空腹で午前中のパフォーマンスが下がってしまう。そこでデイヴさんは「朝食にバター入りのコーヒーを飲む」という方法を考案した。

 「『からだに悪いコーヒー』が『飲むべきくすり』」にでも紹介したように、コーヒーにさまざまな健康効果があるのは、今や常識になりつつある。ここにバターやココナッツオイルを入れることで“良質な脂肪”を摂取する。良質な脂肪をとっていると、空腹感が起きにくく、断食の状態が続くという効果が得られるわけだ(良質な脂肪を摂取することの大切さについては、第3回で詳しく紹介する)。

 著書の中でデイヴさんは、バター入りコーヒーについて、「飢えと欲求を打ち負かし、新たなエネルギー源で脳をぱっと目覚めさせ、体重を減らし、筋肉をつけ、集中力とパフォーマンスを高めてくれる」と、さまざまな効果があると強く勧めている。

■「最強のコーヒー」にする秘訣は牧草飼育牛のバター

良質の豆でいれたアツアツのコーヒー2杯に対して、良質の無塩バター大さじ1~2杯(空腹感により調整)、MCTオイル大さじ1~2杯(空腹感により調整)を入れる。これらをあわせてミキサーやブレンダーで、クリーミーになるまでかき混ぜる

 そもそもデイヴさんが「完全無欠コーヒー」に目覚めたのは、2004年のチベット高地での体験だったそうだ。海抜5580メートルの高地でクリーミーなバター茶をふるまわれ、生き返った心地になった。そのおいしさを求めて全世界のバターを買い求め、自ら試作・試飲を続けた。

 その結果、「最強のコーヒー」にする秘訣は、グラスフェッド(牧草飼育)牛の無塩バターを使うことだという結論にたどり着いた。グラスフェッドバターは、穀物により飼育された牛と比べて良質の油であるオメガ3脂肪酸が豊富、さらにカロテノイドなどの脂溶性成分が豊富だという。このバターに、MCTオイル(ココナッツから抽出した中鎖脂肪酸オイル)、コーヒーを合わせてミキサーでかき混ぜると、「完全無欠コーヒー」の出来上がりだ。

 インタビュー中、バター入りコーヒーに話が及ぶと、デイヴさんが自ら、実際にバター入りの「完全無欠コーヒー」を作って私達に振る舞ってくれた。

■コーヒーは、健康と長寿を実現するスーパーフード

――飲む前は、「コーヒーにバター? 本当?」と思っていましたが、実際に飲んでみると、細かい泡がなめらかでクリーミーで、それでいてコーヒーの香りや苦みもしっかり感じられて、とてもおいしいです。これは意外でした。

デイヴさん ありがとうございます。飲む前は半信半疑でも、『おいしい!』ととりこになる人が多いんですよ。この完全無欠コーヒーのメリットについてご説明しましょう。

 まず、コーヒーは、まさに健康と長寿を実現するスーパーフードであることが数々の研究報告によって明らかになっています。カフェインが脳内の炎症を防ぎ、認知機能の衰えを軽減します。セロトニンやドーパミンといった脳内神経伝達物質の活性を高めることによって気分が良くなりますが、いい気分が長続きする要因として、コーヒーの持つ抗酸化性や抗炎症性が関連していると考えられています。

 加えて、腸内環境の改善効果も期待できます。良質の脂肪を混ぜることにより、腸内にいる“痩せ型腸内細菌”にえさをあげることができるのです。MCTオイルに含まれる脂肪酸のカプリル酸は、空腹時に摂取することによって脂肪を貯蔵しようとする腸内細菌の働きを妨げます。

 コーヒーに含まれるポリフェノールも、痩せている人に多いバクテロイデスという腸内細菌のえさとなります。腸内細菌の変化については、僕自身の腸の分析結果と、完全無欠ダイエット実践者から報告された検便結果からも確信を持っています。

デイヴさんに実際に作ってもらった、バター入りの完全無欠コーヒー。クリーミーな味わいながら、コーヒーの香りや苦みもしっかり感じられた

 また、バターにも、腸内環境を改善し腸の炎症を抑える短鎖脂肪酸の一種、酪酸が含まれており、腸を整えてくれます。僕がお薦めするグラスフェッドの牛由来のバターは黄色みを帯びているのが特徴ですが、大さじ1杯に500IUのビタミンA、人参より多いカロテン、多量のビタミンK2、Dといった脂溶性のビタミンが含まれています。

 バター入りコーヒーを作る際にとても重要なのが、ただスプーンでかき混ぜるのではなく、ミキサーなどで溶かし合わせることです。というのも、オイルやバターとコーヒーを溶かし合わせると“ミセル”という腸管から吸収されやすい状態となり、脂肪がエネルギーとして使われやすくなるのです。

■バター入りコーヒーでラブラドール脳を抑えられる

――デイヴさんもバター入りのコーヒーを毎朝飲んでいるんですか?

デイヴさん もちろん。もう8年以上にわたって毎朝飲んでいます。良質のオイルが入っているため、朝食はこのコーヒーだけで満腹感が感じられ、ラブラドール脳を抑えられます(ラブラドール脳についてはこちらをご覧ください)。ランチタイムまでお腹が空かず、仕事にも非常に集中できます。実際に飲用しているみなさんからも、「気分が良くなる」「パフォーマンスが上がって決断力が高まった」などという声が集まっています。

――グラスフェッド(牧草飼育)のバターというと、どこで入手できるのでしょうか? 日本の場合、海外産のバターを購入する必要があるのでしょうか。

デイヴさん フランス産やニュージーランド産などの海外産のグラスフェッドバターのほか、北海道産のバターや個人農家が販売しているものにも牧草飼育によるグラスフェッドのものがあります。北海道産のグラスフェッドバターは非常に良質で、完全無欠コーヒーにとても適しています。

         ◇        ◇        ◇

 朝から脂肪たっぷりのコーヒーを飲む「完全無欠コーヒー」で、体重がスムーズに落ちる、というのは目からウロコの話だ。実際、デイヴさんはシリコンバレー式の食事法で1日500gずつの減量に成功している。デイヴさんは、「そもそも、脂肪は高カロリーだから太りやすい、という考え方を変えることが大切」と話す。次回は、デイヴさんに「良質の脂肪をとることの大切さ」について、詳しく聞いていく。

(ライター 柳本操/インタビュー写真 菊池くらげ)

デイヴ・アスプリー(Dave Asprey)さん
 Bulletproof創業者/CEO。1970年生まれ。IT起業家、マーケター、投資家。自分の心身を劇的に改造した“バイオハッカー”としても知られる。ウォートン・スクールでMBA取得。eコマース(電子商取引)を史上初めて行うなどシリコンバレーで成功するが、肥満と体調不良に悩まされる。そこで私財30万ドルをつぎ込み、世界の膨大な研究成果を自らの体で試し、その集大成として『THE BULLETPROOF DIET(邦題:シリコンバレー式 自分を変える最強の食事)』を出版。

[日経Gooday 2016年12月6日付記事を再構成]

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