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ものづくり、女性が切り開く 常識に縛られず起業

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017

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NIKKEI STYLE

ものづくりやビジネスの常識に縛られず、新しい発想で起業する女性たちが活躍している。何が全く新しい製品や事業の創造につながるのか。女性誌「日経ウーマン」(日経BP社)が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017」を受賞した2人に話を聞き、新たな価値を生み出す力に迫る。

小島由香さん 新型VRディスプレーのFOVE

FOVEの小島由香さんは11月に、視線を動かすことで映像や機器を操作できるゴーグルをゲーム用に発売した。世界初の技術で、大手IT企業や投資会社が注目し、商品化につなげた。

10代からゲームが好きで、キャラクターとアイコンタクトをするなど自然なコミュニケーションをとれるソフトウエアを作りたいと熱望していた。大学卒業後、ソニーに入り、その後グリーに転職したが、どちらでも望みは果たせなかった。仕事を辞めてプロトタイプを作りインターネットで世界に提案したところ大きな反響を呼び、投資家に起業を進められてFOVEを立ち上げた。

小島さんの大学の専攻は心理学。理系でもなく資金調達のノウハウがあるわけでもなかった。こだわりを実現できたのは、持ち前の周囲を巻き込む力だ。

大胆と丁寧のバランス

まず、拠点は日本で立ち上げた。メーカー大手に勤め引退したシニア人材の豊富さが魅力だった。「調達や安全規格、工場とのやり取りなどを全て、日本の大手で経験を積んだシニアがアドバイスしてくれた」と話す。今では11カ国の人が働く。多様な人材ゆえの苦労もあるが、「欧米の大胆さと日本の丁寧なものづくりのバランスで世界的な製品が出てくる」という。

大きく育つきっかけは試作品が、マイクロソフトベンチャーの企業支援プログラムに採択されたことと、15年に出資を募ったクラウドファンディング「キックスターター」だった。いずれも自ら積極的に働きかけた。プログラムに採択されると同時にコンセプトビデオを発表し注目を集め、キックスターターでは48万ドルの出資を得た。

「ベンチャーは自分をどれだけ大きく見せるかが大事」。周囲の力を融合していく上でプロモーションの大切さを語る。小さい会社だからこそ大きく見せて身の丈以上のチャンスを呼び込む。そして、見せた大きさに合うように努力する。

小島さんがプロモーションにこだわるのは、日本だけでなくシリコンバレーの近くにも拠点を持ったことが関係する。シリコンバレーの成功者が、プロモーションを通じて周囲を巻き込み、成果を出すオープンイノベーションの取り組みをじっと観察し、実行した。

視線を追跡する機能は、ゲームだけでなく、様々な分野に応用できる。例えば、寝たきりの人とのコミュニケーションや、手がまひした人の手の動きのサポートに活用できる。社会を変える、新たなものづくりへの挑戦が続く。

林千晶さん クリエーターネットのロフトワーク

林千晶さんがロフトワークを立ち上げたのは2000年。ウェブページや空間のデザインから、伝統工芸の普及や林業の振興など幅広いプロジェクトをこなす。コンサルティング会社との違いはオープンイノベーションを武器とするところ。事業や新たな製品を作るプロセスの中で、自社のネットワークに参加するクリエーターだけでなく顧客にも参加してもらう。

「予想して狙いにいくイノベーションは今の時代難しい。企業も使い手も同じ船に乗って答えを探すのがイノベーションへの近道だ」と林さんは話す。

もともと花王で化粧品の開発をしていた。女性をきれいにする化粧品の開発をしたかったが、ストレスで肌が荒れる女性に化粧品だけでは満足を与えられないと会社を飛び出した。

ロフトワークでやりたいことは「個人や企業、行政が同じプレーヤーとして発信する力を取り込むこと」。きっかけは起業した当時普及し始めたインターネット。ネット上ではどんな個人も企業も同じ情報発信の力がある。「みんなで一緒に」という仕事のやり方をデザインしようと考えた。

ただ、起業してすぐにつまずいた。賛同者を広げようとしても「何を元手にもうけるんだ」など多くの人に反対された。資金繰りにもがくなか投資家の伊藤穣一氏(現マサチューセッツ工科大学〈MIT〉メディアラボ所長)を訪れた時、起業の趣旨を理解してもらい1000万円の出資を得た。「寄付してあげるつもりで出した」と後から言われた。出資してもらう厳しさを実感していただけに奮起。起業2年で赤字を脱出し、以降は黒字を続ける。

リアルで人集め「共創」

大きな転機は12年に開いた「FabCafe」だ。3Dプリンターなど最新のものづくりの設備を備えたカフェだ。今では1店舗で1億円を売り上げ世界で8店舗を展開。「若い人が来て気軽に3Dプリンターなどに触って、何ができるか想像する。そういうことができる環境がものづくりに重要」と林さん。カフェを通じロフトワークに「リアルで人が集まって『共創』する場所ができた」。2万5000人のクリエーターが参加するネットワークも生まれ、岐阜県飛騨市での林業支援など様々な企画が動いている。

「女性は『私、これやりたい』を見つけた時のパワーがすごい。やりたいことをやり続けることが大事」と語る。今後も堅実に「人を元気にする企業」の実現に向けてものづくりのデザインを進化させていく。

女性のバランス感覚、新たな価値生み出す

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017の「デザインものづくり賞」は、2万5千人のクリエーターが参加するネットワークを運営し、そこからものづくりを実践するロフトワーク(東京・渋谷)の林千晶さん(45)が受賞した。「イノベーティブものづくり賞」はVR(仮想現実)ゴーグルを開発したFOVE(フォーブ、東京・港)の小島由香さん(29)が受賞。ともに、これまでにない製品やビジネスモデルで起業した。

2人とも最初は自分のやりたいことをできる組織を探したが、大企業の中で実現できなかった。起業して事業を進める中で両者が大切にしているのが、作り手だけではなく利用する側の視点に立つことだ。進め方は、社内で別の立場の人と一緒にものづくりに挑むこともあれば、外部の人とともに進めるなど様々だ。多様な人材と連携し新しい製品・サービスを生み出すオープンイノベーションとチーム力を掛け合わせる。それが彼女たちの新たなものづくりの根底にある。

オープンイノベーションは多くの企業が導入を進めているが、まだ成功事例は少ない。どの部分で価値観を持ち寄り、どこまでを独自で作るのか。今も企業が試行錯誤している。

市場のニーズは多様化し、ヒット製品は生まれにくくなっている。新たなものづくりを推し進める彼女たちのバランス感覚から、学ぶことも多そうだ。

(小河愛美)

〔日本経済新聞朝刊2016年12月17日付〕

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