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宇宙飛行士を悩ます視覚障害 謎を解明か

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

長期間の宇宙滞在を終えて地球に帰還した宇宙飛行士の多くが視覚障害に悩まされ、なかにはずっと治らない人もいる。ある研究者たちが何年にもわたる考察と調査を経て、ついにその原因を特定したと考えていることを米放射線学会で発表した。脳を浸している液体が、不適切な場所に蓄積して眼球を押し、地球に戻ってきてからも元に戻らないほど一部を平らに押しつぶしてしまうのだ。

この状態は視覚障害脳圧症候群と呼ばれ、国際宇宙ステーションに長期滞在した宇宙飛行士の約3分の2が患っている。

この不思議な症候群をNASAが最初に発見したのは2005年のことだった。宇宙に出発する前には1.0だった宇宙飛行士ジョン・フィリップス氏の視力が、半年間の宇宙ステーション滞在後に0.2まで低下していたのだ。徹底的な身体検査の結果、フィリップス氏の眼球の後ろの部分が何らかの原因で平らになり、視神経に炎症も起こしていることが明らかになった。

発表を主導したノーム・アルペリン氏は、「人々は当初、この現象をどう理解すればよいか分かりませんでしたが、2010年には、この現象への懸念が高まっていました。一部の宇宙飛行士の眼球に深刻な変化が起こり、地球に帰還しても完全には元に戻らないことが明らかになったからです」と説明する。(参考記事:「宇宙旅行の時代が到来、あなたの睡眠はどうなる」)

体液が犯人ではない?

何かが宇宙飛行士の目に圧力をかけていることは分かっていたが、NASAの医師たちは原因を特定できなかった。有力だったのは、微小重力状態になると体全体の血管内の体液(血液とリンパ)が地上とは異なる場所に移動することと関連しているのではないかという説だった。

NASAによると、宇宙飛行士の体内では2リットルもの体液が足から頭に向かって移動するという。科学者たちは、こうして移動した体液が脳にかかる圧力を高め、最終的には目に影響を及ぼすのではないかと考えた。

けれども2015年、この現象を調べた実験の結果が発表されると、謎はいっそう深まった。

上空からの急降下により最大25秒間の無重力状態を作り出す航空機、通称「ヴォミット・コメット(直訳すると「嘔吐彗星(おうとすいせい)」)」に乗った4人を測定したところ、無重力状態では脳圧が上昇するどころか低下していることが明らかになったからだ。

現時点では打つ手なし

米マイアミ大学の放射線医学と医用生体工学の教授であるアルペリン氏は、宇宙飛行士の視覚障害の原因は、頭部を流れる血管内体液の増加ではなかったと言う。真の原因は脳脊髄液(脳漿(のうしょう)、髄液ともいう)にあった。立ち上がったり横になったりして姿勢が変わったときの圧力の変化から脳を守るクッションの役割を果たす液体だ。

しかし、微小重力下で暮らす宇宙飛行士には姿勢に関連した圧力変化が起こらないため、この精巧な仕組みに混乱が生じる。

アルペリン氏たちは、長期間の宇宙ミッションの前と直後に7人の宇宙飛行士の高分解能MRI(磁気共鳴画像装置)スキャンを行い、その結果を短期間のスペースシャトル・ミッションに従事した9人の宇宙飛行士の過去のスキャン結果と比較することにより、今回の結論に達した。

宇宙に数カ月間滞在していた7人の宇宙飛行士では、眼窩(がんか)の脳脊髄液の量がかなり多くなっていた。そのせいで宇宙飛行士の眼球の後ろにかかる圧力が高くなり、眼球の後ろ側を平たく押しつぶして、視神経の突出も顕著になっていたのだ。

NASAにとって、ついにこの症候群の原因がわかったかもしれないのは良い知らせだが、悪い知らせでもある。現時点では、これを防ぐ方法がないからだ。眼球の異常が血管内体液の移動によって引き起こされていたのなら、宇宙飛行士は現在開発中のデバイスを装着して体液の流れを足に戻して治療できる可能性があった。(参考記事:「高まる「火星熱」 人類の移住計画はここまで来た」)

宇宙旅行での視覚障害も、効果的な人工重力装置でしか解決できない問題かもしれない。

(文 Mark Strauss、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年12月2日付]

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