キングオブコント9代目王者のライス ライブで力磨く
10月放送のコント日本一決定戦『キングオブコント2016』(TBS系、以下KOC)で優勝したライス。これまで劇場を中心に活動していた2人が、今年に入ってから初のテレビ出演となる同番組で快挙を成し遂げた。
決勝1巡目では、裏社会の武器商人が不審者にピストルを突きつけられ命乞いをしているうちに理不尽な要求を繰り出すコントでジャングルポケットと同点首位に。「勘弁してくれぇ~い!」に始まり、徐々に「○○してくれぇ~い!」のフレーズがエスカレートしていくさまに客席が大きく沸いた。2巡目にはレストランを舞台に、水をこぼしたウエーターとズボンがぬれた客が言い争うコントを展開。審査員のバナナマン設楽をして「なんで今まで評価されなかったのか。(中略)見入っちゃいました」と言わしめるなど、高評価を受けての優勝だった。
結成は03年。高校の同級生同士で大学在学中にNSC(吉本総合芸能学院)に入学し、コンビを組んだ。結成当初特に好きだったのは、くしくもKOCの審査員を務めたダウンタウン(審査は松本のみ)、さまぁ~ず、バナナマンで、「お互いにDVDを貸し借りしていた」「あの5人に審査してもらっただけでうれしかった」と2人は振り返る。
同期にはハリセンボンやしずるといった、早い段階でテレビバラエティーに進出した仲間がわんさかいる。同じ劇場で切磋琢磨(せっさたくま)していた後輩のはんにゃ、フルーツポンチも次々にブレイクした。「仲がいいところからどんどん売れていったんですよ。僕らはパワースポット的な存在だったかもしれない」と田所(左)は笑う。
焦りがなかったわけではないが、不思議と解散話が出なかったのは、「2人とも東京が地元で、実家がすぐ近くにあったからだと思う」(関町、右)。仲間のブレイクから取り残されてもマイペースにネタ作りに励んできた。
2人が声をそろえる転機は、13年の千葉・幕張イオンモール劇場のオープン。ライスは劇場を盛り上げる7組の選抜ユニットに選ばれ、同所を中心に活動していくことに。「お客さんは、イオンモールで買い物しているファミリーやカップル、年配の人が中心。僕らのことを知っている人がほぼいない状態だから、ここでウケたネタはどこに行ってもウケる」(田所)、「お茶の間に一番近い劇場で鍛えられた」(関町)と2人は説明する。
一見さんを笑わせる技術を身につけたうえで月に20本以上のライブに出演し、KOCで披露するためのネタを「1年かけてブラッシュアップさせていった」(田所)のが勝因といえそうだ。
これからテレビ出演が増えることに関しては「不安でしかたがない。ネタだけやってきた2人だから情報収集しないと」(田所)、「昨日も後輩なのに(昨年王者の)コロコロチキチキペッパーズに相談しました」(関町)と語りつつ、「ロケに出るのが楽しみ」と声を弾ませるライス。この数年で培ったお茶の間力を生かして、"おかわり"されるコンビになってほしい。
(「日経エンタテインメント!」12月号の記事を再構成。敬称略、文・遠藤敏文 写真・中村嘉昭)
[日経MJ2016年12月9日付]
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