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能楽、600年の伝統を手話でアップデート

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現在まで受け継がれている演劇として世界最古とされる能楽。長く伝統を守り続けてきた能楽界でいま、手話を取り入れた新たな取り組みが始まっている。能楽の流派の一つ、喜多流はこのほど、喜多能楽堂(東京・品川)にて能楽師2人が舞台上で手話をしながらせりふを表現する手話能を披露した。能楽の長い歴史の中で初の取り組みだ。

せりふを言いながら同時に手話

前代未聞の舞台に挑戦したのは、狂言・和泉流能楽師の三宅近成さん(31)と下掛宝生流能楽師の安田登さん(59)。能の中に登場する間(あい)狂言を手話で表現した。音楽や舞に重点を置く能に対し、狂言はミュージカルのようにコミカルなしぐさとせりふでストーリーを表す。間狂言の中でもせりふは最も重要な表現手段だ。このため、せりふを伝える手話を頭にたたき込まなければならなかった。三宅さんは、「狂言のせりふを言いながら手話をするという2つのことを同時にやる必要があったので大変だった」と話す。

舞台では耳の不自由な人にも手話がよく見えるように身体の向きや動きにも気を配らなければならない。能舞台は台を囲む形状のため、一般の舞台と異なり多方面からの観客の視線を意識する必要もあった。日本ろう者劇団(東京・品川)の井崎哲也代表代行に指導を仰ぎながら、手話付きの演技のけいこを重ねた。

さらに、今回の演目「黒塚」は、東北地方に伝わる鬼婆伝説が題材。その間狂言は、旅人を快く泊めた家の女が実は鬼だったという物語の中で重要な場面を担う。能楽師として約30年のキャリアを持つ安田さんは、「何度も経験がある演目だったが、今回は幕が開く前にすでに汗をかいていた。こんなことは初めてだった」と緊張の様子を語った。

こうして迎えた初めての手話能の舞台。客席の反応は上々のようだ。「しなやかな歩き方や動きが上品で格好良かった」。身ぶり手ぶりで話す男性(25)は、聴覚に障がいがあるため、今回が能楽初体験。「もともと能楽に興味があったが、聴覚障がい者向けの企画がなかった。手話の間狂言と同時通訳でとても楽しむことができた」と満足げだ。

ふりの一部のように自然に見える

一方、これまでの能楽に親しむファンはどう受け止めたのか。横浜市の能楽堂に勤務する女性は、「従来の能楽との違いを見比べたくて訪れた」と話す。「手話があたかも能や狂言のふりの一部のように自然に見えたのがとても新鮮だった。意味もかえって分かりやすく感じられたのも興味深かった」と語る。能楽師自身の反応も上々だ。今回の取り組みをプロデュースした喜多流能楽師の大島輝久さんは、「能も歌舞伎など他のジャンルとのコラボレーションが増えてきたが、その場限りで終わってしまうことが多かった。それに比べて、手話能は舞台上で一緒にやっていても全く違和感がなかった。今後、続けることでもっと良くなる予感がした」と語る。

国内の舞台やライブ市場の規模を算出するぴあ総研(東京・渋谷)の「2016ライブ・エンタテインメント白書」によると、2015年の能楽のチケット販売総額の推計は、前の年に比べて32%減の19億円。20億円台で推移していた10年前に比べて、ここ5年は10億円台と低迷している。調査を担当した笹井裕子所長は「ここ最近はやや下火になっている」と指摘する。

背景には、舞台の収容能力に限りがあることや、「一期一会」の精神を重んじることから公演回数が1日1回に限定されていることなど、根本的あるいは伝統的な要因も大きい。さらにファンの高齢化もあり、笹井所長は「何もしなければ(市場縮小の)傾向は変わらないだろう」と指摘する。

600年守り続けてきた伝統を未来に受け継ぐためにも、新しいファンや若い層の取り込みが差し迫る課題だ。能楽師の大島さんは、「手話能は耳が聞こえない人だけでなく、耳が聞こえる人にも同時に能楽を普及させる大きな役割を果たせるのではないかという手応えを感じた」と語る。今後は年1回のペースで実施していく考えだ。2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、障がいのある人にも配慮した環境づくりへの関心が高まるなか、伝統を守りながらアップデートした今回の挑戦は能楽の新しい楽しみ方を提示してくれたといえそうだ。

(映像報道部 鎌田倫子)

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