外貨投資

為替にチャレンジ

銀行員が教える 海外旅行の「外貨」活用法 SMBC信託銀行 商品企画部 金村大輔

2016/12/8

5ポンド紙幣。手前はプラスチック製の新タイプ PIXTA

 年末年始の休暇シーズンが近づいています。読者の皆さんの中にも、海外旅行に行かれる方、年末年始のバーゲンで海外ショッピングをされる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 私は現在、外貨決済商品の企画業務を担当しています。今回は外貨を取り扱う銀行員の立場から、海外旅行前のお金の準備方法や現地での支払い手段、ショッピングにおける外貨の活用方法などをご紹介します。

■海外旅行編 両替は一度に多く行わないこと

 まずは海外旅行です。その際に疑問に思うのが「現金はいくら持っていくか」「現地での支払いはどうするか」「余った外貨はどうするか」といったことではないでしょうか。

 まず注意すべきは必要以上に多く外貨現金への両替をしないことです。理由は大きく2つ。現金を多く持っていると盗難や紛失のリスクが高くなることと、通貨によっては円に戻す際の両替が不利になることです。特に新興国に旅行する際は、滞在国の通貨が日本であまり流通していないため、現地通貨が余ると日本円への再両替ができないことや、両替レートがかなり不利になってしまうことがあるのです。

 一方で米ドルやユーロなど世界的に通用する通貨(メジャー通貨)は、そのまま現地で支払いができ、日本円に戻した時に差益が出ることもあります。ただ、メジャー通貨でも高額紙幣への両替はなるべく避けるべきです。国によっては高額紙幣があまり流通していない(偽札と疑われたりして使いにくい)場合があるためです。

 この先何度も行く予定がある国を除いて、外貨現金への両替は必要以上に行うのではなく、計画的に行うことをお勧めします。

■お金の準備方法は「現金」だけではない

 では、現金以外にはどんな準備方法があるでしょうか。金融機関によっては渡航先のATMで、自分の円預金口座から現地通貨で引き出せるキャッシュカード(以下、国際キャッシュカード)ならびにデビットカード(以下、国際デビットカード)を発行しています。これらはクレジットカードの通用度が低い国で役立つだけでなく、チップや空港から目的地までの交通費の支払いなど、すぐに外貨現金が必要な時に便利です。

 こうしたカードは、券面に「VISA/PLUS」「MasterCard/Maestro」などの国際ブランドロゴが印刷されています。現地ATMの機械の周辺にもこれらのロゴが表示されていますので、利用前には確認を。国際空港などは外国人の利用が多いため、国際ブランド対応のATMが設置されている場合が多いといえます。

 またこれらのカードは、各発行会社所定の為替レート(会社により異なる)で日本円に換算され口座から引き出されるため、慣れない異国で両替所ごとに異なるレートや手数料を比較して選ぶ手間が省けます。さらに深夜・早朝など、銀行や両替所が営業していない時間にも便利です。

 これらのカードは近年、よく使われています。例えば当行の国際キャッシュカード「バンキングカード」は世界200以上の国と地域、約200万台のCD/ATMで、円口座からそのまま外貨現金を引き出す機能がありますが、年間延べ約20万人のお客様が170以上の国と地域でこのカードを利用して実際に引き出しをしています。

 ATMから現地通貨でキャッシングできるクレジットカードを使うという選択肢もありますが、その際には借入手数料などが発生します。事前にクレジットカード発行会社に確認しておいた方がいいでしょう。

■それぞれのカードの長所は

 クレジットカード支払いの場合も、現地通貨からカード会社所定のレートで日本円で引き落とされる点は先述のATMによる引き出しと同じ仕組みです。クレジットカードは実際の引き落とし日まで1カ月前後ありますので、旅行費用を給料日の後などにまとめて支払いたい方には便利です。

 国際デビットカードは欧米では広く普及している支払い方法で、クレジットカードとの大きな違いは、使った分が口座残高から即時引き落とされる点です。国際ブランドロゴがあるので「借り入れ」を連想される方が多いかと思いますが、そうではなく、残高以上に使い過ぎる心配がないのが長所です。

国際プリペイドカードの例

 また最近は国際プリペイドカードというものも登場しています。機能や支払い方法は国際デビットカードとほぼ同じですが、違いはあらかじめカードに利用金額をチャージしておく必要があること。SuicaやPASMO等の交通系プリペイドカードをイメージすれば分かりやすいでしょう。これらは日本円をチャージして使いますが、例えば当行で取り扱っている外貨プリペイドカードは1枚の中に5通貨(日本円、米ドル、ユーロ、豪ドル、英ポンド)をチャージできます。世界中の約3800万店で利用でき、ATMからの現地通貨引き出しも可能ですが、上限は基本的にご自身がチャージした分まで。従って使いすぎも防げますし、万一落としてもリスクをある程度限定することができます(紛失時、カードを利用停止にするのもインターネットから24時間可能です)。

■帰国後は暗証番号を変更、限度額も引き下げを

 さて、海外から帰国した後はどうでしょう。不正使用防止のため、カードの暗証番号を変更し、当分海外に行く予定がなければ利用限度額(海外利用分)を引き下げることをお勧めします。これは金融機関やカード会社から受けとるダイレクトメールでご存じの方もいるかもしれません。

 これにより、スキミング(カード情報の不正コピー)被害の防止または軽減という効果が期待できます。特に暗証番号については、帰国後すぐの変更をお勧めします。スキミング犯がコピーカードを作るのにはある程度時間がかかると言われているため、その間に暗証番号を変更してしまえば、偽造カードは実際には悪用できないからです。

 以上、海外旅行における支払い方法についてご説明しましたが、この分野も投資と同じく「分散」や「備え」が重要だといえそうです。現金だけ、クレジットカードだけではなく、複数の支払い手段を用意しておくことにより、慣れない土地での支払いや不測の事態にも余裕をもって対応することができます。

■ショッピング編 日本にいながら外貨を活用してショッピング

 最後に海外ショッピング編です。皆さんは、国際デビットカードや国際プリペイドカードを使えば、国内の銀行にお持ちの外貨預金口座から海外のネットショップで外貨で支払えることはご存じでしょうか。私も以前、積み立てておいた外貨を使って革靴を国際プリペイドカード経由で購入したことがあります。外貨を買っておくタイミングによっては日本円で買うよりも結果的に安く買える場合がありますし、為替がもし取引後予想と逆に動いたとしても、外貨で使うのであればそのままの価値で利用できます。国内では手に入らない海外ならではの商品も探せるかもしれません。ただしこの場合、品物によっては送料や税などの費用が意外に高くなることがありますので、支払い前の確認は重要です。

 さて、以前は外貨というと外貨現金そのものを意味し、それに触れるのは海外旅行に行く時くらい、といった時代がありました。しかし、最近は様々な外貨サービスが登場しており、形のないものも含め、広い意味での「外貨」を活用できる機会が格段に増えました。こうなると長年外貨サービスに精通し、為替情報をタイムリーに発信してくれる金融機関を選ぶのも大事なポイントになります。より身近、かつ多彩になった外貨サービスを活用し、今後の生活を豊かなものにしていただければ幸いです。

 それでは良い年末年始をお過ごしください。

金村 大輔(かねむら・だいすけ) SMBC信託銀行 商品企画部 アシスタントマネージャー。関西学院大学社会学部卒業後、シティバンク銀行入行。個人金融営業、マーケティング、ローン商品企画、外資系法人営業に従事。現在は、SMBC信託銀行プロダクト部門におけるカード商品を主とした決済業務の商品企画を担当。

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