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「世界にひとつだけ」の眼鏡をつくる~福井県鯖江市

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NIKKEI STYLE

鯖江市を中心とする福井県の眼鏡フレーム生産地域は眼鏡フレームの国内製造でシェア9割を超える。世界的ブランドのアイウエアも実はここで生産されているケースが多い。見慣れたツールの眼鏡だが、選び方や手入れ方法を知らない人も珍しくない。「眼鏡の聖地」への旅は身近なパートナーとの間柄をバージョンアップしてくれる。

「めがねミュージアム」で本格的な眼鏡作り挑戦

北陸新幹線が金沢駅まで通ったおかげで、東京周辺からも金沢経由で行きやすくなった。金沢駅でJRの特急に乗り換えて約1時間で鯖江駅へ。関西方面からは東海道新幹線の米原駅で乗り換えても行ける。

全国の眼鏡好きが向かうのは、駅から歩いて15分程度の「めがねミュージアム」。全国でも珍しい眼鏡専門の博物館だ。10階建てのビルは屋上に置かれた真っ赤な眼鏡の巨大なオブジェが目印だ。

このミュージアムでは眼鏡の手作り教室に参加できる(要予約)。素人が見よう見まねで手を動かしてみる程度のよくある「体験」とはわけが違う。所要時間は5~7時間。料金は1万8900円(税込み)。観光客向けの体験コースとして見ると、安くはないが、完成品の眼鏡が手に入ると思えば、そうでもない。

「世界にひとつだけ」のオリジナル眼鏡を手作りできる。プラスチックフレームの形と素材を選ぶところから始まって、削り出し、ヤスリ仕上げなどを自分の手で進めていく。ベテランの匠から指導を受けながら、にわか職人気分が味わえる。ミュージアム2階の工房には万力やドリル、磨き装置などが並び、本格的な作業場のムード。フレームデザインは約70種類、材質は約500種類から選べるので、オーダーメード感覚で眼鏡作りを楽しめる。

実際の枠よりもやや大きめの板状プラスチックに、フレームの輪郭を印刷したシートを貼り付け、その線に沿って糸のこぎりで切り抜く。匠はスイスイ刃を切れ込ませていくが、素人は垂直に歯を立てて板を切り進むのが容易ではない。かなりの汗をかく。翌日以降、筋肉痛に襲われる人もいるという。ほぼ輪郭通りに切り抜いたら、次はヤスリでさらに正確に形を整える。さらに、テンプル(両サイドのバー部分)をつけて、眼鏡らしい形になっていく。最終的な仕上げは職人に任せて、約1カ月後の完成を待つ。

おみやげはオーダーメードで仕立てた特別な1本

眼鏡好きにたまらないのは、館内の著名人着用品の展示コーナー。古くは吉田茂元首相から、漫才師の横山やすし、コメディアンのトニー谷、タレントの所ジョージ、笑福亭鶴瓶、俳優の石原裕次郎といった著名人が実際に使っていた眼鏡が集められている。多くは収集家のコメディアン・大村崑のコレクションだ。特撮ヒーローのウルトラセブンが変身の際に用いる「ウルトラアイ」にも対面できる。

漫才コンビ「南海キャンディーズ」の山ちゃんこと、山里亮太はレンズが小ぶりの赤いフレームがトレードマーク。この眼鏡を制作しているのが、同市内のプラスチック眼鏡枠メーカー「サン・オプチカル」の竹内公一社長だ。この道40年を超える匠。鯖江製の魅力を伝えるスポークスマン的存在でもある。

 サン・オプチカルの工房を訪ねると、作業スペースには各工程用の加工機器がいかにも町工場然とした雰囲気で並べられ、職人が黙々と手を動かしている。最初はつやのなかったアセテート(プラスチックの一種)素材が磨き工程を経てつややかな光沢を帯びていくのは、まるで魔法を見るかのよう。枠を切り出す竹内氏の糸のこさばきは自信に満ちていて、その迷いのなさにほれぼれする。「サッと1本仕上げるなら、機械より手のほうが早い」と言う口ぶりから職人の自負がのぞく。

特別に見せてもらった素材倉庫は昔のみそ蔵を改装したもの。長年、買い集めた貴重なアセテートの板状素材が約3000種類もそろう。色も柄も異なるうえ、切り出し方次第でさらに見え具合が変わるそうで、他人とかぶりたくない顧客のわがままなニーズを満たしてくれる。こちらでは取引先のメガネショップを通じてオーダーメードを受け付けているので、素材から選んで自分好みの「分身」をあつらえてもらえる。

眼鏡はほとんどの人が完成品を買う。だが、顔の形や瞳の位置はそれぞれに異なる。既製品を調整して使う場合、フィッティングは必ずしも完全とは言い切れない。本来は個々の顔に合わせてデザインを起こすのが最もジャストフィットしやすい。しかも、自分がまといたいイメージ次第でもデザインは微妙に異なり、たとえば両サイドのテンプルの太さで意思の強さを示すような演出もできる。だから、細部に至るまで注文を聞いてもらえるオーダーメードは、頼れる「相棒」を手に入れる近道といえる。

めがねミュージアムの1階にある「めがねShop」ではオーダーメードも受け付けている。依頼主のライフスタイルやファッションなどをヒアリングして、最適な眼鏡をデザインする。頭部のサイズを測定し、丁寧な視力チェックをしてくれるので、安心感が高い。聖地を訪れた記念に特別な1本を仕立てるのは、またとない「おみやげ」となる。既製品を購入する場合でも、めがねShopには福井県内メーカーのフレームが3000種類以上も展示されていて、幅広い選択肢から選べる。

東京にも拠点、長く愛用できる鯖江ブランド

眼鏡の聖地は国産眼鏡の安心感や価値を発信する拠点を東京都内にも構えている。福井県眼鏡協会直営の眼鏡ギャラリー「GG291」(東京・青山)はプロ向けのショールームと、一般の人が購入できる小売店という性格を兼ね備える。フロアを見渡す限り、陳列されたフレームのバリエーションはもちろん、丁寧なアドバイスや視力測定で買い手をサポート。ヘッドサイズの計測や、鼻梁(びりょう)形状のチェックなどは、スピーディーな仕上がりを売り物にする新興ショップでは省かれてしまいがち。眼鏡選びのコンシェルジュは頼もしい存在だ。

眼鏡フレームを選ぶ際、ついデザイン性にばかり目が向かいがちだが、「GG291」の末田広志店長は「枠の中心に瞳が来るように」とアドバイスする。正しいフィットはノーズパッド(鼻押さえ)と耳の後ろだけが肌に触れる状態という。顔の横がテンプルに当たるのはサイズが顔に合っていないわけだ。ただ、多くの店ではこのあたりを目分量で済ませてしまいやすい。眼鏡を扱う上での知識や技能を裏付ける、唯一の資格「認定眼鏡士」を持っているスタッフかどうかを手がかりにしたい。

 レンズ代込みで1万円を切るような低価格商品の場合、中国や韓国で生産するケースが多い。製法も鯖江とは異なり、テンプルに金属芯が通っていないこともある。鯖江製は最初から、長く使ってもらうことを想定して、修理や再フィッティングが可能な構造になっている。伝統的な製法に従っているので、大半の眼鏡店に持ち込んで修理してもらえる。しかし、低価格品の場合、近場の眼鏡店では修理を断られることがあり得る。二次的な加工を織り込んでいないので、ゆがんだらそれきりになってしまいかねない。愛着を持って使い続けるというわけにはいきにくいのだ。

購入時に加えられる調整にも限りがあり、結果的に「眼鏡に顔を合わせる」という、本来とは逆の使い方を迫られる状況が起こり得る。医療矯正器具というもともとの性格になじまない扱い方だ。同じフレームであっても、鼻パッドの位置を上げ下げするだけで、着け心地は劇的に変わる。こういった微細なフィッティングに対応してくれる「かかりつけ眼鏡店」を持てば、眼鏡ライフの健康度と快適さが増す。

眼鏡との付き合い方が変わる契機に

眼鏡選びの際にデザイン面で意識したいのは、「どう見られたいか」というセルフイメージだ。ファッション小物としてはネクタイや腕時計が重要視されるが、顔の最前面に位置するという意味で眼鏡は印象を左右する力が極めて強い。「GG291」ではそういったニーズをコンサルティングで引き出し、希望に近い見え具合に導くフレームを提案する。第三者のプロにもらえる助言は自分の見られ方を意識する契機ともなる。

会議用やプライベート用など、目的やシーン別に使い分けると、狙い通りのキャラクターを操れる。シャープなメタル、穏やかなプラスチックで人柄イメージも変えられる。広く目を配りたい自動車運転中はワイドな枠を、目の動きが限られ、重たさを感じたくない読書中は小ぶりの枠を選ぶといった使い分けは、それぞれの動作に集中しやすくなるというメリットも生む。

普段のメンテナンスでは勘違いしている人も多い。少し汚れたらティッシュペーパーで拭き取る人がいるが、これはレンズを傷つけるNG行為なのだそうだ。正解は水で流して、ティッシュで水気を取った後、レンズ拭きできれいにする。ほこりが付着した状態で拭くのは、車のボンネットをいきなり磨くようなもので、傷の原因となる。

汚れがひどい場合は台所用の中性洗剤で洗う。大事なのは中性である点。せっけんでも液状ソープでも酸性やアルカリ性はコーティングを傷めやすいので好ましくないという。温泉の湯も酸やアルカリを帯びているので、ダメージになる。そもそも熱は大敵だから、サウナや浴室での着用はすすめられない。着用したままのドライヤーもよくない。整髪料が残ったままだと、しみになりやすいから、寝る前はテンプルを拭く癖をつけたい。

長く使っていると、鼻パッドがさびついて緑青色になってくる。金属部分はぬれたら早めに拭いてしまおう。レンズについた水は跡が残りやすい。テンプルの芯がさびないよう、端から水がしみ込まないストップを添えてあるタイプもあり、職人仕事の心配りは細部にまで行き届いている。

きちんとしたショップで眼鏡を作ってもらうと、意外な発見がある。普段から鏡を見ていても、自分の顔の「つくり」は当たり前と思っていて、あまり気に留めなくなっているものだ。でも、顔の外形寸法や、両目の距離、鼻の高さ、耳の位置などを数字で示されると、あらためて己の顔立ちが数値でつかめる。特徴がわかれば、見せ方やつきあい方の工夫も思い浮かぶ。当然、眼鏡の生かし方も変わってくるから、大げさに言えば、その日から「私の顔」が変わるきっかけにもなるだろう。

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