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飲んで学んで、また飲むダブリン

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「あんた、運がいいね。ダブリンがこんなに晴れるの、そんなにないことだよ」。出張でアイルランドの首都ダブリンを訪れると、タクシーの運転手にこんなことを言われた。欧州で「曇り空」というとロンドンのイメージが強いが、実はアイルランドもあまり変わらないようだ。せっかくの好天なのだから、国際会議の取材の合間に街を歩いてダブリンのお酒の名所を訪れてみることにした。欧州の酒類会社を担当する記者として、ぜひ見ておきたい場所がいくつかあったのだ。

◆       ◆        ◆

アイルランドのお酒といえば、まずはビールの「ギネス」である。ダブリンにはギネスの製法や歴史を紹介する博物館「ギネス・ストアハウス」がある。酒好きなら欠かせない観光スポットの一つだ。街の中心部に近いダブリン城から西に20分ほど歩くと、れんが造りの古めかしい建物が見えてくる。

ギフトショップからバーまで 充実の「ギネス・ストアハウス」

外見とはうって変わって、中はピカピカのショッピングモールのような雰囲気だ。1階はギフトショップとギネスの製造工程を紹介する大がかりな展示、2階はテイスティングの体験コーナーと続く。もっとも、記者がここを訪れたのは米国の大手航空機メーカーが博物館を借り切って夜のレセプションを開いていたからでもあった。ツアー客としてテイスティングをたしなむというよりも、館内のあちこちで提供されるギネスをパイントグラスでがぶ飲み。勉強し損ねたかも。

3階まで上がるとギネスの広告の変遷を紹介するコーナーがある。今どきの世界的なビールブランドは若々しさやカッコ良さを前面に出した宣伝が業界標準になったようなところがあるが、かつてのギネスはアットホームな雰囲気とユーモアを重視していたようだ。特に口ひげのおじさんが両手にギネスの瓶とグラスを持って走る展示物がほほ笑ましい。それにしても「マリオブラザーズ」のルイージに似ている。記念撮影はここがお薦め。

さらに上へと進むと上手にギネスをグラスに注ぐ体験コーナーがあり、高級バーがあり、さらに上にはレストラン。最上階は街をぐるりと見渡せる展望台を兼ねたバーだった。趣のあるダブリンの街を眺めながら飲むギネスは格別である。そして仕上げは1階に戻りギフトショップで買い物。チョコレート菓子からベースボールキャップまで、何でもギネスのロゴを盛り込んだ商品が立ち並ぶ光景は圧巻だ。さすが世界ブランド。日本の「スーパードライ」もこれを目指すべし。

「ジェムソン旧蒸留所」でウイスキー造りの伝統を学ぶ

翌日は夕刻にウイスキーの博物館「ジェムソン旧蒸留所」に足を運んだ。こちらもダブリン城から北西に歩くこと20分弱で到着する。ところでギネスは蒸留酒で世界最大手の英ディアジオの主力ブランドだが、ジェムソンは世界2位の仏ペルノ・リカールの有力商品だ。街を横切るリフィー川を挟んで蒸留酒の世界2強がにらみ合っているようで興味深い。

こちらはギネス・ストアハウスに比べるとこぢんまりとした施設だが、ウイスキー造りの伝統を伝えようという気概を感じさせる。ガイドが20人ほどの客を連れて館内を案内する仕組みで、ウイスキー造りの工程を説明してくれる。

ツアーに含まれるテイスティングでは、スコッチ・ウイスキーと米国産ウイスキーも提供し、ジェムソンとの違いを解説してくれた。ひたすら自社製品をアピールするだけ、ではないのだ。それぞれに蒸留する回数や熟成(貯蔵)の方法などが異なり、それぞれの個性がある。飲み比べてみると、スコッチはピート(泥炭)の香りが強く、アメリカンは甘みのような味が前面に出ている。ジェムソンは良くも悪くもまろやかで、口に含んだ際の滑らかさは日本のウイスキーに近い印象を受けた。

ツアーの最後はバーでドリンクの提供。ここではジェムソンをジンジャーエールで割ってライムを加えたカクテルドリンクに挑戦した。甘いような酸っぱいような、微妙な味わい。どちらかというと女性向けかもしれない。ギフトショップもギネスに比べると地味だが、様々な年代のジェムソンや限定品もあり、玄人でも楽しめる。記者はここでしか買えないという12年の限定品(ミニボトル)をゲットした。4.5 リットルの瓶もあったが、さすがに大きすぎて持ち帰れない。免税があるにせよ、ここで買う必要があるのか。

目当ての博物館を2カ所とも制覇した後は市街地を散策。「立派な建物があるな」と見上げてみたら、それがアイルランド銀行だったり、「教会のすぐ横なのにセクシーなお姉さんの銅像があるな」と思ったら、それはモリー・マローンというダブリンを舞台にした有名な曲に登場する人物だったり。金曜日だったこともあってか、観光客も含めてとにかく人が多い。

地元の酒好きでにぎわう「テンプルバー地区」

パブやバーが多いな、と思った場所はテンプルバー地区という飲み屋街だった。車が通らないような細い道が多いからか、至る所で仕事を終えた会社員らしき人々が通りにせり出して、ジョッキやグラスを片手に楽しげに歓談していた。欧州の人々は何かと外で飲み食いしたがる傾向があるのだが、ダブリンも例外ではないようだ。記者が訪れたのは6月上旬で好天にも恵まれていたから、無理もないか。ともかく、男女とも酒好きであるということはよくわかる。

ここまで来て登場したお酒がギネスとジェムソンだけというのはさみしいので、ほかのビールも2つほど紹介しておく。1つは「クロンメル1650」。標準的なラガーだ。商品名はイングランド議会軍がアイルランドを攻略した際に、アイルランド軍が圧倒的に不利な人数で抗戦した1650年のクロンメルでの戦いに由来する。メーカーはダブリンに本社を置く大手飲料会社C&Cグループ。愛国心にあふれた商品といえる。日本でいえば「硫黄島1945」といったビールを売り出すようなものだ。いや、違うか。ダブリンではビールを飲んでも歴史の勉強になるのである。

もう1つは「フランシスカンウェル」で、こちらはクラフトビールという位置付け。1998年に創業したビール会社が製造する商品だが、工場は13世紀にさかのぼるフランシスコ会の修道院の跡地に立地し、当時の修道院でのビール製法と現代の醸造技術を組み合わせた、という触れ込みだ。その修道院には「奇跡を起こす井戸」があったと伝えられているとのこと。クロンメルもそうだが、新しい商品にこうした「物語」を持たせるのは最近のマーケティングでよく見られる手法だ。

残念なことに、3泊4日の出張で夕食時にダブリン市内のパブに行けたのは1回だけ。ふらりと入った店は観光客向けの要素もあったのだろうが、音楽の生演奏がにぎやかだった。この辺りが英国のパブとの大きな違いかもしれない。その店に置かれていた掲示板にはこう書かれていた。「アルコールはアイルランド人のために発明された。彼らが世界を乗っ取らないようにするために」。なるほど。記者も世界を乗っ取らないように気を付けよう。

(ジュネーブ=原克彦)

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