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日韓の女子大、キャリア教育を手厚く

日韓意識調査

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NIKKEI STYLE

働く女性が出産を機に退職する傾向が今も残る日本と韓国。だが、ずっと働き続けたいと思う女性の比率は韓国の方が高く、特に20代で差が顕著だ。背景を両国の女子大学を通じて探った。かつて良妻賢母の育成を担った女子大学がキャリア教育を手厚くし、仕事で活躍する女性の育成を強化している。

韓国、新入生から適性分析

「それでは隣同士ペアになりインタビューしましょう」。10月下旬の夕刻、梨花女子大(ソウル市)の1.2年生を対象にしたキャリア開発講義「自己発見」の一コマだ。

大学生の就職率が70%を下回り、若年層の高い失業率や非正規労働者の増加が問題になっている韓国。4年制大学卒業者の就職率は男性が67.2%に対し、女性は62%(2014年、韓国教育開発院調べ)にとどまる。女子学生の就職がとりわけ厳しい。

梨花女子大は良妻賢母のみならず各分野でリーダーを輩出してきた。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人の娘が不正入学したとされて関心を集めたのも皆が憧れる大学だからだ。その名門校が今、危機感を募らせている。就職実績が大学評価に直結する傾向が強まり女子大ではなく共学を選ぶ例が増えている。

梨花女子大が取った対策が、入学直後から始まるキャリア開発だ。新入生には1学期から教授が講義し、相談コーナーも設けた2日間のキャリアデザイン展を開催している。「3年生から具体的な仕事の就職準備に入るので、1.2年生のうちから職務への適性の有無を確認する必要がある」とキャリア開発センター長のカン・ミナ教授は語る。

個人のキャリア開発の取り組み状況を「見える化」するシステムも取り入れた。15年に単位の取得状況のほかセミナーなどの履修歴や参加状況を確認できるオンラインシステム「eポートフォリオ」を導入。今秋に、同システムに個人のキャリア開発の道筋を具体的に示す新プログラム「eQuest」を接続した。

スキル・経験、取りこぼさず

希望するキャリアに沿って、留学やインターンなど在学中に取り組むべき活動と時期の目安を学年別に紹介。「学生の全ての足跡とキャリア開発の計画を照らし合わせることができ、取りこぼすことなくスキルや経験を積めるようにする」(カン教授)

厳しい就職状況の下、韓国の大学受験は年々、過熱している。入学後も好成績を修めるのはもちろん、海外語学研修やボランティア活動、各種資格の取得など、企業が採用時に求める「SPEC(スペック)」と呼ばれる実績作りに取り組む。梨花女子大出身の30歳代の主婦は「私の時代は楽しい青春の一コマだったが、今の大学生は忙しくて大変そう」と語る。

ただ、多忙な学生生活を送って企業に就職しても、満足できているとは限らない。入社1年以内に退職した韓国の新入社員は27.7%に達する(16年調査)。学生時代に「どんな働き方をしたいのか」を考える余裕がないまま就職していることが背景にある。

「学生のうちに働く社会人の実像や働き方を知ってもらいたい」。淑明女子大(ソウル市)は15年から、卒業生「雪花メンター」による講座を低学年を対象に始めた。就職のミスマッチを防ぐためだ。

受講生の1人、統計学科2年のキム・ミレさんは「数学が得意で就職にも有利になる」と専攻を選んだが、講座をきっかけに公共企業への就職を希望し始めた。「先輩の体験談を通じ女性が働き続けやすいしくみの重要性を知り、自分が安定的な職場を望んでいると気付いた」と話す。

キャリア開発センター長を務めるオク・キョンヨン教授は「OGメンターを通じて、在学生は価値観や理想像を共有しながら進路を考えることができる」と狙いを語る。

日本、授業に各界から講師

韓国では学生が厳しい就職状況に直面しているのに対し、日本では来春卒業予定の女子学生の内定率が過去最高となるなど売り手市場にある。女性活躍推進の機運もあり企業の女子学生の採用意欲も高まりつつある。こうした流れにうまく乗じようと、日本の女子大でも卒業後のキャリアを描くためのプログラムが展開されている。

お茶の水女子大学は、2011年度から「キャリアデザインプログラム」を開始。今年度は「女性リーダーへの道」や「キャリアプランとライフプラン」など13講座を開講し、早い段階からキャリア形成を考えてもらうものだ。

卒業後プラン、OGに学ぶ

主に1年生向けの「お茶の水女子大学論」では、金融や製造業、公務員など各界で活躍するOGを講師に招く。講義では仕事と育児の両立などにも触れてもらい、長期的なキャリア形成をイメージしたうえで、大学での過ごし方を考えるきっかけになるよう働きかける。

手厚くキャリア教育する狙いについて、高崎みどり副学長は「大学で得た知識をどう社会に生かしていくのか。これまでは専門教育の中で養えるという考えだったが、社会と接する機会を増やして学生がより現実的に考えやすいようにした」と語る。将来の働き方や自分のキャリアをどう形成するかまで考えが及ばない学生が多いことも背景にあるようだ。

キャリア教育を担当する宮尾正樹教授は「目の前の就職活動に振り回される学生も多い。早い段階で自分の長期的なキャリアプランを考えた上で、企業研究などして自分の進む道を考えてほしい」と学生に注文を出す。

日本女子大でも、03年から「キャリア支援プログラム」を実施。150人以上の学生が受講する社会の第一線で活躍する女性の講義のほか、起業家のOGを招いた「現代ビジネスと起業」「社会に出るための自己表現」など多岐にわたった授業を展開する。

就職活動時には卒業生の支援も強く、卒業時に「キャリアサポートスタッフ」として登録した数千人のOGのうち、各業界から20人程度を学校に招き、学生とのディスカッションを通じて就職に関するアドバイスを行う。

同校で学生に卒業後の就業に関する意識調査をしたところ、「いつまで働きたいか」という問いに対して「定年まで」と答えた学生の割合は06年の17.5%から、15年には35.6%と2倍以上となった。ただ、20代の女性に同様の質問をした日韓意識調査(グラフ参照)では、日本の33%に対し、韓国は60%と倍近く高い。日本の女子大でも手厚いキャリア教育を進めているが、その必要性を学生自身がしっかり受けとめていくことが欠かせない。

日本の企業では女子学生を積極的に採用する動きも出つつあり、各校の就職支援担当者は、働き続けたい女性にとっての追い風になると捉えている。日本女子大の黒田文子キャリア支援課長は、「学生はその環境に浮足立つのではなく、就職前に社会の期待に答えられる力を身につけてもらいたい」と話す。お茶の水女子大の学生・キャリア支援センターの中川まり准教授は、働きやすい環境づくりに向けて「学生が、自分たちが変えていくという気概を持ってほしい」という。

「結婚・出産でも仕事続ける」韓国6割、日本は3割

「出産を機に退職し、子どもが大きくなったら再就職」という仕事観に共感する20歳代女性の割合は日本、韓国とも3割強だが、「結婚や出産と関係なく、ずっと仕事を続ける方がいい」と答えた割合は韓国で6割を超え、日本の33%を大きく上回ることが、日本経済新聞社と韓国・中央日報社が両国で実施した共同調査で明らかになった。年代別にみると「ずっと仕事を続ける方がいい」は、日本は20代が最も低く、逆に韓国は最も高くなっている。

「ずっと仕事を続ける方が良い」と思う理由で、最も回答が多かったのは「女性の自己実現が重要で、能力を活用しないのはもったいない」で、韓国の20歳代女性の59.3%、日本の20歳代女性の38.3%が支持した。

韓国社会や労働市場に詳しい駿河台大学法学部の朴昌明教授は「韓国経済が低迷するなか、若い男性は結婚相手の職業に注目している。結婚してもしなくても、女性にとって仕事を続ける重要性が増した」と指摘する。

「仕事をずっと続ける方が良い」と考えない人が挙げた理由は「子どもは母が家で面倒を見た方がいいと思う」(韓国58.2%、日本40.2%)、「仕事と家庭の両立支援が十分でない」(韓国23.6%、日本19.5%)が多かった。育児や家事を女性の役割と考える人が多い。「働き続けるのは大変そうだから」と答えたのは日本で同18.4%と3番目に多かったが、韓国では5.5%にとどまった。

(南優子、横沢太郎)

〔日本経済新聞朝刊2016年12月3日付〕

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