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年金、保険ショップ、少短。信用しても大丈夫? 正しい保険選びの考え方(8)最終回 生活設計塾クルー 浅田里花

2016/11/30

 これまで7回にわたり、保険と上手に付き合うためのポイントを述べてきました。最終回の今回は、取り上げきれなかった要素の中から「大丈夫なの?」をテーマに、Q&A風に答えてみたいと思います。

■公的年金や公的医療保険の将来は大丈夫? 財政がパンクするといわれているので、やはり民間保険で備えておいたほうが安心だと思うのだけど……。

 公的な制度は将来に向けて維持できるよう、ほころびが見えたら改正されていきます。あくまで将来につなげるための改正なのですが、保険料アップや給付額の引き下げなど生活者にとって厳しい方向に改正されることが多く、制度への信頼が揺らぐのも無理はないかもしれません。必ずしも厳しい改正ばかりではなく、例えば「高額療養費制度」の所得区分が細分化され、低所得者に優しくなったなどの改正もあるのですが、どうしてもネガティブな情報の方が多く取り上げられがちです。

 しかし、「公的年金はもらえなくなる」とか「公的医療保険は破綻する」といったコメントをうのみにし、制度を全否定するのは考えものです。これまで述べてきたように、公的年金制度は終身保障の老齢年金だけでなく、遺族年金や障害年金の機能も併せ持っているものです。もし民間保険で同等の保障を備えようとしたら、保険料負担は公的年金保険料の比ではありません。また、現在販売されている民間医療保険の保障内容では、公的医療保険の代わりにはなり得ません。

 やはり公的な制度でカバーすべき領域があることをよく理解し、そこへの参加意識をポジティブに持っておくことが大切だと考えます。もちろん将来どのようになっていくか、完全な予測はできません。制度の内容が厳しくなっていく一方、画期的な民間保険が登場する可能性もあります。また、制度より先に保険会社が破綻することだってあり得ます。いずれにせよ、民間保険を100、公的な制度を0で備えようとする考え方は危険です。

 将来の予測が難しい場合、資産運用では「分散」でリスクを回避するでしょう。どうしても公的な制度が心配なら、「(公的年金や保険も)分散先のひとつ」と捉えてはどうでしょうか。少しは気が楽になると思います。

■町中の保険ショップでは無料で保険の見直し相談ができますが、ある程度までは中立公平と信用して大丈夫ですよね?

 私は、保険ショップで提案された保障内容に対する「セカンドオピニオン」として相談を受けることが少なからずあります。これまで見てきた範囲で答える限り、「中立公平」は期待しないほうが無難でしょう。見直し前後で保険商品が入れ替わっただけ、見直し前にはなかった余計な保障が付いている、貯蓄にならない保険の提案で保険料が大幅にアップしている、本人がよく理解していない投資型の保険が提案されている……などなど、提案には問題を感じる点が散見されます。もちろん、誠実に顧客に寄り添う相談員もいるとは思いますが。

 経済の原則で考えてみましょう。民間の営利団体である限り、かかった経費以上の収益が発生しないと経営は成り立ちません。保険ショップもしかり。店舗の経費、人件費、広告宣伝費などの経費以上に収益を得ていく必要があります。その収益源は、保険を販売して得る保険会社からの手数料です。従って同じ手間と時間をかけるなら、より多くの手数料収入を上げることを考えるのは当然といえます。「無料相談」はボランティアで行っているわけではなく、あくまで来店してもらうための手段と心得ましょう。

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