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1日30品目は過去の話 人気トレーナーの14品目食事術 人気トレーナー・中野ジェームズ修一さんのカラダメンテ術(1)

 
日経Gooday

2017/1/10

1日14品目がおすすめだと話す中野ジェームズ修一さん

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス

 仕事にオフタイム、生活の質を上げるには健康な体でいることが一番大切だ。その実現には、何も特別なことをする必要はない。日々のほんの少しの心がけで、健やかな体づくりを達成できる。そんな日々の生活のコツと、自らが実践している方法を、米国スポーツ医学会認定運動生理学士で、箱根駅伝3連覇を果たした青山学院大学陸上部のフィジカルトレーナーとしても活躍する中野ジェームズ修一さんに聞いた。

 中野ジェームズ修一さんは、卓球の福原愛選手やバドミントンの藤井瑞希選手、そして、箱根駅伝3連覇を果たした青山学院大学陸上部のフィジカルトレーナーとして活躍している人物。また、体力面だけでなく、メンタルフィットネスまでも指導できる、日本では数少ないトレーナーの一人でもある。そのノウハウは、たくさんの著書や雑誌企画の監修などで垣間見ることができるので、ご存じの方も多いかもしれない。そんな中野さんの健やかな心と体づくりに対する日常の知恵の第1回目は、自身も実践し、クライアントにも指導している「1日14品目の食べ方」についてだ。

◇   ◇   ◇

■「フィジカルトレーナー」の仕事とは

 これまでの日本で「トレーナー」というと、ある一定のトレーニング方法を指導する人といったイメージが強いと思います。また少し前だと、故障した選手の体を「治す人」といった印象を持つ人も多いようです。しかし、それは医療従事者と呼ばれる方々、医師や鍼灸(しんきゅう)マッサージ師、柔道整復師の人たちの仕事です。

「フィジカルトレーナーという立場上、そう簡単にコンディションを崩すわけにはいきません」

 私たち「フィジカルトレーナー」は、トレーニングを指導するだけにとどまりません。選手の体を見て、触って、選手と話し、その人が今、どんな状態にあるのかを判断します。そして競技能力を高めるには、どの部分を強化すべきかを見抜いてトレーニングメニューを提案します。また、このまま練習していくと、どこか故障してしまうかもしれないと判断したときには、休むよう指示することもあります。選手や個人の体と心の状態に合わせたコンディショニングを組み立てるサポートをしていきます。

 いかに「ケガをさせない」ようにトレーニングし、競技能力を高めていくかの方法を選手に提案するのが、最も大きな役割です。つまり、コンディションを崩したり、故障したりすることがないように「予防」することが仕事なのです。

■スポーツ選手もそうでない人も「予防」が大事

 予防が大事なことは一般の方々も同じです。暴飲暴食や偏った食生活、もしくは運動不足や、自分の体の状態を無視した無理な運動などをすると、肥満に陥ったり、体のどこかを痛めたり、病気になったりしてしまいます。しかし普段から、食生活や行動に気をつけ、体力に合わせた簡単なトレーニングを心がけていれば、肥満や病気、ケガを予防できます。

 私自身、フィジカルトレーナーという立場でダイエットや身体機能の向上を提案している以上、太ることはできないし、ケガをして現場の指導に穴を開けることもできない。……ということで、予防は常に意識しています。腹が出たり、どこかに痛みを抱えたりしているトレーナーが「こうすれば痩せます」「健康になれます」「ケガを予防できます」と、エクササイズや食事の方法を教えても、説得力がありませんからね。

■「1日14品目」がおすすめなワケ

 そこで私が2003年くらいから実践し、提唱しているのが「1日14品目の食材」を食べることです。実は、私は食べることが大好きで、おいしいパンやケーキが大好物です。そうしたものを食べることに関しては、ほとんど制限していません。それにサプリメントも一切とりません。何でもバランスよく食べることが、体づくりには何より必要だと考えているからです。

 食事のバランスに関しては、以前の厚生労働省の指針では「1日30品目」をとることが目標となっていました。いまだにこの言葉を信じている人が多いようですが、実は30品目とっている人の多くがカロリーオーバーになることがわかり、今では削除され、「主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」という表現に変わっています。

 現在、日本には農林水産省が出している「食事バランスガイド」[注1]というものがあります。これは、従来の小難しい栄養素の組み合わせではなく、コマのように逆三角すいになったイラストで料理の組み合わせから栄養バランスを見直すことができるものです。私たちのような体づくりを指導する立場の者から見ると確かに量や組み合わせが考えられていて、よく作られています。一緒に仕事をする管理栄養士の方も「これなら簡単に組み合わせられますね」と絶賛します。ただ、栄養の専門家ではない一般の方に説明すると、どんな組み合わせがいいのか分かりにくいという感想を持たれるようなのです。

 それで私は1日14品目を実践しているわけです。14品目の発想は、ある管理栄養士さんともっとシンプルに栄養バランスについて伝えることはできないかと、話をしているときに生まれました。その内訳は「穀類」「豆・豆製品」「魚介類」「肉類」「牛乳・乳製品」「卵」「果物」「海藻類」「きのこ類」「芋類」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「油脂」「嗜好品」(表を参照)です。

中野ジェームズ修一さんの話を基に作成

 穀類を除く13品目が日に2回ダブらないようにして献立に加えていけばいいのです。例えば、朝食がご飯とワカメの味噌汁、納豆、ホウレン草のおひたし、そして焼き魚だったとします。ご飯は穀類、ワカメの味噌汁が海藻類、納豆が豆・豆製品、ホウレン草が緑黄色野菜で、焼き魚が魚介類なので、5品目がカバーできます。残り8品目を昼食と夕食でうまく振り分けて食べれば、ほぼ五大栄養素が網羅できるというわけです。

 また、「嗜好品」という項目が入っていることも注目してください。これは「心の栄養」です。もちろん栄養を考えることは重要ですが、嗜好品を我慢することはストレスになります。私もスイーツ類が好きですから、1日に1回だけ食べるようにしています。

 日本の食生活には和食だけでなく、中華もあればイタリアン、インド料理に韓国料理も……と、世界中の料理があります。バリエーションが多彩ですから、14品目は比較的簡単に達成できます。それに1日で達成しようとするのではなく、「昨日は少しカロリーをとり過ぎたから今日は抑える」、同じく、「今週は肉類が不足しているから少し多めに」などと、2~3日や1週間単位で考え、調整してもOKです。

[注1]食事バランスガイドの詳細については農林水産省のホームページ(http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/)をご覧ください

■「カロリー計算」は必要ない

 こう言うと「カロリー計算は必要ないのですか」と聞かれますが、必要ありません。1日3食、毎回とっていいのは穀類だけで、あとは1日1回にすると自然と総カロリーを抑えることができます。

 ただし、1食の中でパスタにパン、ラーメンにライスといった炭水化物の重ね食べをするのは避けましょう。また、昼にカツ丼やとんかつ定食を食べて夜に牛肉料理といった、1日の中での肉の重ね食べも避けたほうがいいです。一方で海藻類や緑黄色野菜、淡色野菜は、低カロリーで食物繊維や必要なビタミン類がとれるので1日に2~3回食べて大丈夫です。

 一つ注意したいのが、油で焼いたり炒めたり、また揚げたりと油脂類を多く含む料理。カロリーオーバーに直結するので気を付けてください。

 この食事法を私自身が実践して一番感じるのは、風邪を引かなくなったということです。また、クライアントのセッションを連続して行う日でも疲れがたまりにくく快適です。それにトレーニングメニューを考案したり、講演の原稿を作成したりのデスクワークで10時間以上働くこともありますが、そんなときも疲れにくい。食と健康な体づくりは直結しています。適切な栄養補給をして適度な運動をしていれば、いつまでも元気で働けます。

(ライター 松尾直俊/写真 室川イサオ)

■この人に聞きました

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
 フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士。1971年生まれ。日本では数少ない肉体面と精神面の両方を指導できるトレーナー。卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「青トレ 青学駅伝チームのスーパーストレッチ&バランスボールトレーニング」(徳間書店)、「世界一伸びるストレッチ」(サンマーク出版)など多数。

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