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グルメ・トラベル

気ままなクルーズで食べにいく、瀬戸内・島ごはん 離島でランチ@瀬戸内海(前編)

2016/12/1

 日本初の国立公園として知られる「瀬戸内海国立公園」。独特の多島美と穏やかな気候、島々の魅力にひかれて多くの人が訪れます。島から島へ、内海ならではのリラックス気分のクルーズと、愛情こもったとれたての海の幸のごはんを味わいに。香川県出身の津田千枝さんが取っておきの1日をご案内します。

 香川県高松市出身の私にとって小さい頃、瀬戸内海は日常でした。本州に渡るためフェリーで通る場所、夏には海水浴で遊ぶ。日常的に触れていたそんな場所のすばらしさに、東京や海外で暮らし、いろいろな海外の海を見た今になって気づきました。

 最近ではVIPや芸能人、外国人の中にも、瀬戸内海のリゾートや離島に魅せられて通う方がおられるようです。アート鑑賞のために直島をはじめとする島々を訪れる方も増えました。今回は瀬戸内海を食で楽しむ私のおすすめ「離島でランチ@瀬戸内海」をご紹介します。

 香川県といえば「讃岐うどん」ですが、離島で島民の方たちとふれあいながらいただく地産地消の海の幸は最高です。心ゆくまで島ネコと戯れたり、世界最大級の橋、瀬戸大橋をくぐったり、のんびりした離島での散歩など、いろいろな非日常も体験できます。

 ご紹介する「離島でランチ」のスタイルは、大きく分けて2つ。1つは、近くの島を半日程度で気軽に楽しむもの。もう1つは、丸1日使って瀬戸内海クルーズを堪能しながら、西の方の離島まで楽しむスタイルです。どちらも拠点はJR高松駅の隣にある高松港。交通手段は定期船のフェリーと、時間を気にせず自由に移動できるクルーザーをチャーターする方法があります。この記事の前編では半日程度で楽しめるコースを、後編ではクルーザーで丸1日瀬戸内クルーズを満喫するコースをご紹介します。

 まずは、半日で気軽に楽しめる「離島でランチ」。おすすめは男木(おぎ)島と岩黒(いわくろ)島です。

■男木島(香川県) 地元の人も船で訪れる新鮮ランチ

 男木島は定期船フェリー「めおん号」で高松港から片道40分。途中、経由する女木(めぎ)島は通称「鬼ヶ島」と呼ばれ、桃太郎伝説や洞窟で有名です。男木島には、御影石でできた男木島灯台をはじめ、瀬戸内国際芸術祭で紹介されたアートも所々に残っています。人懐こい島ネコも多く、ランチの前後に島内を散歩するのも楽しい島です。

 男木島の港に着いたらまず訪れたいのが「島テーブル」。港の前にある屋台感覚のお店です。浜口ご夫妻が経営するこのお店は、ご主人自らとってきたサザエを炭火で焼いたつぼ焼き(300円)やサザエ飯(400円)、タコの天ぷら(500円)などのほか、その日にとれた旬の魚を調理して提供してくれます。ある日は、サヨリの刺し身や天ぷら、ある日は舌平目のフライという感じです。島のおばあちゃんが手作りしたお総菜もあります。私はここが大好きで、帰省のたびに時間があれば遊びにいきます。先日も地元の方が、港に船を係留してふらりとお食事に来ていました。

男木島の港からすぐの「島テーブル」。とれたての海産物をその場で調理してくれる
「島テーブル」ある日のおすすめ、サヨリの刺し身とサザエのつぼ焼き

 もう1カ所のお気に入りのランチ所が「民宿さくら」です。通常は宿泊者優先ですが、余裕があるときには事前予約すればランチを楽しめます。オーナーは大江哲夫さん・和美さんご夫妻。漁師のご主人による海の幸と自家菜園の野菜、調理担当の奥さまのコラボで、本当においしい島のランチを堪能できます。

 ある日のメニューは「あこうとタコの刺し身・ハギの煮つけ・タコ入り海鮮サラダ・ニシ貝・煮物・タコ飯・潮汁」。さくら色をしたタコ飯はこちらの名物です。あこうは瀬戸内海でとれる高級魚。ニシ貝は地元ではサザエより好きという人も多い貝です。この日のランチは1500円(税抜き)。リーズナブルです。その日の漁によって提供される食材は変わるので、それも楽しみです。

民宿さくらのランチ(要予約)、メニューは漁によって毎日変わります
ご主人がタコつぼ漁でとってきたタコで作るさくら色の「タコ飯」は「民宿さくら」の名物です

 男木島はほかにも地元の方が経営する食事所や、島の食材で作ったフレンチを提供しているところもあり、バリエーション豊かな食を気軽に楽しめます。

 ランチの時間に合う「めおん号」は、高松港午前10時発、正午発。帰りは男木島港午後1時発、午後3時発があります(2016年11月現在)。時間を気にせず楽しみたい方は、クルーザーの半日チャーターがおすすめ。友人や家族とのランチや同窓会、サプライズの誕生日会など、VIP気分でプチクルーズと離島ランチが楽しめます。

■クルーザーをチャーターして自由に島めぐり

 自由度と楽しさという点で、クルーザーをチャーターして行く「離島でランチ」はかなりのおすすめです。まずは、クルーザーについてご紹介しましょう。

 私がいつもお世話になっているのが「ユアクルーズ」です。瀬戸内海を愛するキャプテン、古市祐士さんのモットーは「お好きな時間にお好きな場所へ」。楽しい時間を過ごしてほしいという心が伝わってきます。地元の電力会社を早期退職され、瀬戸内海のすばらしさを多くの方に届けたくて4年前に今の仕事をスタートされたそうです。電力会社勤務時には自ら操船して塩飽(しわく)諸島11島の電気を守っていた古市さんは、瀬戸内の島や海を知り尽くしています。予約をすると高松港の桟橋まで迎えに来てくれます。

クルーザーをチャーターすれば離島めぐりの自由度が上がります。写真はユアクルーズ(定員12人)。視界が広がる2階席のフライングブリッジはおすすめです

 これからご紹介する岩黒島は、高松港からクルーザーで約45分。高松港を出発し、瀬戸内海の多島美を堪能しながら進むうちに、瀬戸大橋が徐々に近づいてきます。6つの橋からなる、海峡部全長約9.4kmの瀬戸大橋の全貌を真正面に見ることができて、圧巻です。瀬戸大橋は3つのつり橋と2つの白鳥が羽を広げたような斜張橋、そして1つのトラス橋で構成されています。道路と鉄道が上下を通る併用橋なので、タイミングが合えば瀬戸大橋を渡る電車も見ることができます。四国旅客鉄道(JR四国)の「アンパンマン列車」も見られるかも。

近づくほどに大迫力の瀬戸大橋。電車が走るのも見えます

■岩黒島(香川県) 豪快フグ料理、味とボリュームに圧倒されるランチ

 岩黒島は瀬戸大橋がかかっている島の一つ。瀬戸大橋から陸路で行けるため、定期船はありません。そこで、クルーザーを半日から1日チャーターして、瀬戸大橋の鑑賞と島でのランチというプランがおすすめです。瀬戸大橋の橋脚がある島なので、島の上に白鳥が羽をひろげたような斜張橋が見えるのが特徴です。

 ランチのおすすめは「民宿岩黒」さん。島本修さん・早智子さんご夫婦が経営されています。元漁師だったご主人の目利きによる新鮮なお魚を、素材の味を生かした豪快な料理に仕上げてくださいます。特にこちらのおすすめは「フグ料理」。瀬戸内海は「讃岐でんぶく」といわれるナシフグの養殖が行われており、もちろん岩黒島でも盛んです。民宿岩黒さんでは奥さまがフグの調理師免許を持っておられます。

フグ料理もたくさん、民宿岩黒の豪快なランチの品々

 うかがった日のお料理は「大きなヒラメの姿造り、サザエ・タイなどの刺し身豪華盛り、ゆでタコ、めばるの煮つけ、タイの石焼き、フグ料理からてっさ・から揚げ・白子入りの茶わん蒸し、酢の物、タイめし」など。タコは1匹そのままの姿で出てきます。フグの白子の茶わん蒸しは感動モノの味。とにかくボリュームと豪快さに圧倒されますが、どれもオーナーご夫妻の心が伝わってくる料理ばかり。量が多いので「残ったものは詰めて持って帰っていいですよ」という心配りもうれしいものです。宿泊も受け付けていますが、ランチだけでも受け入れています。

民宿岩黒のオーナー、島本さんご夫妻。笑顔がすてきです

 食事の前後にちょっと時間があれば、瀬戸大橋をクルーザーでジグザグにくぐって見たり、近くの六口(むくち)島にある、象の形に見える奇岩「象岩」などを見に行くのも楽しいでしょう。岩黒島へ陸路で行きたい場合は、JR坂出駅からバスを乗り継ぎ、瀬戸大橋のバス停で下車し、エレベーターで島へ降りていきます。

 後編では香川県の西の離島である粟島と、真鍋島(岡山)、佐柳島をご紹介します。「飛びネコ」やサンセットクルーズも楽しめる1日満喫プランです。

(後編に続きます)

津田千枝(つだ・ちえ)
 大手外資系通信社でセールスマネジャーを務める。シンガポールで8年間の勤務経験がある。旅や観光、地域振興に詳しく、インバウンド向けの地方観光の広報コンサルタントも現職で行っている。瀬戸内の海に魅了され、小型船舶免許を取得。国内旅行業務取扱管理者。香川県出身。

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