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浮世を離れて紅葉狩り 星のや京都 嵐山の旅

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NIKKEI STYLE

秋も深まり、京都の紅葉が見ごろを迎えた11月下旬。京都屈指の紅葉の名所、嵐山を訪れた。宿泊は嵐山中心部の雑踏から離れた静かな場所にある「星のや京都」。平安時代から貴族の別荘地として親しまれてきた嵐山で、いにしえの文化や歴史に思いをはせながら、優雅な紅葉狩りを楽しむことができる。

旅の始まりは「送迎船」

歌枕として名高い京の奥座敷、嵐山。その中央を緩やかに流れる桂川に架かる「渡月橋」は、木造の欄干が周囲の自然景観に溶け込む、街のランドマークだ。桜や紅葉のシーズンともなれば、立すいの余地もないほど内外からの観光客であふれ返る。

人波をかき分けるように、渡月橋のたもとにある宿の上り桟橋へ。ここから1.5キロメートルほど上流の河畔に位置する星のや京都へは、宿泊者専用の送迎船で向かう。船に乗り込み、山の奥に分け入るように15分ほど川をさかのぼったところで、急峻(きゅうしゅん)な峡谷に沿うように立つ宿が見えてくる。

星のや京都は、明治創業の「嵐峡館(らんきょうかん)」という老舗旅館をリノベーションして2009年に開業した。もともとは、江戸初期に活躍した豪商、角倉了以(すみのくらりょうい)が別邸を構えていた由緒ある場所だという。角倉了以は、小さな舟一そう通るのがやっとだった保津川を開削し、京の都に木材をはじめとする物資の水運を開いた、歴史上の人物だ。

宿へは川沿いに遊歩道のような狭い一本道もあるが、一般の車は入れない。一帯は景観行政により、古くからの姿をとどめていて、宿の裏手にある大悲閣千光寺から先に続く道はない。そんな立地の妙も手伝って、嵐山の中心部からほど近くにあるにもかかわらず、敷地に一歩足を踏み入れるとそこには、さっきまでの喧騒(けんそう)が信じられないほど静謐(せいひつ)な空気が流れている。

川に沿って点在する客室は、25室すべてがリバービュー。5タイプあって、今回宿泊したメゾネットタイプの部屋からは、眼下に庭園、川をはさんで眼前には百人一首編さんの地、小倉山を望むことができる。ときおり汽笛を鳴らして対岸を通過するトロッコ列車が、一層の風情を醸す。

さまざまな紅葉の表情を堪能

ひとしきり部屋からの眺めを楽しんだ後、宿の奥の庭で催される「紅葉お茶会」へ。奥の庭は、縦に埋め込んだ瓦で川の流れを表現した、枯れ山水様式の斬新な庭園だ。周辺にはさまざまな種類のヤマモミジが色づき、庭の風景に彩りと趣きを添えている。

さらにこの日は夜、宿の車で送迎してもらい、天龍寺の塔頭(たっちゅう)のひとつである宝厳院(ほうごんいん)へ。嵐山を借景とする回遊式庭園「獅子吼(ししく)の庭」で、ライトアップされ暗闇に浮かび上がる幻想的な紅葉をじっくり鑑賞することができた。

夕食は、京都の割烹(かっぽう)に生まれ、海外でも活躍し高い評価を得てきた久保田一郎料理長が腕を振るうダイニングで。「五味自在」をコンセプトに、京料理の伝統の技に独創性が加わった星のや京都ならではの会席料理を、料亭のような静かな個室やカウンターで味わうことができる。牛フィレの炭火焼きに野菜の含め煮を付け合わせた一皿など、厳選した素材の持ち味を大切にしつつ、新たな食材や調理法も取り入れた日本料理は驚きの連続だ。

食後は、敷地内にあった蔵を改装した「Salon and Bar 蔵」で、秋の夜長をゆったりくつろいで過ごす。テレビのない客室では、ときおり峡間に響く鹿の鳴き声が、夜の静寂を一段と際立たせる。

翌朝は、部屋で外の景色を眺めながらゆっくり朝食をいただいた後、舟の上のお茶会「朝のもみじ舟」へ。まだ人気の少ない嵐峡に屋形舟を繰り出し、貴族も楽しんだとされる、風雅な舟遊びを体験した。翡翠(ひすい)色の水面に錦模様が映える朝の静かな嵐峡には、幽玄な雰囲気が漂う。

日本の文化や歴史を再発見

舟から下りて宿に戻る道すがら、角倉了以が開削工事で命を落とした人を弔うために建立した千光寺に立ち寄ってみる。モミジやイチョウのじゅうたんを踏みしめながら、宿の門の脇からつづら折りの階段を嵐山の中腹まで登ると、大堰川から京都盆地、東山三十六峰まで見渡せる絶景が広がっていた。

宿に戻った後は、大堰川にせり出したウッドデッキに設けられた空中茶室で渓谷の眺望を独り占めしたり、蔵でハンドドリップのコーヒーを飲んだり。宿泊客は12時のチェックアウトまでの時間を思い思いに過ごす。

アクティビティも充実していて、めずらしい「聞香(もんこう)」を体験することもできる。一定の作法にのっとって香木の香りを楽しむ香道は、室町時代に始まった京都の伝統文化で、戦国武将も戦の合間にたしなんだという。香道の歴史をひもとくところから始まって、本格的な道具を使用し香りを味覚で表現する初めての聞香体験に、またひとつ日本文化の奥深さを垣間見る思いがした。

「"水辺の私邸"がコンセプトですので、この景観とともに、ご自身の別邸のような感覚でリラックスしていただけたら。昔の日本人の遊びや休養方法から着想した四季折々のアクティビティもおすすめです」と応対してくれたスタッフの一人は話す。

時空を超えた別世界

星のや京都が築100年の旅館を改装するにあたっては、景観保護のためのさまざまな規制があり、建物の配置変更や増設は認められなかった。このため、梁(はり)や天井などの一部は「洗い」という建材を洗浄し磨き上げる作業でよみがえらせ、庭園、建具、照明など、それぞれに熟練職人の技を結集。一つ一つ細部まで吟味して、3年がかりでリニューアルしたという。時間だけでなく、労力や費用も新築のそれをはるかに上回ったに違いない。

こうして星のや京都では、往時の日本建築の風格を受け継ぎつつ、現代ならではのアレンジや洗練を加え、他に類をみない空間に昇華させている。路地を歩けば、客室につける舟に見立てた玄関先の敷石や、月の満ち欠けを模したオブジェなど、随所に意匠がこらされているのが見て取れる。伝統がもたらす情趣に加え、そうしたていねいな手仕事やこだわりの積み重ねが、限られた敷地内に奥行きを生んでいる。

滞在中はできるだけこのぜいたくな時間と空間、そして眺望をじっくり味わいたいところだが、滞在の前後に少し足を伸ばせば、世界文化遺産に登録されている天龍寺の曹源池庭園や、常寂光寺といった紅葉の名所や、嵯峨野の竹林などの観光スポットを効率よく回ることもできる。

保津川沿いを走る観光用のトロッコ列車は、星のや京都の前でいったん停車する。対岸の車中から宿を見るのもまた一興。トロッコ列車で亀岡まで行き、帰りは保津川下りの舟で嵐山に戻ってくれば、レトロな情緒と秘境感をたっぷり味わうことができる。シーズン中はどこも混雑するので、早めの手配や、時間に余裕を持った行動を心がけたい。

嵐山の紅葉シーズンは例年、12月上旬まで。奥嵐山で非日常の世界に浸った後は、宿の真下にある桟橋から再び行きと同じ送迎船に乗り込む。風に吹かれてモミジがはらはらと水面に舞い落ちる中、船は休日の人出でにぎわいを増す渡月橋へとゆっくり下っていった。

(定)

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