パンツと布巾、一緒に洗いますか?
女優、ミムラ
洗濯をするとき、洗い物の組み合わせにいつも悩みます。パンツや靴下と一緒に布巾を洗ってよいのか。それがよいなら、トイレマットとかも大丈夫なのか。こんなことに常識があるのかはわかりませんが、悩まずに洗える自分になりたいです。(神奈川県・女性・50代)
似たような悩みを抱える人は多いのですね。実は私の夫も同じことを言っていました。
確かに一緒に洗えない組み合わせはあります。色落ちするものと白いTシャツは一緒に洗えないし、油汚れは手洗いで落としてから洗濯機に……。えっ、そこまでしない。まあ、そうでしょう。家事は人それぞれ。よその家は別の国のようにルールが違って当たり前です。
そう考えれば、この悩みはひと言で解決します。あなたの家ですからお好きにどうぞ。周囲の迷惑にならない範囲で、健康に快適に暮らせるなら、どんな洗濯の流儀だって正解です。
ただし、それでは相談者さんのもやもやは解消しない。せっかくですから、もう少し考えてみましょう。あなたの洗濯のNGラインはどこにあるのか。
例えば、洗濯機のスイッチを入れた直後に、部活帰りの子どもが泥だらけの靴下を持ってきたらどうしますか。多分、それは次の洗濯に回しますよね。でも、下着と布巾となると悩みそう。干し上げれば一緒に洗ったものを気にする人なんて、まずいない。どちらもさして汚れは見えないから、一緒に洗うか迷うのでしょうね。
だったら、実際にやってみるのが早そうです。下着と一緒に洗い上げた布巾で食卓を拭いて、あなたはおいしく食事ができるでしょうか。トイレマットと洗ったおしゃれ着でデート。なんだか落ち着かず、彼氏彼女に近づくのをためらったりするならNG。「全く気にならないわ」と、普段通りに過ごせるなら問題なしです。ご自分のたくましさにビックリするかもしれませんが、それもまたよし。実験のつもりで色々な組み合わせを試しましょう。
試すうちに、これは自ら洗濯するからこそ味わえるということを自覚するはずです。何年か前にお父さんの下着をよけて洗濯する女子中学生が話題になりましたよね。世のお父さんは憤慨していましたが、自分で洗わないのだから仕方ありません。
ちなみにコラムの編集担当さんは「けんかしたら、夫の洗濯物をトイレマットと洗っちゃえば……」と助言してくれました。まさか、私はそんなことできませんよ。でも一つの活用法ですね。洗濯の危険を家族に示すことで、家事の分担を促せるかもしれないのですから。
いずれにせよスイッチ一つで大量の洗濯物を洗い、干し上げられる時代。洗濯物の組み合わせの悩みは、文明人の「おハイソな悩み」と言えます。つつがない暮らしと細やかなことに悩める幸せ、かみしめましょう。
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[NIKKEIプラス1 2016年12月10日付]
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