KARAの遺伝子受け継ぐ 「清らかなアイドル」April
K-POP新世代ファイル(7)
2010年に『ミスター』で日本デビューを果たし、翌年に『NHK紅白歌合戦』に出場。13年には東京ドーム公演も実現し、全国に起きたK‐POPブームの立役者となったKARA。今はメンバーそれぞれの道に進んだが、グループ活動時の所属事務所DSPメディアから新世代の後輩が現れた。15年8月に韓国でデビューしたばかりの新人ガールズ「April(エイプリル)」(写真、もう1人のメンバーのヒョンジュは長期休養中)だ。10月15日には初の単独コンサートを東京・品川ステラボールで開催。韓国デビュー曲で、少女の恋心をつづった『Dream Candy』ほか22曲を熱唱。2公演で約2000人のファンを動員した。
Aprilの注目ポイントは大きく分けて4つ。まずは年齢の若さだ。チェウォンが97年生まれの19歳、ナウンは99年生まれの17歳。そしてさらなる若手のイェナは00年生まれの16歳で、ジンソルにいたっては、01年生まれのまだ15歳。自分たちの強みについて、ナウンは「若々しさ」を挙げ、イェナが「自分たちが成長していく姿を見せられること」と答えたのも、年齢を聞くとうなずける。
妹や友達のような身近な存在
次の注目ポイントは「清らかさ」というコンセプトだ。Aprilは韓国で「チョンジョンドル」(清らかなアイドル)と呼ばれている。チェウォンがグループの特徴として「『アルプスの少女ハイジ』や『ティンカーベル』のような清らかな存在という明解なコンセプトを持っていること」と語った通り、前述の「若さ」から出てくる「清らかさ」を武器に、清純派アイドル路線を一貫して歩んでいる。
そして「親しみやすい存在」というのも、Aprilを応援するファンにとって大きなポイントになるだろう。15日の公演では、歌の合間にトークコーナーが準備され、ピコ太郎の『PPAP』を全員で踊ったり、得意の日本語も交えて明るく笑い、時にはおどけてみせるメンバーの気取らない姿が印象的だった。メンバーのジンソルも「私たちの面白い側面をもっと見てほしい」と笑いを取るのに積極的だ。「ファンの方々から実の妹や友達のように身近に感じてもらえる存在にしたい」(所属事務所のマネジャー)と聞くと、思い出されるのが、流ちょうな日本語と人なつこさで日本のバラエティ番組などで親しまれた先輩、KARAの存在だ。アーティスト性やカリスマ性を最優先にするグループがある一方で、親しみあふれるグループを生み出してきた事務所のお家芸が見られそうだ。
最後に何と言っても大きいのが、KARAの遺伝子だろう。前述の日本語力や親しみやすさもあるが、ファンにとって、歌手としての魅力は、Aprilを通じてKARAの歌も生で聴けることがある。今回のライブでメンバーはKARAの『Pretty Girl』『Girls' Power』『jumping』『SOS』を歌い上げた。練習生時代から歌い込んできた直系の先輩の曲だけあり、歌もダンスも完成度が高い。多く詰めかけたKARA時代からのファンも、これらの曲に合わせた応援のコールをしっかり覚えていて、時間が逆戻りしたようだった。
今後の活動計画については「日本で多様なイベントや公演を実施したい。17年に日本でアルバムを発売するのが目標」(担当マネジャー)と、これから日本での活動が活発化しそうだ。
(日経エンタテインメント! 白倉資大)
[日経エンタテインメント! 2016年12月号の記事を再構成]
追記:11月に所属事務所のDSPメディアから、チェギョン、レイチェルの2人が新メンバーとして加わることが発表された。
(1)BIGBANG、WINNER、iKON
(2)Boys Republic/少年共和国
(3)Apink【研究編】
(4)Apink【インタビュー編】
(5)チャン・グンソク
(6)2PM
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