SIM2枚差しスマホ ガラケープランで通信費減の得技
2016年7月以降、デュアルSIMに対応したSIMフリースマートフォン(スマホ)の発売が相次いでいる。その名の通り、2枚のSIMを差すことができ、同時待ち受けが可能だ。
実はこれまでも、2枚のSIMを差せるスマホはいくつか存在していた。しかし、同時待ち受けができなかったり、1枚は日本では使われていない通信方式にしか対応していなかったりしたため、国内では魅力を引き出せなかった。
最近になって発表されているモデルは、それとは大きく異なる。1枚は高速データ通信の4G(LTE)に、もう1枚は国内で音声通話に使われている3Gに対応。つまり、1台のスマホを用い、データ通信と音声通話で別々のSIMが使える。
まずメリットがあるのは、ビジネス用とプライベート用で使う端末を分けていたユーザー。1台のスマホで、2つの番号の待ち受けが可能になる。発信する際も、どちらの番号を使うか選ぶことが可能だ。
また、通信費の節約にもデュアルSIMはもってこいだ。MVNO(仮想移動体通信事業者)は割安な料金が売りだが、音声通話に関してはむしろ大手キャリアに分がある。特に3G回線を使ったガラケー向けの音声通話プランに関しては、月額基本料金を上回る無料通信分が付くため、ガラケーを手放せずにいた人も少なくないだろう。
デュアルSIMを使えば、4GはMVNO、3Gは大手キャリアという使い分けが、スマホ1台で可能になる。2台持ちのように利便性を損なうことはない。家族割やキャリアのメールアドレスを継続したいために大手キャリアから乗り換えられなかった人も、データ通信だけをMVNOに切り替えることで得できる。
気を付けたいのは、ほとんどのデュアルSIMスマホが、auの音声通話サービスには対応していないこと。auの3Gが、NTTドコモ、ソフトバンクとは別の方式を採用しているためだ。4Gを使った音声サービス「VoLTE」なら使えるモデルもあるが、その場合、データ通信を低速の3Gに割り当てることになるため、快適性が低く勧められない。
現在、ドコモかソフトバンクのガラケーを利用しているなら、そのSIMをスマホに差し替えるだけでいい。両社のスマホを使っている場合は、データ定額サービスだけを解約して、割安なMVNOに切り替える。なお、スマホ向けの「カケホーダイライト」(NTTドコモ)、「ホワイトプラン」「スマ放題ライト」(ソフトバンク)はデータ定額サービスへの加入が必須となっているため、別の料金プランへの変更が必要だ。
auやMVNOを利用している人は、ドコモかソフトバンクのガラケーにMNPし、データ通信のみMVNOを使うのも手。ガラケーは「実質0円」や「一括0円」のことが多く、機種代金の負担は回避できる。
(日経トレンディ 佐藤嘉彦)
[日経トレンディ2016年12月号の記事を再構成]
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