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躍動「ガテン消費」 建設現場で食やファッション熱気 謎の食堂 昼だけで500食/カラフル作業靴ヒット

2016/12/22 日経MJ

建設現場で食堂を運営するアサヒコーポは来年度、街中にも出店する(東京都千代田区)

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向け活況を呈している建設業。人手不足などを背景に現場で作業する職人の懐もほのかに温かくなっている。よく見ると足元がカラフルになっており、現場には謎の食堂が出現した。自販機の飲料も現場では飛ぶように売れる。「オリパラ経済」が生み出している「ガテン消費」は奥深い。

 再開発ビルの現場が乱立している東京の大手町周辺。1つの現場でピーク時には2千人前後が働く。にもかかわらず、サラリーマンで混雑するランチタイムに作業服を着た人の姿を飲食店で目にすることはめったにない。調べてみると、建設現場の“ガテン食堂”にたどり着いた。

 「天ぷらうどんと生姜(しょうが)焼き丼ください」。東京・千代田のとある再開発ビル。建築中のビルの4階にあるプレハブの食堂に、昼時に職人の大行列ができていた。「天ぷらそば・うどん」370円。うどんの汁はやや濃いめの味付けだが、天ぷらはふんわりさくっとした食感で、人気のそば店に匹敵するほどの本格的な味わいだ。

 1日に3回利用することもあるというとび職の宮川直行さん(47)は「外にあるコンビニよりもよく利用する。出来たてが食べられるのはうれしい」と話す。昼の時間帯だけで約500食が売れる。ここで食べたいために昼の休憩時間を他の職場とずらす職種もある。

 運営するのはアサヒコーポレーション(東京・品川)。都内の10カ所以上の建築現場で食堂を運営する。もともと、「職人の福利厚生向上や労働災害防止、近隣対策として始まった」(永山敦志会長)。出店すれば工事期間中は独占的に飲食提供・物販ができるが、相手は味にうるさい職人。「一度まずいという評判になったら利用されなくなる」(永山会長)という厳しい側面もある。

 彼らの舌をうならせようと、料理は元有名割烹(かっぽう)店の料理長による味付けで、現場で仕込みもする。店舗の導線や調理器具の配置を工夫し、提供スピードを磨き上げた。

 売上高は16年度に前年度比4割増の7億円以上になる見通し。17年度には、建築現場で培ったノウハウを武器に、仮囲いを抜けだし“街中”に打って出る。

アシックスのカラフルな作業靴が並ぶ(東京都練馬区の作業衣屋)

 よく見ると、職人の足元も鮮やかになっている。黒が定番だった作業靴が赤や金、銀などに色付いてきているのだ。

 作業衣屋(東京・練馬)ではスポーツ店と見まがうようなシューズが並ぶ。一般的な作業靴が2000円程度なのに対し、7000円台から1万円超するが、「他人と同じ色だと嫌だと、予約して買う職人さんが多い」と中島紳浩社長。

 この分野にいち早く注目したのがアシックスだ。作業靴の分野に参入したのは1999年。スポーツで培った快適性やデザインでこの分野の需要を取り込みたいと狙ったのだが、10年間は鳴かず飛ばずの状態が続いた。

 風向きが変わったのが2010年ごろ。13年から売り上げは年率2~3割の勢いで拡大し、15年は出荷数量ベースで70万足を超えたという。今年はフリーペーパーを創刊、10万部を配布した。

 ミズノも今年3月に参入した。発売時に年8万足の販売を見込んでいたが、既に6万足を出荷し、販売目標を9万足に上方修正した。

 アシックスは来春にこの分野でインナーウエアにも参入する。おしゃれは足元からといわれるが、ウエアにもその波が押し寄せそうだ。

アシックスはフリーペーパーを創刊し10万部を配布した

■建設労働者の懐もほのかに温かく
 土木・建築など向け求人情報誌「ガテン」(リクルート)の休刊から7年。再びガテン系の存在感が高まっている。
 日本建設業連合会(日建連)がまとめた97社の2016年4~9月期の国内建設受注額は、7兆2321億円で前年同期比6.2%増えた。上半期としては1997年以来、19年ぶりの水準だ。
 建設経済研究所(東京・港)などの最新の建設投資見通しも、17年度まで5年連続で50兆円台を突破する見通し。
 建設業に従事する人の収入も増えつつある。厚生労働省によると、15年の建設業の男性生産労働者の賃金は14年比6%増の約433万円。製造業の男性労働者(461万円)との格差は小さくなりつつある。
 就業者数は10年以降は500万人前後でほぼ横ばい。人手不足で人数は増えないが、仕事量が堅調に推移していくことから収入はさらに増えるとみられる。現場で増えている女性労働者向けの需要など、まだまだ商機は生まれてきそうだ。

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