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アニメの舞台がスマホARで進化 新・聖地巡礼(上) 「この世界の片隅に」の広島・呉を行く

2016/11/17

 大好きなアニメや映画のロケ地・舞台を訪ねて作品の世界に浸り、記念に写真を撮る――。こうした「聖地巡礼」の世界に新しい風が吹いている。

 一つは、ここ数年アニメでも意識的に実際の街を舞台に選び、街並みを忠実に描き込んだ作品が増えていることである。あの場面はどこかと、アニメファンたちが楽しんでいる。

 もう一つは、聖地巡礼用のスマートフォン用アプリが出てきたことだ。ポケモンGOのようなAR(拡張現実)を用いて、聖地で撮る写真の中にアニメのキャラクターを写し込む機能がある。これを使えば、より思い出深い写真を残せるのではないか。

 そんなアニメ作品の「聖地巡礼」の旅に出かけてみた。最初の目的地は、11月12日に封切りされたばかりの『この世界の片隅に』の舞台、広島市と呉市だ。

■主人公が訪れた街で写真を

 『この世界の片隅に』は広島県呉市に生きるごく普通の市民であるすずさん(主人公)の日常を通して戦争を描いている。当時の誰もが経験したであろう悲しみと、それでも生きていく人々のたくましさと優しさに満ちた作品だ。原作は、こうの史代の同名コミックで、2009年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した。

 映画化にあたっては、資金の一部をクラウドファンディングで募ったところ、3000人以上の原作ファンから計3912万円(映画ジャンルで当時の国内最高額)を集めて話題になった。そして、ヒロインのすずさんの声を演じるのは、朝ドラ「あまちゃん」で人気の女優・のん(能年玲奈から改名)である。

 物語はすずさんの少女時代から始まる。実家は広島市の海辺の町にあり、海苔(のり)づくりを営んでいた。少女時代のすずさんは、お使いで広島市の中島本町にある料理屋に海苔を届けにいく。中島本町というのは、現在の広島平和記念公園のあたりだ。

 実はここでの出来事が映画の終盤のシーンにもつながる伏線になっている。一つめの聖地として、小さなすずさんと一緒の写真を撮った。写真の腕はさておき、作品世界とのつながりを感じる一枚になった。

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