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腸内細菌が喜ぶ食事 カギは食物繊維

意外に知らない 腸内フローラの真実(5)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
腸内フローラには個人差があり、何を食べればいいかは人によって異なる部分もある。また、食事からとる菌はそう簡単に腸にすみつけないが、腸に良い菌や食物をとり続ければ少しずつ良い菌が増え、腸内環境を改善できる(第1回「多ければ良いのか善玉菌 意外に知らない腸内環境」参照)。では、具体的にどんなものを食べると腸内環境の改善につながるのか、腸内環境研究者・福田真嗣さんの話を基に食べ方のヒントをお届けしよう。

食物繊維は腸内細菌のエサになる!

おなかの中の腸内細菌は生きている。生きているということは、必ずエネルギー源を必要とするということだ。

腸内細菌の主なエネルギー源は、私たちの細胞と同じでブドウ糖などの炭水化物だ。しかしブドウ糖などの多くは小腸で吸収されてしまうため、腸内細菌がたくさん生息している大腸まではほとんど届かない。普段の食事から大腸まで届き、腸内細菌のエサになるものの筆頭は「食物繊維」だ。

「腸内細菌は食物繊維などの炭水化物をエネルギーにしているときは、その分解産物として健康に寄与する物質を作ってくれることが分かってきています。しかし、腸内に炭水化物がなくなってくると、たんぱく質などを分解し始めます。すると、健康にあまりよくない物質を作り出してしまいます。便秘だとこの状態に陥りやすくなります。ですから、ある一定の頻度で食物繊維などの炭水化物を腸内に届けることが大切です」(福田さん)

また、腸内フローラには個人差があるが、それらは地域や食習慣によって似たようなパターンを示すという。例えば脂質の摂取量が多い欧米人の腸内には、バクテロイデスという腸内細菌が多くいる一方で、ベジタリアンの腸内には、プレボテラという腸内細菌が多くすんでいるという。

食の好みは腸内細菌が決めている?

多くの日本人は海外に滞在して1~2週間もすると、日本食が食べたくなるそうだ。「これは生活習慣が変わった結果、もしかすると腸内環境も変わってしまい、元に戻そうと日本食を食べたくなるのかも…」と福田さんは冗談交じりに推測する。

「腸内細菌のエサは人間が摂取したものだけですから、自分たちが利用できるエサが来ないと死んでしまいます。それでは困るので、これはあくまでも仮説ですが、自分たちが利用しやすいものを人間が食べるように仕向けているのかもしれません。脳と腸とは迷走神経でつながっていますし、ホルモンでもやり取りをしています。人間を腸内細菌までも含めた一つの生命体として考えたときに、そういう制御があっても不思議ではないと思います」(福田さん)

食の好みは腸内細菌が決めているのかもしれない。だとすると、「食べたいもの」「好きなもの」を選ぶというのは、腸内環境をよくする食べ方のヒントになるかもしれない。

ちなみに、おなかにいいといわれるものの代表にヨーグルトなどがあるが、「嫌いなものを無理して食べても長続きしませんので、もしヨーグルトが嫌いなら、大麦でも海藻でもいいかもしれません。腸内環境をよい状態に保つためには、こういったものを食べ続けることが重要なので、好きなものから始めるのがいいのではないでしょうか」と福田さん。

もちろん、いくら好きだからとはいえ、高脂肪の食品や肉は日本人は食べすぎないほうがいいかもしれない。これらを食べすぎると、前者では肝臓がん、後者では動脈硬化のリスクが増加することが動物実験で報告されている(詳しくは第2回をご覧ください)。

腸内フローラでも、重要なのは「多様性」

腸内フローラには個人差があると述べたが、いい腸内フローラの共通点は何だろうか。

「近年の研究で、病気の人は腸内フローラの多様性が低下していることが分かってきました。この "多様性" がキーワード。おなかの中にいろいろな種類の腸内細菌がいるということは、いろいろな状況に対応ができるということですので、もしかするとこれが健康につながるのかもしれません」(福田さん)

これは、人間社会に置き換えてみると分かりやすい。会社が予期せぬアクシデントに見舞われたとする。特定の分野に強い人ばかりの会社では、分野外のアクシデントには全く対応できない。一方、いろいろなタイプの人がいれば、様々な知恵を出し合って対応できるケースは少なくないだろう。腸内フローラにも予期せぬアクシデントはつきもの。その生態系を維持するには、多様性が重要ということなのだろう。

食物繊維の中でもエサにしやすいのは「水溶性」

食物繊維は穀類、イモ類、豆類、野菜、きのこ、海藻、果物などに豊富に含まれている。食物繊維には2種類あり、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に大別される。

「不溶性食物繊維はその物理的性質から、腸内の成分を巻き込んで排出する特性があります。仮に腸内に有害物質があった場合には、それらを巻き込んで排出してくれることも。一方、水溶性食物繊維は不溶性食物繊維よりも腸内細菌が分解しやすいため、エサになりやすい」(福田さん)

ほとんどの食品は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方を含んでいるが、腸内細菌による良い発酵を促すには、水溶性食物繊維を多く含む食品を意識してとるのがポイントだという(表)。

上の表にはないが、海藻には水溶性食物繊維のアルギン酸が多く含まれている。麦ごはんとわかめのみそ汁、ひじきの煮物、きんぴらごぼう、納豆といった昔ながらの日本食には、水溶性食物繊維が実に豊富だ。

和食は世界に冠たる健康食だが、腸内フローラという観点から見ても優れているようだ。「この半世紀で、日本人の食生活は欧米化し、高脂肪、高カロリー、低食物繊維になりました。このことが日本人の腸内フローラを変化させた要因の一つになっていると考えられます。食事に関しては、原点回帰が一つのヒントになるかもしれません」(福田さん)

(ライター 村山真由美)

この人に聞きました

福田真嗣(ふくだ しんじ)さん
 メタジェン代表取締役社長CEO/慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。1977年生まれ。明治大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。学位取得後、理化学研究所研究員として勤務し、2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。2011年にビフィズス菌による腸管出血性大腸菌O157:H7感染予防の分子機構を世界に先駆けて明らかにし、2013年には腸内細菌が産生する酪酸が制御性T細胞の分化を誘導して大腸炎を抑制することを発見、ともに「Nature」誌に報告。2015年、株式会社メタジェン(慶應義塾大学と東京工業大学のジョイントベンチャー)を設立。著書に『おなかの調子がよくなる本』(KKベストセラーズ)。

[日経Gooday 2016年6月7日付記事を再構成]

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