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こんな所で登山家気分 銭湯や職場にボルダリング施設

2016/11/17

 2020年東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミング(ボルダリング)。ここ数年で日本でもじわりと人気が広がっていたが、世界大会で日本の選手が活躍し五輪でのメダル獲得も有望視される競技だ。新たな人気スポーツになりうる可能性もある中で、設備が意外な場所にも広がりつつあるという。

 ボルダリングが追加種目として提案されてからちょうど1年たった今年9月、埼玉県熊谷市の温浴施設に登場した。温泉道場(埼玉県ときがわ町)が運営する「おふろ cafe ビバーク」では、館内着を身にまとった客らが汗を流している。「前から興味があったけど実際に登ると体力も頭も使う」と登ったばかりの男性客は息も切れ切れに話す。ボルダリングで汗をかいても風呂ですぐに洗い流せると、女性客らも積極的だという。

埼玉県内に9月開業した温浴施設では館内着姿の客がボルダリングを楽しんでいる

 「人口減の中で、銭湯も集客に向けた独自の目玉が必要だ」と、松沢修統括支配人は狙いを明かす。都心の皇居周辺でジョギングブームが起きた際、周辺の銭湯や温浴施設ではロッカーを整備したりランニング教室を開いたりして集客につなげた。今後注目を一段と集めそうな新しい競技に関係した設備を用意することで、五輪ブームも追い風にして新たな顧客を取り込もうとしている。

 「登り始める前にまず戦略を立てて」「次に右手をあのくぼみに」――。ここは東京都目黒区にあるアマゾンジャパンのオフィスだ。同社は受付そばに高さ約4メートルで、およそ30のコースがある本格的なボルダリング設備を設置した。訪問客を驚かせるだけではもったいないとばかりに、およそ100人の社員が集まってボルダリング部を結成。月曜日と木曜日の午後6時半から汗を流す。部員は部署も年齢も様々で、上級者が初心者に対してアドバイスも送る。

 「部署が違うとどんな仕事をしているのかよくわからない。互いを知るいい場にもなっている」とセラーサービス事業本部の坂田智則マネージャー。単なる気分転換の場だけではなく、ややもすると縦割りになりがちな社内に横串を通す、そうした交流の効果もあるそうだ。部員たちは「こんな仕事をしていたのだとわかり、業務の効率化につながることもある」と仕事への成果も口にする。

 日本企業でも社内にボルダリング設備を設けたところがある。キユーピーが3年前に東京都調布市の工場跡地に建てた拠点施設。グループ会社などが入居し約1400人が働くが、その2階部分にボルダリングコーナーを設けた。安全面を理由に実際に登ることは許可されていないが、「ホールド」と呼ばれるこぶを使ったストレッチ運動ができ、体の動かし方を指南する講座も開いている。経営推進本部の小勝理恵チームリーダーによると「建て替えをする際に、体を動かす設備を設けてほしいとの声があった」のがきっかけ。勤務中でも体を少し動かしてリラックスすれば、結果として業務の効率アップにつながる。オフィスのオブジェの役割も担っているという。

 ボルダリングはここ数年日本でもじわりと広がってきた。五輪という舞台が準備されメダル量産となれば、ますます広がっていきそうだ。(映像報道部 近藤康介)

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