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「万一起これば破滅的」なリスクに備える損害保険 正しい保険選びの考え方(7) 生活設計塾クルー 浅田里花

2016/11/16

 これまで生命保険の正しい選び方を述べてきましたが、暮らしを守る保険には「損害保険」もあります。今回は損害保険との上手な付き合い方を取り上げたいと思います。

■「モノ」の経済的損失をカバーする損害保険

 生命保険に比べると何となく印象が薄い損害保険ですが、誕生は損害保険の方が古く、船での貿易が盛んだったヨーロッパの海上保険が、現在の損害保険の原型とされています。悪天候や「海賊に襲われて」などの事故で失った船・積み荷の経済的損失をカバーするのが目的でした。カバーする対象は、あくまで「モノ」というのが損害保険の特徴といえるでしょう。ちなみに生命保険では「ホショウ」は「保障」でしたが、損害保険の場合は「補償」と表記します。

 保険分類では、ヒトの生死が対象になる生命保険を「第一分野」、モノが対象になる損害保険を「第二分野」、どちらとも分類できない保険を「第三分野」としています。近年では、損害保険会社も傷害保険や医療保険といった第三分野の保険の取り扱いも行っており、必ずしもモノを対象とした保険商品ばかりではありません。とはいえ、注目したいのはやはり損保ならではの保険商品です。

 その中心となるのは「火災保険」と「自動車保険」で、私たちの暮らしを守る大きな役割を担っています。前者は火災などの災害で住まいを失うリスクを、後者は自動車事故の加害者となって多額の賠償責任を負うリスクをカバーするもの。いずれも降りかかる可能性は低いかもしれませんが、もし起こってしまったら大きな経済的損失が生じ、家計に大打撃を与えます。

 そんな場合こそ、「助け合い」が基本の仕組みである保険の出番です。もしもに備えて助け合いに参加し(保険料を支払い)、不運にも損害が現実になってしまった場合には、大きな損失額が補償される。こういった保険ならではのメリットが発揮されることを正しく認識し、わが家のリスクに応じた適切な備えをしておきたいものです。

■賃貸の人も知っておこう、「火災保険」の必要性

 まずは「火災保険」です。これは火災だけでなく、落雷、破裂・爆発、風災、雹(ひょう)災、雪災、水災、水ぬれ、物体の落下・飛来、騒擾(そうじょう、暴動などのこと)による破壊など、住まいの災害について幅広い補償があります。マンションの上階に住んでいる人なら「水災の心配はまずないだろう」など、住んでいる場所や住まいの形態でリスクが異なりますから、必要な補償だけセットすればムダがありません。住んでいる場所にどんなリスクがあるかは、国土交通省の「ハザードマップ(http://disaportal.gsi.go.jp/)」でチェックしておくといいでしょう。

 さて、あなたは「自然災害の心配はなさそうだし、火の元には気を付けているから火災保険は不要」とリスクを軽く見てはいないでしょうか。自分はそうでも、もしお隣が火事を出してこちらまで類焼した場合、故意や重大な過失でない限りは賠償責任を問えない、と「失火責任法」で定められているのです。わが家に落ち度はなくても、災害はどんな形で降りかかってくるかわかりません。マイホームという大きな財産を失う痛手は計り知れませんから、備えておくに越したことはないでしょう。

 火災などで失うのは「建物」だけではありません。家財道具をすべて失ったとしたら、その総額は結構な金額になるはずです。火災保険には「家財」を対象にした商品もあるので、併せて加入しておくと良いでしょう。こちらは賃貸住まいの人にも関係してくるもの。

 賃貸住まいのケースでは、建物を守るのはオーナーの役目です。しかし、もし火事を出したのがわが家だったら、重大な過失でなくてもオーナーに対する賠償責任が発生します(近隣に対する責任は失火責任法が適用されます)。そのため、賃貸契約を結ぶ際には火災保険への加入を勧められているはずです。「家財」の火災保険に「借家人賠償責任補償特約」を付けたもので、オーナーも一安心となります。賃貸契約時に不動産会社で加入せず、自分で選んだ保険に加入してもOKです。

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